翻訳記事:李磊 日韓との差、スイスでの生活、女子サッカーなど
2022年1月にスイス・グラスホッパーに加入した李磊(Li Lei)のインタビュー記事
↓中国語 元記事
武磊もエスパニョールを退団し中国復帰した今、実質中国代表クラスで唯一の国外組。しかし怪我もあり出遅れ、出たりでなかったり、スタメン確保までは至っていない。(注:21/22シーズンリーグ戦11節中、先発3途中出場1)
グラスホッパーには日本代表の川辺駿、瀬古歩夢も在籍しており、彼らとの関係性も語っている。
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李磊:我々と日韓の差は大きい 日本人選手は欧州で認可を得ている。
先般の国際Aマッチデーで、休暇を得ることができた。(注:中国代表は国内リーグ消化に必死で、ゼロコロナ政策の影響もあり年内は活動なし)
外出して調整する他に、サッカーについて考えている。
欧州で、私はこっちで活躍する日本と韓国の選手たちの努力、そして女子スポーツの発展に注目している。コンフォートゾーンを捨てて挑戦する中国女子代表たち含めて(注:男子と違い中国女子代表は海外移籍が盛ん)
世界のサッカーは毎日進化しており、我々は止まることはできない。差を直視し追いかけるべき。
国際Aマッチデーで、3日間の休暇を得た。休暇といっても家族は中国にいるため、試合や練習の日々ほど充実してない。1人で家にいると大抵はぼーっとしている。友達とオーストリアに旅行を計画している。
グラスホッパーで直近4試合全て出番があり自信になった。加入後これだけ連続で出場したことはなかったし、何より怪我しないことが肝心だ。
Aマッチデーで7人が代表召集され、トップチームは18人が残った。
スイスでの活躍でチームメイトの瀬古歩夢が日本代表に初選出された。00年代生まれの若いCBは年初に私と一緒に加入したが、今やカタールW杯出場の可能性があることは、私もうれしい。
他にも右WBボラ(Bendegúz Bolla)はハンガリー代表入りし、敵地で兄弟なドイツを破り、ネーションズリーグC組の首位。今季新加入のダダショフ(Renat Dadashov)はアゼルバイジャン代表での初ゴールを挙げた。我々のキャプテン・アブラシ(Amir Abrashi)はアルバニア代表の常連。昨シーズンスロバキア代表初召集されたヘルツ(Christián Herc)も召集された。他に若いFilipe de Carvalho FerreiraとSimone StroscioはU21スイス代表に。
これで分かる通り多士済々で、それぞれ強みがありチーム内で良い競争を促進している。
・ドイツ遠征
9月15日にバスでドイツに行き、シュツットガルトと練習試合を戦った。私はフル出場したがテンポが速く消耗が激しかった。CBに入った私の運動量は国内のSBより多かった。ドイツ1部リーグのクラブはずっと我々にプレッシャーを与え、テンポの速さと技術戦術レベルの高さを感じた。
サッカーの世界は狭い、前所属の北京国安時代にフィジカルコーチだったオリバー(Oliver Bartlett)がシュツットガルトにいて試合後話をした。英語力が足りずそこまで深い話はできなかったが、日本代表の遠藤航、伊藤洋輝がシュツットガルトに所属しており、オリバーに「中国人選手と日本人選手の差」を聞きたかった。2人とも代表入りしており、遠藤は先の2シーズンリーグのデュエル1位で、キャプテンだ。
・日韓のチームメイトたち
チームメイトの日本人、韓国人選手と良く一緒に食事をする。たまに午前中のトレーニング後、一緒にチューリッヒの湖で泳いだりもする。彼らの英語も私と大差ないのでコミュニケーションに困難はあるけどね、彼らも試合や練習ない時はいつも家でテレビを見ているらしい。
2002年生まれの韓国人チョン・サンビン(Jung Sang-Bin)は「韓国のムバッペ」の称号と共に加入。2度負傷したのと少し恥ずかしがりで、まだ馴染めていない。しかし彼はとても可能性秘めたアタッカーで、まだ20歳。以前韓国Kリーグでも活躍し韓国代表としてアジア最終予選を戦った。
川辺駿は以前サンフレッチェ広島のキャプテンだった、私より半年早く加入したが彼の能力やパフォーマンスは確かにキープレイヤーのレベル。今季8試合で3得点2アシストを記録している。スタッフに聞いたら、川辺が来たばかりのころは瘦せていてフィジカルに不安あったが、努力を経て完全にスイスに適合した。
瀬古歩夢は日本の天才型、加入前Jリーグで100試合近く出場しJの最優秀新人賞だった。彼を見ると中国代表のチームメイト、朱辰傑(Zhu Chenjie)を思い出す。両方とプレイした経験から現段階の能力は朱は決して瀬古に劣っていない。
・日韓との距離
本来は休暇中にドイツで日本VSアメリカ戦を観戦したかったが、トレーニング計画変更もあり実現しなかった。スコアとデータから見れば日本は完勝だったし韓国もコスタリカに十分勝てた。
我々と隣国日韓との差は既にとても大きい。欧州でプレーする日本人選手は多く、日本代表入りできない選手でも欧州主要リーグで出番得ている。
欧州のプロサッカーの世界で、日本人選手は既に認められている。欧州クラブにとり、日本人を獲得するのはブラジル、アルゼンチン人獲得と同じような行為。彼らは移籍市場で価値があり、多くのクラブが専門のスカウトを設けて毎週JやKリーグを視察している。
欧州クラブにとって中国人選手はまだ未知数、確かに長く欧州5大リーグで定着した選手はおらず、近年も武磊が1人スペインでプレイしたのみだ。日韓の選手が一歩一歩認可を勝ち取ったように、我々も勇気と忍耐を以て欧州にトライする必要がある。
武磊とも話したが、我々の年齢で更に能力を伸ばすのは難しく、主に試合の臨み方を学び、視界を広げることだ(注:武磊は91年、李磊は92年生まれ。共に30前後で欧州へ渡った)
育成面でも代表の成績においても、我々と日韓には大きな差がある。1選手としてこの事実を受け入れたくはない。日韓のチームと対戦すれば闘志を燃やし、勝ちたい。一方でこの事実を直視し努力し変えていかねば、日韓を仰ぎ見るだけで、タイやベトナムにも置いていかれるだろう。
今年のACL東地区決勝で、2019年(北京国安時代)対戦した浦和レッズ、全北現代が対戦。当時国安はホームで浦和を圧倒しシュート本数22-1と圧倒した(注:結果は0-0)。今年浦和は東地区を制した。全北は決勝Tで3戦連続120分プレイした。両チームはACLでの成功経験をDNAのようにチーム文化に植え込んでいる。
(注:中国勢はゼロコロナ政策の影響でACLへの主力派遣が難しく、21年、22年とリザーブチーム派遣している)
・女子に学ばねばならない
中国女子代表の張琳艶(Zhang Linyan)が今夏にグラスホッパー女子チームに加入した。先に来た先輩として彼女をサポートせねばならない。男女の練習時間は異なるが、週1で一緒に食事している。
女子代表で張は若手だが、スイスに来てからチーム内で若手と言えないことをに気づき、チームに溶け込むため語学を勉強し、努力している。リーグ、カップ戦ともにゴールを決めた。
以前は時差もあって欧州の女子サッカーをあまり注目していなかったが、彼女たちのテンポや強度は高く、フランス、ドイツ、スペイン、イングランド等の試合は深く印象に残った。毎試合5-8万の観客が入る、これは選手への最大の肯定だ。
近年欧州のビッグクラブでは男女が同じプログラムや設備でトレーニングしており、これが彼女たちの急速な発展を促した。
今夏に多くの中国女子代表が国内のコンフォートゾーンを飛び出し欧州へ挑戦した、この勇気とサッカーへの執着を学ばねばならない。サッカーは一瞬の教育で多くの道理を教えてくれる。何かを得るためには支出が伴う。
私にとってサッカーは生活の一部分、とても大きく重要な部分だ。サッカーには物語があり、どのように物語を見るかだ。ある人は狂ったというかもしれないが、それは彼らにその勇気がなかったためだろう。