■ACL出場チーム 広州恒大

■広州恒大淘宝 Guangzhou Evergrande Taobao (リーグ戦2位)

・概要
母体は1954年に成立、プロリーグ化後は広州太陽神、広州吉利、広州香雪、広州日之泉、広州医薬経て2010年恒大グループによる買収に至る。前年八百長疑惑で降格していたが、即昇格後2011年から7連覇。ACL優勝2回&CWCベスト4も2回。資金力で監督、選手ともに買漁ることでも名を挙げた。一方移籍金、賃金など高騰させたのは恒大の功罪も。
2015年より恒大に加えアリババグループも出資、中国のクラブの先駆けとして株式市場上場を果たした。恒大CEO許家印、アリババCEO馬雲(ジャック・マー)は中国の長者番付1,2位を常に争う大富豪である。

・ACL戦績 
初出場の2012年から9年連続参加。優勝2回、GL敗退は1回のみ、優勝以外の目標はありえない。

監督

ファビオ・カンナバーロ(Fabio Cannavaro)1973年イタリア出身、ドイツW杯優勝、バロンドール獲得等現役時代の栄光は数知れず。2015年リッピの後任として恒大監督就任も途中退任。その後天津権健(現在天海)率い2部から昇格&ACL初出場&リーグ最優秀監督の勲章引っ提げ2018年帰還。元々の名声、実績もさることながら積極的な若手登用も評価され、恒大のミッションである若手化、本土化も期待される。
ただ過日退任した代表監督リッピの後任に引き抜かれるとの噂も絶えない。

移籍市場

昨年初めて優勝を逃し覇権奪回に燃える恒大は積極的な動きで賑わした。

外国人選手は昨年からレンタル加入していたパウリーニョタリスカ完全移籍オプションを行使。一方で2012年からチームを支えたキムヨングォンはガンバ大阪へ。リカルド・グラルはパルメイラスへ、アランは天津天海へいずれもレンタルで放出している。

続いてエバートンからDFブラウニング(Tyias Browning)、慶南FCからDFパクジス(Park Jisu)を獲得、ACLはこの外国人4人態勢で臨む。

*ブラウニングは後述する通り祖帰化前提の獲得だが、まだ間にわずイングランド人として起用される見込み。

彼ら以前にも祖父が中国人のペルー代表招集歴あるRoberto Siuchoも獲得しているが、中国籍取得まで時間かかるため他クラブへ即レンタル見込。

そして中国人選手は出番少ないベテラン、中堅どころを多量の放出し、一方の若手有望株を大量に獲得し平均年齢が約3歳下がった。

U23の2人除き、張成林、廖力生(→天津天海)張文釗(→北京人和)鄒正(→広州富力)鄭龍(→大連一方)いずれも代表歴ある選手たち。

2月に入り、まず韋世豪(Wei Shihao←北京国安),高准翼(Gao Zhunyi←河北華夏),呉少聡(Wu Shaocong←清水エスパルス)を獲得。先のアジアカップ代表メンバーの韋世豪は勿論、J2富山、福岡でプレイした高准翼もA代表経験あるCBで共に95年生まれ、呉は2000年生まれでU19代表にいたCB。

そして2月7日、天津天海(前権健)から劉奕鳴(Liu Yiming)張修維(Zhang Xiuwei)、長春亜泰から何超(He Chao)を獲得。いずれも95-96年生まれでA代表歴あり、今後の中国代表を支えるであろう選手達だ。(長春は2部降格しており、天津天海は報道されている騒動の渦中で選手流出が噂されているので、放出は理解できる)

一方で天津天海には前述のFWアラン、MF廖力生、DF張成林、MF温家宝をレンタルさせトレードのような形になっている。

これにより95、96年生まれの主要な選手をほぼかき集めてしまった。

広州恒大は2020年に「全华班(全員中国人選手)」のチームにする公約を掲げている。また2010年代の栄光を支えた中国人選手たちは皆30代に突入し、負傷やパフォーマンス低下が顕著になった。新陳代謝という点でも見事な補強と言える。

恒大は自ら毎試合外国人起用最大2名と自ら外国人枠を制限した。前述の本土化策を見据えており、今期どうなるか注目。

・外国人選手

MFパウリーニョ (Paulinho) ブラジル代表 中国リーグでも屈指の大物かつ恒大での活躍及びそれからブラジル代表復帰した成功例。17年夏にバルセロナへの移籍は驚いたが、翌年低迷する恒大が買い戻し(レンタルからの完全移籍)も驚いた。ボランチながら19試合13得点、2・3人分の価値があり、今期はより攻撃面での貢献が期待される。

MF タリスカ(Talisca) ブラジル 
昨年夏にレンタルで加入し半年で18試合16得点と驚異的なパフォーマンスを見せ、ベンフィカから完全移籍。ブラジル代表招集歴もあり、両足、ヘッド、どこからでも点が取れる化け物。個人能力でいえばかつてのコンカ、エウケソン、ムリキらをも凌駕。全アジアに強烈なインパクトを残すかもしれない。グラル、アランが去り得点源としてより一層期待される。 

DF ティアス・ブラウニング(Tyias Browning) イングランド
エバートンから加入したCB。年代別イングランド代表歴あり、エバートンでは7試合出場にとどまり主に下部へのレンタルで経験を積んだ。祖母が中国人で、将来的な中国国籍取得を見据えての獲得。

DF パク・ジス(Park Jisu・朴志水) 韓国代表
慶南FCの躍進に貢献、韓国代表歴あるDF。若く、先輩キムヨングォンのAFC枠後釜として噂があがり、冬のキャンプに早くから合流していたが、その後ブラウニングや中国人DFを大量に獲得したことにより正直必要性に疑問符。外国人2試合政策もあり出番がどこまで見込めるか・・

・その他注目選手

アジアカップ出場選手(曾誠、張琳芃、馮瀟霆、李学鵬、鄭智、于漢超、郜林、韋世豪,劉奕鳴)は以下を参照


DF高准翼(Gao ZhunYi)
 父が元代表の高仲勲、1995年吉林省延辺朝鮮族自治区出身の朝鮮族。J2のカターレ富山、アビスパ福岡でプレイし日本のファンにも多少馴染がある。その後山東魯能経て河北華夏幸福でレギュラーに定着しA代表入り。高齢化が進む恒大、そして中国代表の未来を担うDFとして期待される。童顔

MF 張修維(Zhang Xiuwei)
フランス・リヨンの下部組織出身で、天津権健(現天海)で活躍、プレイも髪型も【中国のモドリッチ】と期待される攻撃的MFが加入。1996年生まれでU23枠にも該当。年代別代表では10番を背負い昨年末に代表デビューした有望株だが、17年夏に飲酒運転事故を起こしAFCU23選手権含め半年以上を棒に振った。天才の再起に期待したい

 

フォーメーション

Talisca--------郜林--------韦世豪(于漢超)--

--------黄博文(张修维)Paulinho-----

---------------何超(鄭智)--------------

李学鵬-----劉奕鳴-馮瀟霆------張琳芃
(ブラウニング,パク,高准翼)(鄧涵文)
---------------曾誠(劉殿座)-------------

39歳の鄭智筆頭に長年恒大の栄光支えたベテラン達から、今期加入した選手達がどこまでポジションを奪えるか。本職が李学鵬しかいない左SBは不安。一方CBは飽和状態なので3バック導入の可能性も。

グラル、アランの移籍でタリスカ&パウリーニョへかかる期待はより大きくなる。


恒大のホーム・広州天河体育場は古びたスタジアムのイメージだったが、今オフに座席を前面リニューアル。新しい天河スタジアムを是非ご覧頂きたい




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