トラップ温泉
1年ほど前の秋、私は部活の一環で三条鉱泉という場所を訪ねた。
言わずと知れた秘湯らしいが最寄りのバス停からはざっと歩いて3時間ほどの山奥に存在する。
着くや否や、さっそくテントを立て、米を炊き、肉を焼いて乗っけただけのテキトーキャンプ飯をかき込む。
そう今回のメインはキャンプじゃない。その秘湯に浸かることだ。飯は適当に済ませる。
いざ入湯。
ジュッ 「((^ω^アッツッッッッイ!!!!!!」
温度計は45°を指してした。
そしてそのすぐ横には薄める用の水があった。蛇口を捻れば適温、ようこそ極楽浄土だ。
しかし、それは俺の心が許さなかった。水で薄めるというのは温泉界の定石に反すると思ったのだ。
「これが "本物"の温泉ッッッッ!!」
とか思いながら全身真っ赤にして浸かり通し、そのままアツアツホットな私はテントで一泊し、次の日に三条鉱泉を後にした。
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そして、後日聞いた話によると私が温泉だと思ってた場所は名の通り三条「鉱泉」であり、源泉は冷たい水であるとのこと。
ゆえに薄める用の水だと思ってたのが源泉だったわけで私はただひたすら熱いお湯に無理して浸かった人となった。
(写真:三条鉱泉への道中の景色)