美容&健食製品のUS規制

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    アメリカでは、食品や化粧品業界を所管する「アメリカ食品医薬品局(通称FDA)」が、日本の薬事法/薬機法に相当する「連邦食品・医薬品・化粧品法(FDCA)」を運用している。同様に、日本の消費者庁(あるいは旧公正取引委員会)に相当する「連邦取引委員会(通称FTC)が、景表法に相当する「連邦取引委員会法(FTCA)」を運用している。これらFDCAやFTCA等の連邦法は、食品、化粧品、医薬品カテゴリーの不当な広告表示を取り締まり、必要に応じて指導や警告を与え、さらに重大事案には製品の回収や広告差し止めなどの行政処分を行い、さらに裁判所への提訴を通じて制裁金の支払いや被害者への返金命令を出すなどの法的執行に強大な権限を与えるものである。その意味において、不当表示に対する行政側の対応に日米間の差はあまりないが、ひとたび大きな問題に発展してしまうと、販売者に対して数十~数千億円規模の制裁金が課せられることがあるのがアメリカである。業種は違えど、トヨタのリコール問題で1200億円、タカタのエアバッグ問題で690億円の制裁金が課せられたのは記憶に新しいが、やはり消費者の健康や安全に重大な危険をもたらす可能性で言えば、美容・健食サプリの分野でも決して他人事とは言えないのが現実である。

1.ゼナドリンのケース
  

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(1)販売中止の顛末

    「ゼナドリン」(Xenadrine)は、1997年に燃焼系ダイエットサプリとしてアメリカのCytodine, LLCより発売されたが、その「短期間で得られる強力な減量効果」が全米のダイエッターやアスリートの間で話題となり、たちまち世界110カ国以上へ輸出されるほどの大ヒット商品となった。ちなみに、1999年時点では、「ゼナドリン」以外にも同種のダイエットサプリが各社から発売されていたが、当時は全米で約1,200万人がこれを常用していたとも言われている。

    ところが、「最強のダイエット効果」と共に「自然原料から作られた安全性」を売りにしていた同商品は、当初、主成分として「麻黄(エフェドラ)」※を含有しており、これが原因と思われる心臓発作、脳卒中、精神疾患など重篤な健康被害や死亡事故が多発したため、後の2004年にはFDAにより販売が全面的に禁止された。

※麻黄/エフェドラは、覚せい剤の成分「エフェドリン」の抽出原料として知られており、日本において同成分を含むサプリメントの販売、宣伝、輸入はいずれも禁止されている。

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    一方、「ゼナドリン」は麻黄を含まない新処方で別製品「ゼナドリンEFX」を2002年にリリースしていたが、こちらは日本を含む世界市場へ販路を拡大し、発売開始から3年間で少なくとも総額16,000万ドルを売り上げたと言われている。しかしながら、「ゼナドリンEFX」は、その広告上で「奇跡の原料と先端科学の粋を集めた比類なきダイエットサプリ」、「旧フォーミュラより効果的」などと標榜していた行為が、何ら科学的根拠に基づかない不当表示であると今度はFTCから指摘を受け、2007年には再び当該製品の広告および販売が中止に追い込まれる事態となった。なお、計2回におよぶ行政処分とそれに伴う訴訟において、同社単独で総額3,075万ドルの賠償金支払いに応じる結果となった。


2.日本製品に対するUS規制

    以下は、アメリカへ輸出された日本製品が当局より規制を受けた事例を紹介する。

 (1)FDAより「輸入注意情報」が公表された事例  
    ※食品、化粧品、医療機器など主なもの

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 (2)FDAより日本企業に「警告状」が出された事例     

    ※食品、化粧品、医薬品、医療機器など主なもの

概して、食品表示ルールおよび食品安全基準違反のケースが多い。

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(3)FTCによる規制事例

   現状、食品、化粧品、医薬品等のカテゴリーで確認された事例はない。

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