
ベル・エポック展に行ってきた話
芸術はしばしば「自己表現だ」と例えられるが、半分その通りで半分はちょっと違う、と思う。
表題の展覧は10月から12月にかけて、パナソニック汐留美術館にて催されている。
ベルエポックというパリ芸術の最盛期の時代に生まれ街を彩った数多の作品がみっちりとワンフロアに散りばめられ、その数約300点。十分な見ごたえの展覧だ。
とはいえ「ワンフロア」である。配布された資料ビチビチにメモをとり近づいてOKの線まで立って作品を凝視した私ですら1時間10分程で見終わるボリュームだった。
本展覧は「当時のパリを芸術的風刺作品から見てみようぜ」的なテーマであり、社会を表した作品だったり、当時の代表的な美術品だったり、女性活躍に合わせたテーマの作品などが中心に置かれている。
当時のモンマルトル広場には大道芸人やらがわんさか集まり、道行く人を描こうと画家がいそいそとポジションをとったりとそれはもう賑やかだったらしい。
(この説明を展覧で読んだときに、以前勤めていた服屋の商品名で「モンマルトルの画家がなんちゃら」的なワンピースがあり、これでもかというくらい鳥と花が敷き詰められた総柄だった商品の存在を思い出した。余談である)
その為「モンマルトル・画家」という言葉を一緒に目にするのか、と妙に納得した次第。
美術品は絵画だけではなく家具や陶器・ガラスの器なども見られた。
そして、今回この展覧の特徴的な部分といえるのが「ポスター」をはじめとする広告のコレクションが見られるのである。
簡単に言うと舞台や演目、オペラ歌手等の文化的な催しの広告を描いた「パリのイラストレーターとデザイナー」の作品が見られるわけである。
しかもこれは「とっておきの~!」という感じで大きな部屋1つにバーン!と並んでいるのではなく、壁に
ビッチビチ
に貼られている場所がいくつかある。結構ビチビチ。
場所が無かったのかしら…?というくらい。
でもおそらく動線上問題なく見る事ができるので、計算された見せ方なのだろう。カッコ良いー…☆
話を冒頭に戻そう。
芸術はしばしば自己表現と例えられると発言した。
これは別に私が思っていることでもなんでもなく、いろんな場面や作品でいわれてきたことだ。これに関してはピカソだって言っている。
自分が何かを追求することが芸術…らしい。
ところがこの展覧を見た後だと「当時のわかりやすく伝えるという手段が時を経て芸術になってしまったんだな」と感じる。
どれもとても目を引く、何を先に見てほしいのかわかりやすく作られている。レタリングは印刷技術があったのかそこらへんは私は詳しく知らないけど手書きの物も多かった。
また、活気な時代であるが故色使いも明朗な印象を与えるものが多い。
パリって「グレースケールがおしゃれでしょ?」みたいなものが多いとばかり思っていた。黒着ておけばいいでしょ、みたいな(どうした)
とにかくこういった明るくわかりやすく見やすいポスターを芸術品としてがっつり見せられる展覧で、なんとも学びの多い70分となったのである。
以下は写真撮影OKの部屋で撮影したもので、これから見に行くという方でネタバレをしたくない方はご自身の判断で見てほしい。
(歴史的な美術品でネタバレも何もないかとは思うが、一応)



おまけ。

会期は12月15日までとなっているので、お早めに。
以下は公式サイトです。
ベル・エポック―美しき時代 | パナソニック汐留美術館 Panasonic Shiodome Museum of Art | Panasonic
↓↓見なくていいです↓↓
ところで私はこういった展覧に赴く際、行きの電車で展示品の画家たちのことを調べるのだが
ルノワールのダンス三部作をご存知だろうか。
調べてみてください。多分見たことある。
この都会のダンスと田舎のダンス、というのがとても好きで、好きな理由は言語化できないのだけれど、なんとも言えないカラーリングの良さを好んでいる。
好きすぎて一時期ルノワール展のパンフレットに記載のあったこの「都会のダンス」の頭部分をくりぬいてカメラ部分に当てて携帯カバーにはさんでいた程だ(同僚にはサイコパスといわれたけどこんなんは美術が好きな輩は大体理履修済案件である)
このモデルとなった女性も「シュザンヌ・ヴァラドン」というまた一人の画家であり、モデルであったという事を調べていて初めて知った。
そして、彼女の息子もまた画家を志しており、彼女の作品でフルーツを描いたものも自分がみたことある作品だったという事気が付いた。
当たり前だけれど、歴史上の人物はバラバラの時代を生きてはいない。
どこかで誰かと誰かはつながっているのである。