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2024年中超リーグ展望など
2024年の中国スーパーリーグ(中超)は3月1日に開幕予定。
2023年の展望とまとめ
◆リーグ冠スポンサー変更
長年冠スポンサー務めた大手保険会社の平安保険が離れ、
深圳に本社置く大手飲料メーカーの華潤怡宝(C'est Bon)を冠とする
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◆力関係、順位予想
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山東泰山 上海海港
——————(優勝候補)—————————
北京国安 浙江 成都蓉城 上海申花
——————(優勝争い~ACL圏)—————————
武漢三鎮 長春亜泰 天津津門虎 梅州客家 河南 深圳新鵬城
——————(中堅、上位は厳しいが降格もしなそう)—————————
滄州雄獅 南通支雲 青島海牛 青島西海岸
——————(残留争い)—————————
優勝候補は前年王者の上海海港と2位山東泰山の一騎打ちと予想。
上海海港は前横浜マリノス監督のケビン・マスカット新監督を迎え、戦力をほぼ維持。昨年はオスカル、ヴァルガス以外の外国人選手が微妙だったが、武磊筆頭に下部組織生え抜きの中国人選手の実力で頭一つ抜けた格好。今季は補強した新外国人がどこまで機能するかもそうだが、テーマは世代交代。武磊、顔駿凌、张琳芃、王燊超、、33~35歳のベテランからの脱却が必要。
山東泰山は昨年限りでフェライニ&モイゼスが抜けた穴が懸念されるが、その状況でもACLで川崎にアウェーで勝利し中国勢唯一のベスト8進出は大きな自信となった。Kリーグから獲得したカザイシュビリ&ゼカに加え、中国代表級を数人補強。23年リーグ最優秀監督のチェ・ガンヒ監督の元で、国内リーグそしてACLでどこまでいけるか期待される。
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2強を追う第2グループの中で、注目は成都蓉城。昨季4位でACLまであと一歩。22年昇格後5位→4位と上位定着。ホームの鳳凰山スタジアムで無類の強さを誇る。
今季は前述財政難の武漢三鎮からFW韋世豪、MF厳鼎皓、DF李揚の主力級3人獲得。上海海港からMF買提江、天津からDF楊帆、共に代表経験者を獲得。外国人選手はブラジル出身3人衆に加え、光州FC(韓国)からオランダ代表招集歴あるDFレツヘルト(Timo Letschert)、ハポエル・テルアビブからイスラエル人DFグルフィンケル(Yahav Gurfinkel)を獲得。大型補強で戦力的には優勝争いも狙える。
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2年連続3位の浙江FC。ACLはグループ敗退も、開幕4連敗&本来のホームスタジアム利用できないなどの苦しい状況から3位まで巻き返したのは本物。昨年リーグ得点王のFWレオナルド(元浦和、新潟、鳥取)のレンタル継続が大きい。個人的には中国期待の17歳FW王鈺棟(Wang Yudong)の成長に期待
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昨年カップ戦を制しACL参戦する上海申花は、ロシア代表やCSKAモスクワ等を率いたスルツキ監督を招聘。
アジアカップ代表のFW謝鵬飛(←武漢三鎮)MF高天意(北京国安←)
ブラジル人FWアンドレ.ルイス(←モレイレンセ)ポルトガル人DFマナファ(←グラナダ)と補強も上々。開幕前のスーパーカップでは海港に1-0で勝利。
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昨年6位の北京国安はマリ代表歴あるDFトラオレ(Mamadou Traoré)、ポルトガル人MFグガ(Guga)。解散した大連からFW林良銘、DF何宇鵬の代表経験者2人、昨年U17アジアカップ出場のMF張一諾を補強。戦力的にも充分上位を狙える。
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22年王者の武漢三鎮は昨年は7位。退任した高畠勉監督の後釜にリカルド・ロドリゲス(元徳島・浦和)を迎えた。しかし新スポンサーが見つからず当面武漢市傘下で運営することもあり、経営規模縮小気味。外国人選手に加え、多くの中国代表級を売却し資金調達。一方で若手の中国人選手を多く補強しよく言えば若手路線、悪く言えば戦力低下。チームの経営状況も不安定なことから、残留争いまであり得る。
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長春亜泰、天津津門虎、梅州客家、河南は中位グループか。
この中で、大型補強の天津津門虎がダークコース候補と予想
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シティグループ(CFG)の深圳新鵬城は昇格組、昨年までは四川九牛の名称だったが今季から深圳に移転し名称変更。戦力的にも残留は必須で、中位進出が望まれると予測。早速同じCFGのニューヨークシティからブラジル人FWティアゴ(Thiago Andrade)をレンタルで獲得。また香港代表のエースFW安永佳(Matt Orr)も加入。昨年中甲(2部)で得点ランク2位。
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滄州雄獅は解散も降格もせずに頑張っているが、以前経営面も残留争いも危険水域にいる。
今季も開幕直前に外国人選手3人+香港代表を補強補強したが、戦力的にも厳しい。降格しても、解散しなければいつかは戻れるだろうが・・
昨年昇格即残留した南通支雲、青島海牛は今季も残留争い。
加えて昇格組の青島西海岸、この4チームから降格チームが出ると予想。
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黒崎久志監督ら日本人スタッフ率いる青島西海岸は、下記記事を参照
◆チーム紹介
・上海海港(Shanghai Port)
00年に元代表監督徐根宝(Xu Genbao)が私費投じ、上海北郊の崇明島に創設した上海東亜が原点、中乙(3部)からスタートし12年中超(1部)昇格。
12年国有企業の上海国際港務グループ(略称上港集団、SIPG)買収後金満化。育成も充実しており、現トップチームも武磊、張琳芃ら多くの主力は生え抜き、年代別代表にも多くの選手を常時輩出。
21年上海上港→上海海港にクラブ名変更。
詳しくはACL時のレビューをどうぞ
監督 ケビン・マスカット(Kevin Muscat/オーストラリア)
73年生まれ、同国代表として活躍後、メルボルン、シントロイデン、横浜Fマリノスへて今季から監督就任。
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DF/MF王振澳(Wang Zhenao)解散した大連から加入、アジア大会で主力だった
・山東泰山(Shandong Taishan)
ホームタウンは中国東部の山東省済南市。1956年に成立した山東省チームが源、94年にプロクラブ山東泰山(泰山は山東省の聖地的な山)98年山東省の国有コングロマリット・魯能グループが資本参加し山東魯能泰山、22年協会の政策でチーム名からスポンサー企業を外さねばならなくなり山東泰山に。
99年二冠以降リーグ優勝4回、カップ戦優勝6回、スーパーカップ・リーグカップ優勝各1回。
昨年はリーグ、カップ、スーパーカップともに2位。
今年はタイトルに加え、中国勢唯一勝ち残り中のACLでも上位進出を期待。
詳しい紹介はACL出場時のレビュー参照。
監督 チェ・ガンヒ(崔康熙Choi Kanghee/韓国)
59年韓国生まれ。監督としては全北現代を長く率い、韓国代表監督も経験。大連一方、上海申花に続きと中国で3チーム目。
2023年中国リーグ最優秀監督に選出。妥当。代表監督なってください
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しかし補強の目玉で、補強費の大部分180万ユーロで獲得したゼカが負傷で今季絶望・・
・浙江(Zhejiang Professional F.C.)
昨年3位。98年設立。ホームタウンは浙江省杭州市。
不動産デベロッパーの緑城グループ(Greentown)が創立からスポンサー。現在は国有企業の浙江能源と半々で株式保有。
何度もチーム名変更しているが杭州緑城時代岡田武史・トルシエ・ホンミョンボが監督務め、岡田監督時代2013年は大黒将志も在籍。現在も下部組織に日本人指導者がいて、今治FCと提携。スポンサーにPanasonicや東芝、、と日本と縁が深いクラブ。
詳しい紹介はACL出場時のプレビュー参照
監督 ジョルディ・ヴィニャルス(Jordi Vinyals/スペイン)
63年生まれ。バルセロナ下部組織出身、引退後にバルセロナのカンテラ監督等をへて15年中国へ。19年まで青島黄海。21年浙江監督就任後、1年目で1部昇格、2年目昇格組ながらリーグ戦3位&カップ戦準優勝と躍進。
昨年は開幕4連敗&ACLも参戦しながら2年連続の3位に。
戦力的にそこまで上位とは言えない浙江を2年連続3位は見事な手腕。
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今季もレンタル継続で残留。昨年ACL乱闘騒ぎの影響でACL-Eは出場停止の分、国内リーグでの活躍が期待される
・成都蓉城(Chengdu Rongcheng)
昨季4位。18年創設、ホームタウンは四川省成都市。親会社の成都興城は国有企業で経営面も安定していたこともあり、コロナ禍の22年に中超昇格後5位、4位と上位キープ。今季の大型補強で戦力的には優勝争いを狙える。
ホームの鳳凰山スタジアムは中国開催予定だった23年アジアカップ向けに建設された専スタの一つ。
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監督 ソ・ジョンウォン(徐正源Seo Jung-won/韓国)
70年生まれ、現役時代韓国代表88試合出場。
21年就任し4年目、過去3年は1部昇格→1部5位→4位と結果を出し、中国代表監督への待望論も。
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・上海申花(Shanghai Shenhua)
昨年5位。前身は51年創立、大都市上海で長い歴史を誇り、昨年創設30周年を迎えた。
23年から国有系の建設会社・上海久事が親会社に。その影響で長く利用していた虹口スタジアムから、宿敵上海海港の元ホーム・上海体育場へホーム移転(久事の施設のため)
長くリーグ優勝から遠ざかっているが(最後は03年だが八百長ではく奪、その前は95年)カップ戦で強く、昨年も優勝しACL出場権獲得。
多くの若手が台頭し、今オフの積極補強で今後に期待。
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監督 レオニド・スルツキ(Leonid Slutsky/ロシア)
71年ロシア生まれ。ロシア代表やCSKAモスクワ等を率いたことで知られ
本田圭佑と縁が深い。
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・北京国安(Beijing Guoan)
昨年6位。前身は55年創立の北京隊で、プロ化初年度から存続する。
現在は不動産会社の中赫グループ(Sinobo)が筆頭株主。
首都北京のチームで、人気実力ともに中国トップクラスのチームだが、リーグ優勝1回のみ(09年)は物足りない。カップ戦は5回優勝
監督 リカルド・ソアレス(Ricardo Soares/ポルトガル)
74年ポルトガル生まれ、23年監督就任
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・武漢三鎮(Wuhan Three Towns)
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昨年7位、一昨年優勝。詳しい紹介はACL出場時のレビュー参照。
昨年夏にスポンサー離脱後、経営危機に。現在も武漢市体育局が管轄しており、今オフは多くの主力選手を売却し資金捻出した。
一方で多くの若手を獲得、平均年齢24歳は16チーム中最年少。
監督 リカルド・ロドリゲス(Ricardo Rodríguez/スペイン)
74年スペイン生まれ。16年から徳島、21年から浦和監督を務めた。
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昨年はスウェーデンリーグに挑戦も適応できず2か月で退団。
・天津津門虎(Tianjin Jinmen Tiger)
昨季8位。前身の天津隊は1956年設立。94年プロ化後は天津泰達の名称が長かった。コロナ禍で解散危機にあったが、現在は天津市の国有企業傘下となり経営安定。10年にリーグ2位、11年カップ戦優勝。
ホームの泰達体育場は専スタ。15年の天津港爆発事故の影響で暫く使えなかったが、23年後半戦から利用を再開。
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監督 于根偉(Yu Genwei)
74年天津市出身。現役時代天津一筋のバンティエラ。02日韓W杯にも出場、予選突破決めた試合で決勝点、いわば中国の岡野雅行。
21年監督就任、昨年はホーム無敗、一時は上位争いもし23年の年間最優秀中国人監督に選出された。
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・長春亜泰(Changchun Yatai)
昨年9位。ホームは吉林省長春市、最も北にあるチーム。冬の寒さが厳しく3月末に漸くホーム緒戦。
96年設立ともはや老舗の部類。07年にリーグ優勝、09年2位。21年4位でACL出場権得るも、諸事情で出場辞退は残念。
親会社は国有企業系で、経営安定しているのは強み。
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監督 陳洋(Chen Yang) 77年遼寧省瀋陽出身。20年から監督務め、評価はあまり高くないが安定はしている気がする。
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・河南(Henan)
昨年10位。ホームは河南省鄭州市。1959年に設立された河南省チームが源。94年プロ化後は河南建業グループが経営参加、30年存続する稀有なチーム。
00年代まで2部が多かったが、14年以降はずっと中超。09年3位が最高
現在建業は離脱し、株式の7割を鄭州市や洛陽市の国有企業が保有。
今季から酒メーカーがスポンサー入り、正式チーム名は河南酒祖杜康队。
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監督 ナム・キイル(南基一Nam Ki-Il/韓国)
74年韓国出身。昨年まで済州監督。
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・梅州客家(Meizhou Hakka)
2013年創立、22年中超昇格。昨年11位
サッカーどころの広東省でも辺鄙な梅州市。更にホームスタジアムがあるのは五華県。中超初の市ではなく県(日本の郡部に相当)のローカルチーム。
まさに地元のクラブであり、国有企業や大企業のバックアップもない中でトップリーグ定着しているのは見事。
第二次大戦期に活躍した李恵堂(Lee Wai Tong)の出身地で、ホームスタジアム名も彼にあやかっている。
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監督 パブロ・ヴィジャール(Pablo Villar/スペイン)
スペイン出身、今季から就任。
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昨年後半戦加入後15試合7得点で残留貢献したエース格
・滄州雄獅(Cangzhou Mighty Lions)
昨年12位。ホームタウンは河北省滄州市。
11年創設時は福建駿豪の名称で福建省のチームだったが、13年河北省石家庄市に移り石家庄永昌、21年同じ河北省の滄州に移転し現在のチーム名に。
20年以降中超に残留も、例により財政難で主力の離脱相次ぎ残留争い。
22年のホセ・カンテ(→浦和)昨年大活躍の元クロアチア代表スコリッチもシーズン途中に給与未払理由に退団している。
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監督 肇俊哲(Zhao Junzhe)
79年遼寧省出身。現役時代遼寧一筋で02年日韓W杯フル出場。23年監督就任
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目玉はザンビア代表DFスンズ(Stoppila Sunzu)代表89試合、アフリカ杯5大会出場
15年上海申花、その後フランスリーグへて20年石家庄(滄州の前身)昨年は2部済南、今季また復帰
・青島海牛(Qingdao Hainiu)
昨季13位、90年創設。山東省青島市の地方の民間クラブながらプロリーグ初年度から存続している稀有なクラブ。01年カップ戦を制したが、14年から2部、17年から3部に低迷。しかし今思えばバブル期に低予算の下部リーグで過ごしてなければ、既に解散していたかもしれない。
今季は青島西海岸との青島ダービーが楽しみ
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監督 ヤセン・ペトロフ(Yasen Petrov/ブルガリア)
68年生まれ。現役時代ブルガリア代表にも選出、指導者として母国でキャリア積んだ後14年に石家庄を躍進させ、その後も北京北控、河南、18年からも再度石家庄監督。21~22年ブルガリア代表監督を挟み、今季から監督就任。中国通算7シーズン、4チーム目
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韓国の水原三星から昨年加入。
・南通支雲(Nantong Zhiyun)
昨年14位。2014年創設の広西龍桂達が源、15年に現在のホーム江蘇省南通市に移転。19年中甲(2部)昇格、23年中超昇格し最終節で残留を決めた。
地理的にも近い上海の海港、申花から多くの若手を借りてる印象。
親会社の南通潤天は燃料関連の民間企業。
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監督 ユラソビッチ(Mihajlo Jurasović/セルビア)
72年生まれ。昨季監督務めたガブリ(元バルセロナ)、ポルトガル人パトリシオに続いて、今年就任。
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・深圳新鵬城(Shenzhen Peng City)
昨季中甲(2部)優勝、初昇格。
17年創設、19年シティフットボールグループ(CFG)入りし、現在CFGが株式の47%を保有。昨年まで四川省がホームで四川九牛の名称だったが、今季から広東省深圳市に移転し名称変更。四川には成都蓉城がいる点、中国有数の大都市深圳は、深圳FCが解散したためマーケット的に空いていたためか?
CFGの繋がりで、監督タトは元ムンバイ、今季はニューヨークシティからブラジル人FWティアゴを補強。注目の新参クラブ。
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監督 ヘスス・タト(Jesús Tato/スペイン)
83年スペイン出身。現役時代スペイン年代別代表経験。引退後インドでの指揮を経て、22年アシスタントコーチ、23年から監督を務める。
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父がニュージーランド人、アメリカ育ち。なんかずるい
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Good luck message from City Football Group family prior to the debut of their newly relocated sister club Shenzhen Peng City. pic.twitter.com/0Z3CrN60tg
— China Sports Vision 2050 (@CSV2050) March 2, 2024
開幕控え、CFGの他クラブから激励のコメント
・青島西海岸(Qingdao West Coast)
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07年創設。昨季中甲2位、昇格。
詳細は下記記事で
https://note.com/yeehope87/n/nde64e1460b17
監督 黒崎久志(Hiroshi Kurosaki/日本) 詳細は省略
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◆外国人選手、邦本宜裕、、
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