■2021ACL出場チーム紹介 江蘇(活動停止中)

(2021/3/30更新)

*21年2月に蘇寧グループが経営から離脱し活動停止。せっかく書いたので

https://www.goal.com/jp/%E3%83%8B%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%82%B9/chinesesuperleague-jiangsusuning-suspension-of-operations/1lo6b3s4whmu615q6k2fxf77yg

■江蘇 Jiangsu (リーグ戦優勝)

・概要

1958年に成立した江蘇省チームが源、94年にプロリーグ参戦後江蘇迈特→江蘇→江蘇金陵石化加佳→江蘇舜天→江蘇国信舜天→2016年に中国有数の家電企業、蘇寧グループ(Suning)が参入し金満化。同年アレックス・ティシェイラ、ラミレス、ジョーらを補強し金満集団に仲間入り。イタリア・インテルと兄弟関係関係で(インテルの筆頭株主は蘇寧、インテルのCEOは蘇寧創業者の息子)現所属のエデルとミランダはインテルから加入。またイタリアコネクションでファビオ・カペッロ(前監督)ガブリエル・パレッタ(18-19年在籍)も在籍していた。08年までは2.3部にいたこともあり近年強くなった方か。ホームの南京体育中心は6万人以上の収容人数、ほぼ毎試合4-5万人動員する。リーグ戦は20年初優勝、2012年に準優勝と躍進し翌年スーパーカップで初タイトル。2015年にはエスクデロ競飛王在籍しカップ戦優勝している。金満クラブだけど地元江蘇省出身選手が多く、結構地元密着型か

・2020年シーズン

第1ラウンド2位、第2ラウンドは重慶(1-1.1-0)を降した後に、準決勝上海上港(現海港)戦は第1戦0-0から、第2戦は前半で退場者出しながらも延長戦で決勝点奪い逆転勝利。決勝は広州恒大に第1戦は押し込まれながら0-0のドローに持ち込むと、第2戦は前半相手に退場者出たこともあり2-1でリーグ初優勝。本来の力は3強に続く4−6位と思われ、レギュレーションや運に味方された感もあるが、その後外国人選手全員がバカンス行ってしまい外国人ゼロで臨んだカップ戦でも決勝進出と健闘。得点外国人選手への依存度が高くリーグ戦では25/29得点(86%)を外国人選手が決めているが、中国人選手の質もそれなりに高い。

vs上海上港 第2戦 https://www.youtube.com/watch?v=mjDfSsRYfmA
vs広州恒大 第2戦 https://www.youtube.com/watch?v=dgZTjrtW1kQ
ハイライト版→ https://www.youtube.com/watch?v=fzj-vUgwckg

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・ACL戦績 

比較的最近強くなったのでACL出場は4年ぶり3回目。13,16年はGL敗退。17年は圧倒的強さで決勝T進出も上海上港(現海港)との同国対決に敗退。


・監督

コスミン・オラロイ(Cosmin Olăroiu) 1969年生まれのルーマニア人。現役時代は国内で主にプレイし2000年前後引退間際にアジアに来て水原三星、ジェフ市原でプレイ。監督転身後07年サウジアラビアに渡りまたもアジアでキャリア築く、2015年にはサウジアラビア代表(アジアカップ)アルアハリ(ACL決勝)でいずれも中国代表&広州恒大に敗退している親中派?2018年ファビオ・カペッロの後任として就任し5位→4位からついにACL出場権&初優勝をもたらした。 *21年契約解除、後任未定

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・移籍市場

アレックス・ティシェイラが契約満了で退団。2016年にシャフタールドネツクから5000万€で加入以降チームのエースとして活躍し初優勝にも貢献、中国国籍取得も噂された彼の退団は痛い。

元クロアチア代表FWサンティニも退団、財政難による給与未払も報じられる。

・予想フォーメーション


・選手紹介

GK

1顧超(Gu Chao) 2020年リーグ戦18試合出場-16失点。
 89年生まれ。上海東亜(上海上港の前身)出身、杭州緑城時代は岡田武史の元で控えGK、トルシエ時代正GKとして起用された。194cmの長身でFW出身だがハイボールは勿論反応も鋭く、20年は準決勝、決勝と獅子奮迅の活躍。ただ時折ポカ癖があり、20年もポロリ原因で2試合スタメン外れた。2016年W杯アジア最終予選で代表デビューしイランを完封も、その次シリア戦で出撃ミスで失点して以来出場なし。 →浙江へ移籍

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19張岩(Zhang Yan)  2試合出場-3失点 97年生まれ、北京国安出身で2018年から加入、控えGKだが時折顧超のケガまたはポカで出番を得てる。

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DF

2李昂(Li Ang) 18試合 
93年生まれ、地元江蘇出身で下部組織上がりだが中国では珍しい大学卒。CB兼LB、左足精度が高くカップ戦でFKを2発決めているで中国のミハイロビッチ。187cmと長身だが純重なところがあり、2019年E-1ではスピード不足を露呈。早くから代表呼ばれたが5capと案外伸びず、U23代表時代に代表で重傷負った同僚への扱いで協会幹部に楯突いてから暫く外されたらしい。→上海海港へ移籍

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5周云(Zhou Yun)18試合 90年生まれ、元々は右SB本職だがCBや左SBも対応。最近はU23政策で海米提が重用されることや左が手薄なこともあり左SB起用が多い。地元江蘇省出身で吉翔と共に下部組織から生え抜きのバンティエラ。代表3capだが、最後の試合がホームでタイ2軍に1-5の時で黒歴史。
→現役引退

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6楊博宇(Yang Boyu)15試合  
89年生まれ186cmの長身CB。遼寧省大連出身、大連実徳で育ったのち、上海上港では活躍できず、2017年から江蘇加入も常に第3のCBの印象。

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13ミランダ(Miranda) 19試合1得点
84年生まれ、ブラジル代表としてW杯やコパアメリカ3回など59cap誇り、アトレティコ、インテルなどで活躍した世界的CB。高齢ながら20年は消化試合1試合除きフル出場。圧倒的な高さ、強さ、経験値を見せ影のMVPとも。→サンパウロへ移籍

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20阿不都海米提·阿不都格尼(Abduhamit Abdugheni)15試合
98年生まれ、名前の通りウイグル族で普段は海米提と略される。新疆ウイグル自治区出身で新疆天山から2018年に加入。2019年からU23政策の恩恵もあり右SBで定着。フィジカルよりテクニック系、若さゆえかアツくなるシーンもあり上海上港戦ではオスカルを踏んで退場に。若いのに既婚者

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29張誠(Zhang Cheng)6試合 
89年生まれのSB、主に左SBだが右も対応。天津出身で天津天海(前天津権健、天津松江)で19年までプレイしたがチーム解散で20年に加入。天津時代にACL出場し全北現代戦で得点。20年はカップ戦で2得点決めている

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MF

3田依濃(Tian Yinong)19試合 91年生まれのボランチ、呉曦の相方として守備的役割を担うことが多かったがサイドバックもできるらしい。20年は13試合が途中出場。遼寧省出身で2015年まで下部リーグを渡り歩いた苦労人だが、延辺(既に解散)で当確を表し18年から江蘇で定着。インスタやってますhttps://www.instagram.com/tianyinong3/
7羅競(Luo Jing)17試合1得点 93年生まれ貴州省出身、杭州緑城での印象が強いテクニシャン、攻撃的MFで主に→サイドで起用されることが多い印象。ポルトガル下部リーグでのプレイ経験あり。上海上港との準決勝のゴラッソで株を挙げた。
22呉曦(Wu Xi) 20試合2得点
89年生まれのキャプテン、中国代表でも68cap誇るボランチ。河北省出身で3部にいたが上海申花で98年W杯クロアチア代表監督のブラジェビッチ監督に抜擢された。当初は右SBだったが中盤センターに定着し右MFや攻撃的MFも対応。13年から江蘇に加入、積極的な前線への飛び出しから得点力も魅力のチームの心臓。20年は準決勝上海上港戦で同点ゴール、優勝決定戦では2点目をアシスト。2020年中国年間最優秀選手(金球奖)に選出された     →上海申花へ移籍

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11謝鵬飛(Xie Pengfei)16試合1得点 93年生まれ、貴州省出身で杭州緑城育ち、羅競と同様に岡田武史によって抜擢された世代。両ウイングでインサイドFWとしての起用が多いが、U23代表ではFW起用も(同年代に純正FWが少なかったため)。19年は8得点と得点力もある、年代別代表の常連で代表5cap、カタールW杯予選でも1試合出場。小籔に似ているような

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24吉翔(Ji Xiang)18試合
90年生まれ、地元江蘇出身で下部組織から所属する生え抜き。サイドのマルチロールで右SBか右MFが主戦場だが、カップ戦では左SBでも起用。クロス精度高く右FKキッカーも務める。185cmとサイドの選手ながら高さがあり、2019E-1ではヘッドで得点。2012年広州恒大戦で開始7秒で得点したことも。代表10cap.2015アジアカップ出場。→山東へ移籍

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30叶重秋(Ye Chongqiu)0試合 カップ戦のみの出場、本職はボランチだがカップ戦では主にDFで起用された。労働者タイプの献身的な選手だが2019年に上海上港戦でのラフプレイのイメージが強い。

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33ワカソ・ムバラク(Wakaso Mubarak)18試合 
90年生まれで20年にアラベスから加入、主戦場は左MFだが中盤センターにも対応。ガーナ代表で58Cap、2014W杯やアフリカネーションズカップ4回出場し13年大会では得点王。スペイン、ギリシャ、ロシア、英国を渡り歩いている。

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FW

8冯伯元(Feng Boyuan)1試合 188cmのCFでU23代表歴も。地元南京出身で遼寧で育ち19年に故郷へ帰還も、外国人FWとの競争が厳しく出番はまばら、20年も公式戦出場4試合のみ。このままだとポジション下げるか下部イリーグ行きか。17年にクロアチア1部のNK Rudešでプレー経験。

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23エデル(Éder) 20試合9得点
86年生まれ、左WG兼FW。ブラジル出身だが長くイタリアのクラブでプレイし、イタリア代表を選択しEURO2016など26cap。2018年に兄弟クラブのインテルから加入。ティシェイラとのコンビで得点量産し貢献。広州恒大との優勝決定戦では直接FKで先制点決めた。 →サンパウロへ移籍

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32黄紫昌(Huang Zichang)8試合
97年生まれ、福建省出身のFW。技術だけでなく閃きもあり期待されるFW。18年に当時監督のチェ・ヨンスに抜擢されリーグ新人王、A代表デビューも果たした。しかし同時期にU19、U23、A代表召集されるなど有望株故に酷使され負傷し19年をほぼ棒に振ってしまった。カップ戦決勝でも可能性あるプレーを見せ、今後に期待。

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葉爾凡·葉孜木江(Ërpan Hëzimjan)99年生まれ、名前の通りウイグル族で新疆天山出身。U19代表で期待されたストライカーで17年に江蘇に加入も、いろいろあって2018-19年を棒に振る。20年は2部の陜西にレンタルされ試合経験を積んだ。ピッチ外とピッチ内は別のこと、そうあって欲しい

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中国では毎年のようにチームの解散、または名称変更やホームタウン移転が発生している。サッカークラブ以前に親会社の玩具であり、親会社が変わればそれに引きずられてしまうのは致し方ない。

コロナ禍に加え、21年から中国協会の要求する「中性化」でチーム名に企業名NGになり多くのクラブが改名を余儀なくされている。協会としては前述の通り企業とクラブの依存性を薄め、国際標準に合わせ理解できる施策だが、ただでさえ投資が課題なサッカー事業で宣伝効果が大幅に減るため企業としては「じゃあもういいや」となってしまうのも仕方ないか

この10年のバブル化、一時は「世界第6位のリーグ」(実際移籍金額が5大リーグ以外で1位だった)と呼ばれながら、その陰で移籍金や賃金は高騰し、元アジア王者遼寧、名門大連実徳、等多くのクラブが解散している。今や前年リーグ王者ですらも。

その裏でA代表だけでなく年代別代表は世界どころかアジアでも勝てない、五輪代表はU23アジアカップ4大会で1勝11敗(しかも1回は自国開催)U19やU16はアジアユースすら出場できないことも。

バブルで得をしたのは誰だろう。

江蘇の存続を強く願うが、協会の施策によって同様の悲劇が無くなることを切に願いたい。

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