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#44『12月 自然と生活、行事』
12月:師走、師馳月、極月、乙子月
蝋月、蜡月、春待月などの別名が
あります。
・師走:旧暦12月のことを「師走」といいます。古くは、12月にお経をあげてもらう習わしがあり、僧(師)が忙しく走る(走)ことから付いたという説があります。また、1年の終わりの月に物事をなし終えるという意味の「為果つ(=しはつ)」から付いたとも言われています。
・12月1日:「乙子の朔日(=ついたち)」
12月1日は、1年最後の朔日になります。1年で最後の月(末)であることから、末っ子(乙子)の名前がついたようです。西日本と東日本とでは行事は異なりますが、水難から逃れる習わしが行われていたそうです。
・12月2日・3日:「秩父夜祭」
埼玉県秩父市の秩父神社の夜祭です。提灯で飾り付された豪華な屋台や笠鉾が神輿とともに町を巡り、屋台では歌舞伎が演じられます。かつて盛んであった養蚕や豊穣に感謝する祭りです。
京都の祇園祭、岐阜の高山祭などとともに、美しい屋台が有名です。
・12月5日:「アエノコト」
石川県の奥能登(珠洲・輪島・柳田地方)に伝わる行事です。収穫に感謝して「田の神」を家に招いてもてなします。「アエ(=酒や食事をもてなす)」、「コト(=祭り)」の意味になるようです。春の農作業が始まる前の2月9日には、再び「田の神」をもてなして豊作を祈り、田に送り出す行事も行われます。
日本の農耕の原型にあたる形を残している例として、2009(平成21)年にユネスコ世界無形文化遺産に登録されました。
・12月:「雪見」
雪景色を眺めて楽しむことは、奈良時代から行われていたようですが、貴族など一部の人たちのものであったようです。梅見や花見は現在でも多くの名所があり多くの人が楽しんでいます。「雪見」も江戸時代に入ると広く庶民の間にも広まり、江戸や京都には「雪見の名所」が数多くあったと記されています。特に江戸と現在の東京では大きく姿を変えたところが多く、確かな「名所」を確定するところまで行けませんでした。
・12月7日頃:「大雪」
二十四節気の一つで、小雪から十五日目にあたります。寒さも次第に厳しくなり、雪が積もる時期にあたります。
・12月8日:「針供養」
おもに西日本では12月8日、東日本では2月8日に行われます。針仕事が、商いでも家庭でも大切な時代、折れたり、錆びたりした縫い針を豆腐、コンニャク、餅など柔らかいものに刺し、感謝と供養が行われました。一般の家庭ではほとんど見られない行事になってしまいましたが、針に関わる職業や一部の地域では現在も続けられている行事です。
・12月8日:「太平洋戦争開戦の日」
広島原爆投下の日、長崎原爆投下の日、終戦の日には犠牲になられた方々の追悼の行事が行われ、平和を願う日にあたりますが、不幸な歴史に舵を切った「開戦の日」も忘れてはならないと思います。
・12月10日:「ノーベル賞」
ノーベルは、それまでの爆薬を改良し、扱いやすく強力なダイナマイトを発明しました。ダイナマイトは人類の平和的な利用に貢献した一方で、戦争の道具としても使われました。ノーベルは、遺書に「世界の平和、福祉、人類の発展」に尽くした人に賞を送るよう記し、1869年12月10日に亡くなりました。
ノーベル賞は、物理学、化学、医学・生理学、文学、平和の5分野から1969年に経済学が加えられました。ノーベルの命日の12月10日にスウェーデンのストックホルムで毎年ノーベル賞えが送られます。(平和賞の授与はオスロで行われます)
・12月:「木の芽・野の草の冬越し」
葉が落ちた木は枯れ木のように見えますが、葉痕の上に木の芽をつけて春を待ちます。アジサイ、ニワトコ、クズ、サンショ、ネムノキ、キハダ、ニセアカシア、カラスサンショウ、トチノキ、オニグルミ、ネコヤナギ、ソメイヨシノなど。
野の草は、寒さを防ぐために葉を地面に平に広げ、日を浴びながら春を待ちます。そのことをロゼットと呼びます。タンポポ、ハルジオン、ナズナ、オニノゲシ、マツヨイグサ、セイタカアワダチソウなど。
・12月:「歳暮」
もともとは、年末のことを「歳暮」と呼んでいました。年末に「先祖の霊や年神様にお参りする時の供え物」の意味でしたが、時代や時期は定かではありませんが、お世話になった人に感謝の気持ちを込めた贈り物に変わっていったようです。
・12月:「歳の市」
年末に大きな神社や寺の門前、大通りなどで行われる市を「歳の市(=年の市)」とよばれています。新年を迎えるにあたり、しめ飾り・神仏具・羽子板などの縁起物や花・食料を買い求める客でに賑わいました。
・12月:「羽子板市」
東京台東区浅草の浅草寺の境内で12月17日~19日に開かれる「羽子板市」が有名です。この羽子板は、正月の羽子板遊びのものではなく、初めての正月を迎える女の子のいる家に送る贈り物でした。あわせてあい、羽子(はね)が害虫の駆除や禍、病気を祓うと考えられていたようです。
「羽子板」で「コロナ」を追い払いましょう!!