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■2023ACL出場チーム紹介 上海海港

(8/22)   プレーオフでバトゥム(タイ)に2-3で敗退。屈辱 


・クラブ概要

■上海海港 Shanghai Port Football Club (リーグ戦4位)

 2000年に元代表監督徐根宝(Xu Genbao)が私費投じ、上海北郊の崇明島に創設した上海東亜が原点、中乙(3部)からスタートし12年中超(1部)昇格。
 本来育成型クラブだったが、国有企業の上海国際港務グループ(略称上港集団、SIPG)が資本参加してから金満化。バブル絶頂期の16年に4700万£でフッキ、監督ビラスボアス、年末にオスカルを6000万£で獲得し世界に名を轟かせた。18年リーグ制覇し初タイトル。
 とはいえ育成も充実しており、現トップチームも武磊、張琳芃ら多くの主力は生え抜き、年代別代表にも多くの選手を常時輩出。
 21年上海上港→上海海港にクラブ名変更。クラブ名にスポンサー企業名を使用できなくなったため。

ホームスタジアム
 長く上海体育場(八万人体育場)を使用していたが、20年源深体育中心に移転(コロナで1試合しか開催出来ず)
 そして22年に待望の専用スタジアム浦東足球場が完成。中国開催予定だった2023アジアカップに向け建設された専スタ群の一つ、23年ゼロコロナ政策終了しホーム&アウェイ復活後、漸くホームとして稼働。
 立派なスタジアムだが、上海市郊外にあり辺鄙。地下鉄駅からはすぐだが周囲に売店もあまりなく。また警備等の理由で入場制限されており、毎試合1万人程度しか入れない。

動員制限が残念
上海市地下鉄14号線・浦东足球场站(Pudong Football Stadium Station)下車5分

・過去戦績、監督、移籍市場

・ACL戦績

出場7回目。16年.19年8強/17年4強/18年.20年16強、今年こそ更に上の成績が欲しい。ACLではプレーオフ含めホーム23試合無敗(16勝7分)。
ゼロコロナ政策の影響で21年はリザーブ派遣でGL敗退、22年は上海ロックダウンで出場辞退。実質3年ぶりの出場。
21年はノーカウントとして、初出場から6回全て決勝T進出は立派

・監督

ハビエル・ペレイラ(Javier Pereira/スペイン)
66年スペイン生まれ。アシスタントコーチ歴が長く、18年重慶でジョルディ・クライフのアシスタントとして来中。その後レバンテ監督経て、20~21と22~23年河南監督として健闘したのを評価され、23年上海海港監督就任。
 1年目、チームは首位独走も、選手の個人能力便り&ライバルの不調に救われたの感。戦術采配に見るべきものは少なく、オスカル・武磊ら30超えの主力に固執するなど成績の割に評価は微妙。

・移籍市場の動き

 昨季低迷の主因は得点力不足。武磊への依存度が高かった攻撃陣は期待外れで退団したセネガル人FWエンディアイエの後釜として、オーストリア人FWピンクを獲得。
 だが1番の補強は昨年ほぼ稼働できなかったオスカルの完全復帰。中国リーグはおろかACL全体でも屈指の大物選手であることは間違いない。
 夏にはポルトガル&アンゴラ代表経験者FWルーカス・ジョアンを獲得。入替に怪我がちだったブラジル人MFパウリーニョがUAEのAlBataehへ(移籍金300万ユーロ)。
 なお、昨年J3カターレ富山に在籍したMF陳彬彬(Chen Binbin)は負傷療養で今だ出場なし。

・2023年シーズン状況

2位以下に勝ち点差10以上つけて首位独走中。順調な成績だが、ライバルと目された三鎮・山東がコケたこともありリーグ制覇は時間の問題か。
第19節には宿敵&2位の上海申花とのダービーを、アウェーで5-0と大勝。

2敗はいずれもホームで10人の相手にロスタイムに被弾している

・予想フォーメーション


4バックか
3バックならこんな感じか

・選手紹介

(スタッツは8/14時点のリーグ戦の数字)

プレーオフの登録メンバー

GK

1顔駿凌(Yan Junling)22試合-19失点 91年
上海出身。下部組織から一筋で、クラブと中国代表で共に不動の正GK。今年クラブで公式戦400試合出場を達成。191CMの長身ながら反応も鋭く、若い時分に欧州挑戦してても面白かったと思うが。離婚歴あり。

34陳威(Chen Wei) 0試合 98年
陶器で有名な江西省景徳鎮出身。U23代表では正GKでU23アジアカップ出場。FWとしてトライアルし不合格だったが、GKならどうか?ということでGKになったらしい。2017年ACL準決勝(浦和レッズ戦)で顔の出場停止によりプロデビューした。顔駿凌の壁が厚く、ずっと控えは勿体ない。

DF

2李昂(LiAng)13試合 93年 CB/LB
漢王朝の祖・劉邦を輩出した江蘇省沛県出身。長く江蘇でプレイしたがチーム解散で21年に海港へ。187CMと高さ、強さに加え左足のフィードや直接FKも魅力。一方で重くスピードは欠ける。カタールW杯アジア最終予選にも出場するなど代表8試合出場。蒋光太&張琳芃の控え濃厚

インスタやってます @2li_ang

3蒋光太(Jiang Guangtai/Tyias Browning)19試合1得点 94年 CB
英国・リバプール出身。地元のエバートンで育ち、主に英下部リーグでレンタル暮らし。U21までのイングランド代表歴あり。
母方の祖父が広東省出身の中国系三世、それが発見され19年広州恒大へ&中国国籍取得。広州の財政難で22年海港へ。クラブ&代表で不動のCB。6月には中国代表で初ゴール。全体的能力が高く、ブラジル出身組と異なりまだ若く、今後も中国代表のDFリーダーと期待される。

元々名前は蒋光泰の予定だったが、画数多いため太にしたらしい

4王燊超(Wang Shenchao)22試合4得点 89年 RB/LB/CB/DMF
上海出身、下部組織から生え抜き。オスカル不在時はキャプテンも務める重鎮。今季は主に右サイドバックだが、DFライン全般に加えボランチや両WBこなすマルチロール。安定した守備、武磊ら幼馴染との連携に加え、ファーに飛び込むヘッドも武器で既に4得点と攻撃面の貢献も。34歳だが6月に代表復帰。代表19試合出場。

インスタやってます@alex_wang4

5張琳芃(Zhang Linpeng)19試合 89年 RB/CB
山東省済南生まれの回族。中国代表歴代6位の96Cap、広州恒大黄金期を支え「中国のセルヒオ・ラモス」などと評価されたが、元々は崇明島時代からの生え抜き。広州の財政難で22年に復帰。代表では主に右SBだがクラブではCB起用が多い。そのフィジカルや前線へのフィードは大きな魅力。ACL出場通算73試合、優勝2回の経験は貴重。

タトゥー多すぎ
インスタやってます @victoryzhanglinpeng

31李帥(Li Shuai)16試合 95年 LB
遼寧省瀋陽出身。長春下部組織→マフラ(ポルトガル)→大連で花開き、19年リッピ時代に代表デビューした左サイドバック。
22年海港に加入後、試運転状態が続く。開幕当初は呂文君にスタメン譲ったが、途中からスタメンを掴み取り3アシストを記録。

13魏震(Wei Zhen) 15試合 97年 CB/DMF
安徽省六安出身の生え抜き。19年頃から主力に定着し、23年3月A代表デビュー。188CMの高さとスピードもそこそこだが、今季クラブではCBの層が厚く控えに甘んじる(先発は3試合のみ)ボランチにコンバートされ中盤起用が多くなっている。

15李申園(Li Shenyuan) 3試合 97年 RB
安徽省巣湖出身。下部組織出身、スピードあり攻撃性能高い右サイドバックで、U23代表でFW起用されたことも。21.22年は主力として稼働も、今季は王燊超が鉄板で殆ど出番得られていない。

21于海(Yu Hai) 1試合 87年 CB/LB
河南省洛陽出身。チーム最年長、代表71試合11得点のベテラン。
かつて「中国のロッベン」と呼ばれたウイング、オランダ(フィテッセ)でもプレイ。15年海港加入後ボランチ→左SBとポジション落とし19年からCBに。前線出身だけあって組み立てや攻撃参加に魅力。体強くセットプレーのターゲットにも。年齢的にそろそろ最後か

MF

6蔡慧康(Cai Huikang)20試合 89年 DMF
上海出身。王燊超/武磊/呂文君らと共に生え抜きの長老格。「中国のガットゥーゾ」にしてはぽっちゃりしたボランチだが、まだ衰えておらず守備的MFのファーストチョイス。セットプレー時のターゲットにもなる。2015年アジアカップなど代表22試合出場。

8オスカル(Oscar/ブラジル) 22試合8得点 91年 AMF
16年末にチェルシーから電撃加入後7年目。彼ほどの選手がコロナ禍やバブル崩壊経てまだ中国にいるのは有難い。大抵の攻撃は彼を経由し歴代監督も重用。昨年はコロナ政策の影響ありほぼ稼働できなかったが、今季は既に8得点9アシスト。ただほぼフル出場しており怪我や疲労が心配。

11呂文君(Lü Wenjun) 21試合5得点 89年 LB/RMF/LMF/FW
上海出身、生え抜きの重鎮。元はFWで攻撃的ポジション全て対応、今季は手薄な左SBで新境地を開拓。どこで起用されても計算でき、また幼馴染の武磊らとの連携も◎で歴代監督の信頼も厚い。原田泰造または世紀末リーダーたけしに似てると思う。

6月にクラブ通算100ゴール達成。インスタやってます@lvwenjun19890311

16徐新(Xu Xin) 16試合 94年 DMF/AMF
遼寧省瀋陽出身。アトレティコマドリードの下部組織育ち。16~21年広州恒大で控えに甘んじたが、21年山東で大活躍し以降A代表にも定着し、カタールW杯予選にも出場。
しかし23年加入した海港では本領発揮できておらず、技巧派だが守備面や高さで不足あり、今季はミスも多くスランプ気味。

25木熱合買提江·莫扎帕(Mirahmetjan Muzepper)
21試合1得点 91年 DMF/LMF/LSB
新疆ウイグル自治区カシュガル生まれ、近年増えてきたウイグル族選手の先駆け。名前が長く買提江と称される。
山東魯能の下部組織出身、18年カタール戦でウイグル族初のA代表デビュー。主にボランチだが左SBや左MFも可。正確な左足でFKやCK、ミドルも。フィジカル強くスタミナ豊富で闘争心溢れるファイター。
日本メディアは彼をどう読むんだろう、ばいていこう?むぜっぱー?

ウイグル族なので顔立ちが少し違う

20楊世元(Yang Shiyuan) 7試合 94年 DMF/RMF
吉林省長春出身。朝鮮族らしくスタミナ豊富で献身的。上海中邦(解散)経て加入、19年から台頭したがその後負傷で伸び悩み気味。守備的MFで蔡慧康の壁が厚く、途中出場が関の山。右サイドにも対応してたはず

24ヴァルガス(Matías Vargas/アルゼンチン)17試合 97年 RM/LM/AM
アルゼンチンらしい小柄な(168CM)ウイング、ベレス時代の18年に代表1試合出場。その後加入したエスパニョールで武磊と相性が良く、それもあって22年夏に武磊の復帰から2週間後に彼も海港加入。しかし今季は現監督の信頼を得られておらず、カーロンと交代で起用されている。

34カーロン(Issa Kallon/シエラレオネ)18試合5得点 96年 LM/RM
オランダ出身&育ち、年代別オランダ代表経験も、21年シエラレオネ代表入りし同年アフリカネーションズカップ出場。163CMのウイングで、スピードや突破力に加え、カウンターから裏抜けで得点を重ねている。22年海港に加入後控え続いたが、半分が途中出場だが、ヴァルガスを逆転しスタメン出場が増えている。

FW

7武磊(Wu Lei)22試合14得点 91年 FW/RW
江蘇省南京出身。下部組織生え抜き。スペイン・エスパニョール挑戦経て、22年に復帰後も国内では1試合1点ペースでまだまだ無双。
代表でも歴代得点ランキング2位に、もう32歳だが依然中国有数の点取り屋。スピードや嗅覚は相変わらず。
オスカル同様フル稼働しており、怪我や疲労が心配。

彼が凄いともいえるし、彼に続く若者が出てこないともいえる

10ピンク(Markus Pink/オーストリア)12試合1得点 91年 CF 
Austria Klagenfurtから加入。アルナウトビッチ以来のオーストリア人選手。 加入時のオーストリアリーグ得点ランク1位。188CMの長身CFは武磊に続く得点源と期待されるがまだ本領発揮できず、スタメン確保できていない。
1年目とはいえ夏にジョアンも加入し、立場が危うい。

14李聖龍(Li ShengLong)5試合3得点 92年 FW
上海出身の生え抜き。外国人FWや武磊に阻まれずっと控え暮らし。特に高さや速さあるわけでもなく、嗅覚で勝負するタイプだが、献身的な守備も魅力。今季は暫く出場無かったが夏場に結果を出し、スーパーサブ
として存在感を示した。
HIPHOP好きでシングルリリースしたことも、マイク持つFW。

マイク持つFW インスタ@li_sheng_long

18ルーカス.ジョアン(LucasJoão/ポルトガル.アンゴラ)3試合2得点 93年 FW
ポルトガル出身、今夏に加入。イングランドで長くプレイ。昨季レディングで7得点。15年にポルトガル代表デビューも、国籍変更し22年からアンゴラ代表入り。ポストプレーに長け周囲を生かせる印象、加入後早々に結果を出し序列はピンクを抜いたか。

45劉小龍(Liu Xiaolong)5試合 03年 FW
下部組織出身、昨年は中乙(3部)海南之星でプレイ。今季ぼちぼち出番得てる期待のストライカー。何試合か見たけどまだ特に印象なし

・個人的展望

既にACL常連、戦力的にもGL通過&上位進出が求められる。オスカル・武磊らが健在なうちにACL制覇を期待したいが、特定選手への依存度が高く、疲労・怪我・出場停止が怖い。特定選手に左右されないチーム作りが必須。

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