■ACL2020出場チーム紹介 上海上港


■上海上港 Shanghai SIPG (リーグ戦3位)

2020/11/14更新

・概要
2000年に元代表監督徐根宝が私費投じ創設した上海東亜が原点で、中乙(3部)からスタートし2012年に中超昇格。その後国有企業の港湾業者である上海国際港務グループ(SIPG)が資本参加し2位に躍進。2016年は4700万£でフッキ、新監督にビラスボアス、そして年末にオスカルを6000万£で獲得し全世界に名を轟かせた。年間支出は既に広州恒大を上回っておりながらタイトルに縁遠く揶揄されたが2018年ついに初タイトル。
金満化してしまったが元々育成型クラブ。現トップチームも外国人と于海,石柯,孫楽,今年新加入の2人以外全員下部組織出身。武磊(エスパニョール)张琳芃(広州恒大)ら他クラブにも多く人材を排出。2019年は武磊移籍で代役の補強は無く純粋に戦力マイナススタートだったことを考えれば、最後まで優勝争いに食らいついたのは上出来。ACLでは2016年大敗した韓国王者・全北現代を降した。しかし浦和に敗退したのは残念、どちらもアウェイゴールだが浦和戦でフッキ、アフメドフがいれば・・上港に限らず特定の外国人選手への依存度の高さを改めて感じた。
なお、2020年はホームを源深体育中心に移転。それまで使用していた上海体育場(八万人体育場)近辺の工事及び、建設中の専スタ・浦東足球場への移転を見据えての暫定的移転と思われる。

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昨年のレビュー中間報告もご参考下さい。

・ACL戦績 
5年連続5回目、16年ベスト8、17年ベスト4、18年ベスト16、19年ベスト8。初出場から5大会連続決勝T進出は立派。今年こそ更に上の成績が欲しい。ACLではプレーオフ含めホームでは23試合無敗(16勝7分)。
・監督
ヴィトール・ペレイラ(Vítor Pereira)

2018年就任、ポルトガル出身。かつてFCポルトでビラスボアスのアシスタント及び後任を務め、オリンピアコス、フェネルバフチェ、サウジのアルアハリ等でも指揮経験がある。就任1年目で昨季はフッキを主将に任命し彼の独善的プレーを改善したが初優勝に導いた。プレミア行きの噂もあったが残留し3年目

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・移籍

天津泰達からMF木热合买提江·莫扎帕(買提江,Mirahmetjan Muzepper)、長春亜泰からDF于睿(Yu Rui)を獲得、共に20代後半の即戦力。上港が中国人選手を獲得するのは2017年以来。特にE-1に中国代表として参戦した前者はマルチロールでもあり期待される。


また全北現代からブラジル人FWリカルド・ロペスを獲得も、ACL外国人枠は埋まっており国内リーグ限定要員と予測される。ただしフッキ退団後の後釜候補とも考えられる獲得。
しかしオスカルの契約延長(2024年まで)が最大の補強と言えるだろう。サラリーキャップ導入で高額外国人離脱が予測される中、余りに心強い。
(9月)ウズベキスタン代表MFアフメドフが天津泰達へ移籍。代役としてブライトンから豪州代表MFアーロン・ムーイ(Aaron Mooy)を獲得。アフメドフは功労者だが33歳かつ今年限りで契約満了、その代役にAFC枠でプレミアでプレイする現役豪州代表という最高の代役補強が実現した。

https://www.brightonandhovealbion.com/news/1788556/mooy-makes-china-move

・2020年シーズン

第1ラウンドは10勝2分2敗で1位通過、当面のライバル北京国安に連勝するなど上々だったかなと。オスカルが8アシストなど活躍もほぼフル稼働で、彼が欠場した際の影響が大きい。アルナウトビッチは7得点、「5人目の外人」リカルド・ロペスも期待以上の活躍。アフメドフは去ったが、後釜ムーイもデビュー戦で得点決めるなど実力を示している。
第2ラウンド、近年カモにしていた上海申花とPK戦までもつれ込むと、準決勝では退場者出した江蘇蘇寧に逆転負け、リーグ優勝を逃した。過密日程による疲労もあり、フル稼働していた外国人選手たちが江蘇戦で軒並みベンチスタートに。特にフッキとアルナウトビッチは第2ラウンドでは戦犯レベルの状態。コンディションの問題はあれど、彼ら外国人への依存は相変わらず。出足は良いが、外国人や主力がいなくなり失速・・という例年通りのパターンに。結局第2ラウンドでは90分で1勝もできず4位に。
今季公式戦全得点のうち外国人選手の得点率は27/35得点(77%)リーグ戦に限れば24/29(83%)、武磊がいなくなってから外国人選手への依存度がどんどん高くなっている。本来育成のクラブ、フッキ退団で改革は必須か

・予想フォーメーション

4バックと3バックの併用

----------李圣龙---------       
Lopez------Oscar--------Hulk
(陈彬彬) (吕文君)
-------杨世元----Mooy-------
(蔡慧康,林创益,买提江)
王燊超-----贺惯-----石柯----傅欢-
(于海)(魏震,于睿)(张卫)
--------------陈威-------------
     (孙乐)
----------Lopez----Hulk-----       
---------------Oscar-------
-------杨世元----Mooy-------
王燊超--魏震---贺惯---石柯----傅欢-
--------------陈威-------------
     

・選手紹介

GK

*ACL欠場 1 顔駿凌(Yan Junling)14試合-10失点 中国代表でも正GK務める守護神だが、第2ラウンド上海申花戦で目を負傷し手術で離脱,年内復帰は難しくACLはメンバー入りも欠場確定。痛い・・

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34 陳威(Chen Wei) 7試合-8失点 98年生まれ、顔駿凌の負傷で代役を務める。年代別代表では正GK勤めており、国際経験それなりに。陶器で有名な景徳鎮出身、FWとしてトライアルし不合格だったが、GKならどうか?ということでGKになったらしい。2017年ACL準決勝(浦和レッズ戦)で顔の出場停止によりプロデビューしている。

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22 孫楽(Sun Le) 2010年から在籍するがずっと控えGK、10年間で公式戦出場は37、顔駿凌が負傷したと思ったら若い陳威が台頭し第3GKだが、めげずに頑張れ。石家庄出身で、中国人選手で数少ない外様(孫楽、石柯、于海、今季新加入2人以外みんな下部組織上がり)

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DF

21 于海(Yu Hai) 11試合 1987年生まれでフッキに次ぐ年長者。若い頃は「中国のロッベン」と呼ばれるウイングでオランダのフィテッセでプレイ。代表ではFW起用もされたが、上港加入後ボランチ、左SBとポジション落とし2019年から3バックの1角に定着。前線出身だけあって攻撃の組み立てや攻撃参加に魅力。体が強くセットプレーのターゲットにも

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4 王燊超(Wang Shenchao)19試合3得点 フッキ不在時はキャプテンつとめる。主に右のウイングバックで起用されるが、CBやボランチ、両サイドバックをこなすマルチロール。今期3得点、昨年ACLでは全北、浦和から得点するなど得点力が向上、左からのクロスに点で合わせるパターンが多い印象。

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5 石柯(Shi Ke)14試合  杭州緑城時代に岡田武史に抜擢されたCB、上港でも代表でも主力として定着しているがポカ癖があり、アジアカップイラン戦でもポカ。足元も怪しくやや伸び悩んでいる印象。

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28 賀慣(He Guan)17試合 近年ほぼフル稼働している下部組織出身のCB、リッピ時代にはA代表にも選出されている。

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2 張衛(Zhang Wei)6試合  両サイドバックをこなす、信頼できるバックアッパー。今季は重慶戦で早々退場してしまった印象が強いが、貴重な戦力

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13 魏震(Wei Zhen) 16試合 1997年生まれのCB、U23枠の恩恵もありレギュラーとして出場も、U23枠ないACLでは出番があるか微妙。守備面は大きく安定したが、パスやフィードなど攻撃面の貢献はあまり期待できない。

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3 于睿(Yu Rui) 5試合 今季長春亜泰から加入したCB、185cmの高さを生かした力強い守備やセットプレーで得点力ある印象。当面はバックアッパーか

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23 傅歓(Fu Huan)17試合 攻撃的右サイドバックで代表にも入ったが、近年3バック体制ではCBの新境地も。 

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MF

8 オスカル(Oscar) 16試合5得点 元ブラジル代表 16年末にアジア各国リーグ歴代最高額で加入、1年目は乱闘騒ぎで8試合出場停止になるなどネガティブな話題も多かったが、2018年、19年は2年連続アシスト王に輝くなどその実力は圧倒的。サラリーキャップで危ぶまれたが今オフに契約延長し多くのファンを安堵させた。第2ステージでは負傷離脱してチームは勝ちから離れ、重要性を再度証明したが、ほぼフル稼働のためコンディション心配

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19 アーロン・ムーイ(Aaron Mooy)10試合1得点 豪州代表 イングランド・ブライトンから加入。プレミア97試合出場、ロシアW杯出場のプレイメイカ。移籍金は400万ポンド、年俸は300万ポンドと言われる。まだ働き盛りで、アフメドフの後釜としてかつAFC枠として申し分のない選手。上港でもデビュー戦で得点するなど上々な滑り出し。

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16 木热合买提江·莫扎帕(買提江,Mirahmetjan Muzepper)16試合
1991年生まれ、長い名前が示す通りウイグル族買提江と称されることが多い。山東魯能の下部組織出身、2018年カタール戦でウイグル族初のA代表デビュー。主にボランチ起用だが、左SBや左MFも対応。正確な左足でFKやCKキッカーも。前所属の天津泰達ではキャプテンも務め、即戦力として期待される。
37 陳彬彬(Chen Binbin)13試合 1998年生まれ、下部組織出身期待の左ウイングなのだが伸び悩んでる印象。適職が3トップのウイングなので3バックor5バックだと苦しい。先日のAFCU23アジアカップでは中国U23の主将務め、それなりに頑張ってたのにウズベキスタン戦のCK↓↓でネタキャラになってしまった。
6 蔡慧康(Cai Huikang)8試合 チームの長老格の一人、ポッチャリしている守備的MFだが代表とクラブで活躍。昨年から楊世元らの対等で影が薄くなっており、出番が減っている。セットプレーでの勝負強さが印象的。

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11 吕文君(Lü Wenjun) 20試合 FW,攻撃的MF,ボランチ,両WBをこなす貴重な戦力で今季は唯一リーグ戦全試合出場。今期はWB起用が多いか。若い頃は気性が荒かったが、技術も高く歴代監督にとって不可欠の存在に。原田泰造または世紀末リーダーたけしに似てる。

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20 楊世元(Yang Shiyuan) 12試合1得点 94年生まれの守備的MF、スタミナ豊富で献身的なプレイで、2019年から台頭しスタメンに食い入るようになった。その後負傷で長期離脱したのは残念だったが、蔡慧康に取って代わる存在と期待。

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15 林創益(Lin Chuangyi) 11試合 広東省出身だが、生え抜き。ゲームメイカータイプだが、右サイドバックでの起用も。それなりに出番をもらいながらも、決め手に欠けそろそろ結果出したい。

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FW

10 フッキ(Hulk)16試合5得点 元ブラジル代表 その能力の高さ故の自己中心的プレイがブレーキにもなっていたが、キャプテン就任後はエゴを捨ててチームプレーに徹した。年齢面(今年で34歳)及び今季限りで契約満了で今回が最後のACL確実。

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*ACL欠場 7 アルナウトビッチ(Marko Arnautović)18試合7得点     オーストリア代表 19年夏にウェストハムから加入。長身ながら技術もありオーストリアのイブラヒモビッチ。昨年はリーグ11試合9得点だが最終戦で降格決定していた深圳に4得点と稼いだのもあり数字ほどのインパクトはなし。かつACL浦和戦ではブレーキになっていたのも不満。今期は第1ステージは活躍も第2ステージで怪我などもあり沈黙。またオーストリア代表合流のためACLは欠場に

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9 リカルド.ロペス(RIcardo Lopez)17試合5得点 今季新加入、2016年から韓国の全北で大活躍したアタッカー。長期的にはフッキの後継者と考えてるようだが1年目からそこそこ活躍。第5の外国人予定だったがアルナウトビッチ欠場でACL登録メンバー入り。豊富な経験を生かして欲しいもの

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14 李聖龍(Li ShengLong)17試合1得点 下部組織出身のFW、外国人FWに阻まれ中々出番なかったが、武磊退団後の2019年は7得点と活躍。スーパーサブで嗅覚で勝負するタイプだが、献身的な守備も魅力。2019年ACL全北戦ではしつこい守備で相手選手を退場に追い込んでいる。HIPHOPが好きらしく、イベントでマイク持つことも。

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↓ACL登録メンバーリスト

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