#5『エリート校』を目指す特別支援教育
特別支援教育学校とエリート校は結び付きにくいと思われますが、
エリート校化は確実に歩み始めています。
その先鞭を切っているのは、東京都教育委員会です。
その動きは今後、都市部を中心に広まっていくものと思われます。
『エリート校』化を望んでいるのは誰だとお思いになりますか?
児童生徒、保護者、学校、教育委員会でしょうか?
答えは『民間企業』です。
意外な答えのように思われるかもしれませんが、国の『障がい者雇用政策』に基づき、民間企業は従業員の一定比率の障がい者雇用が義務づけられています。
この法定雇用率が2013年に1.8%から2.0%に引き上げられ、
2018年には2.2%、
2020年には2.3%に引き上げられる予定です。
1,000人規模の事業所では23人になり、営利目的の民間企業にとっては大きな人数となります。
そのため、民間企業は『働ける障がい者』、
でき得れば『戦力になる障がい者』を求めることとなります。
学校もそうした企業ニーズに応えられれば企業就労率アップにつながり、学校の評価に繋がることになります。
東京都教育委員会は、企業就労率100%達成を目指す特別支援教育学校を7校設定し、職業開発科と就労技術科を設置しました。
1年次には事務や清掃などの作業体験を行い、
2年次には希望や適性に応じた就労分野を絞り込み、
3年次には就労先を定めてそこに合う知識や技術・技能の習得を目指す教育内容になっています。
現在、特別支援教育学校高等部卒業生の就労率は、知的障害生徒が約28%、
肢体不自由生徒が10.5%で決して高くない現状にあります。
50%にも満たない就労率がまだ一部の学校ですが100%を達成できたら夢のような成果ですが、落とし穴はないのでしょうか。
専門家からもいくつかの問題点が指摘されています。
・学校が入学にあたり、障がいを持つ児童/生徒の選抜に利用されないか。
・『エリート校』に入学させるための入学前教育が過熱化しないか。
また、就労率アップは本人や家族の将来の夢や希望を叶えることになると思います。
しかし、就労率アップだけが目的化して支援教育の『潜在能力見出しそれを伸ばす』本来の使命を軽視しないで欲しいと思います。