十勝の魅力を紡ぐ人―休場 龍さん―
北海道と故郷の十勝(地方)を愛し、島旅やアウトドアも大好き、少年のような「休場 龍(やすみば りゅう 以下ばりゅーさん)」さんにインタビューさせていただくことができました。
生まれは北海道帯広市出身のばりゅーさん、大学では映像表現を学ばれていて、学校法人角川ドワンゴ学園N高等学校、通称N高にて教育業界を経験後、現在は十勝地方の中札内村(なかさつないむら)の観光協会で仕事をされています。
一度、東京へ出たからこそ、北海道や地元である十勝の良さがわかったとのこと。
ばりゅーさんのヒッチハイクの旅など、過去にまつわる記事は別にありますので、今回は現在の仕事に関わるお話を中心に取材させていただきました。
将来の夢が閉ざされてしまった
元々、大学で映像表現の勉強してたので、卒業したら映像や広告業界へ行くのが夢だったんです。
しかし、就職活動の結果は厳しいものでした。
1ヶ月ぐらい自己分析をし直して、「いま自分は何に興味あるんだろう?」と思っていたら、大学3年生のときから並行して活動していた教育ボランティアという存在があったんです。
そもそも、教育ボランティアをはじめたきっかけは「人と話したりとか人の悩みを聞いて、それに対して自分が思ったことを伝える」っていうスキルを身につけるためだったんですけどね。
そして、はじめはかじっていただけの教育ボランティアが、だんだんと自分の中で想いが大きくなって、「高校生の夢を応援する仕事がしたいな」と思っていたら、N高にたどり着きました(笑)。
何もない…… いや実は恵まれすぎていたんだ
高校までは「こんな場所、出てやる!」何もないし、楽しい物もないし、東京にいた方が「何でもあるわ!」って思ってました。
いざ東京に出てみたら、恵まれすぎていたっていうのがわかりましたね(笑)。
結局は東京のペースやライフスタイルが合わなかったのもありますし、職場では3年目でリーダー的な立ち位置になってきたこともあって、結構メンタルがきつくなってきたんです。
そういう経緯もあって親に相談したら、実家のある帯広市の隣にある「中札内村」の観光協会が募集しているとのことで連絡をもらいました。
求人の内容見ると、SNSの発信業務が多く、元々旅が好きだったし、ブログも書いてたので「これは向いてるんじゃないかな?」ということで応募し、今に至ります。
じつは新卒で入ったときから、いつか北海道には帰りたいと思ってたんですよ。
北海道の方が気候とか人の雰囲気が自分に合ってるなと思っていたので。
中札内村の観光協会は「道の駅 なかさつない」の中にあります。
仕事はインフォメーションでのお客様対応やレンタサイクルの貸出、そしてTwitterやインスタグラムを発信しているんです。
着任当初はSNSの内容もカタいし、3日以上も投稿間隔が空いているようなアカウントだったので、そこは親しみやすいように変えていこうと思っています。
中札内村は小さい村なんで、「どんな風にSNSが見ている人に届くのかな?」というのは、すごく気にしていますよ。
十勝って団結力があっておもしろい場所なんです
帯広市はもちろん大きいんですけど、中札内村は他地域の観光地に助けられていて、観光スポットに行ってみたら、実は隣町だったなんてこともあります。
中札内村には「花畑牧場」、「六花亭アートヴィレッジ中札内美術村」や「六花の森」が近くにあるんですよ。
六花の森に併設されたカフェでは出来立てのマルセイバターサンドが食べれられるんです。
「六花の森」はレンタルサイクルや車で訪れる方が多く、案内所の問い合わせも1番多い気がしますね。
リモートワークの疲れなのか、ほんと全国から自然を求めて来られていますよ。
とはいえ、先程お話した場所だけでは観光として弱いんですよね。
例えば中札内村の南にある更別村(さらべつむら)では、農業の機械を全部自動化したり、ドローンの訓練をしてたりしています。
河野太郎さんも来られて最先端の村として紹介されたんですよ。
そこから、更に南の大樹町(だいきちょう)という町では、ホリエモンこと堀江貴文さんが出資した宇宙事業のベンチャー起業(インターステラテクノロジズ株式会社)があって民間ロケットの発射場があります。
めちゃくちゃ面白い取り組みをしているでしょ?
僕の住んでいる周辺地域はとても面白いです。
それに加えてローカルにありがちな排他性はなく、意外と他の地域から来る人の受け入れが上手くて、そして様々な人を巻き込んで、「やってくいくぞ!」みたいな雰囲気がありますね。
中札内村は泊まって楽しむ場所というよりは、通過型観光地域になっているのが現状なんですよね。
「通ったから、とりあえず寄ってみよう。」みたいな。
宿が3件でビジネスホテルがありませんので、やはり帯広から来られる方が多いです。
本当のことを言うと中札内村はその中間になればいいと思うんですけど、やっぱり村の人口に対して、宿泊施設を建てるコストパフォーマンスが見込まれてないんでしょうね。
とはいえ、十勝管内には19の市町村があって、北海道の他の地域より団結している雰囲気があるんです。
それぞれ良いところを伸ばしていったら、十勝はもっと盛り上がるんじゃないかと思ってます。
十勝の魅力を伝えることが僕のミッション
自分が生まれた十勝という場所の魅力を発信してるんですけど、十勝をもっといろんな人に知ってもらいたいなと思っています。
繰り返しになりますが都会に出たくて、僕は東京へ出たんですけど、やっぱりその生活が合わなくなった。
十勝に帰ってきて、この何もない環境っていうのが実は幸せなことだったなと思っています。
中札内村は帯広市からも比較的近いので友達も近くにいるし、東京に居た時に比べると全てにおいて恵まれていますから。
もっといろんな人に十勝の魅力を届けたいなって気持ちがあって、それをいま発信している途中ですね。
多くの人に来てもらって、十勝の自然を味わってもらいたいです。
例えば東京とか地方大都市とかで頑張ってる人も十勝の自然にふれることで、非日常を感じてもらう。
新たな自分の幸せとか、気づきを得ることでまた充実した日常に戻れるのかなと。
将来のことはわからないけど
十勝を愛している、一方で島旅やアウトドアもこよなく愛しているばりゅーさん。
インタビューさせていただいた私自身も、観光協会で働いた経験があり、苦労も知っているだけに「しばらくは観光協会にいるとは思いますけど、実は島に移住したり、思い残したことや将来やりたいことはないんですか?」とつい質問してしまいました。
実は自転車の旅はまだ半分残ってるんですよ、西日本が。
前回は埼玉から青森まで北上して、北海道を回って、青森に戻って、日本海側を新潟、長野と走って、山梨に戻るというルートで東日本を周遊しました。
友達から「自転車で日本一周の続きはやらないのか?」って未だに冗談っぽく言われたりします。
やりたいとは思うんですけど、良くも悪くも車という便利なものを持ってしまったんで、自転車での旅は少し考えてしまいますね。
ただ気にしている自分はいますよ。
その一方でキャンピングカーというか、バンライフでの旅もおもしろそうですね。
後ろのゲートを開けたら、キッチン台まで完備してある車があったり、そういうの見てたら秘密基地みたいで少年心をくすぐられました。
自分の足で地道に行くみたいなことで、沖縄に行きたいですね。
南まで自分の足で行ったよって。
次の日本一周のゴールは沖縄にしようかな。
観光協会の仕事についてはひとまず30歳ぐらいまでは続けるんだろうなと思ってます。正直なところ、その先は全くわかりません。
でもね、ひとつ言えることは、観光協会で中札内村の魅力を伝えること、そして、十勝の魅力を紡ぐ人になりたいと思っています。
取材・執筆:ゆーでぃ
写真提供:ばりゅー
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