見出し画像

日米の金融政策は今後どうなるのか

「マネー💰にかかわる私の見方 No.1(2024.0801)

 日本は利上げ、アメリカは据え置き。では今後の日米の金融市場はどうなるのか? 私の見方は

1️⃣ 9月の政策金利引き下げがほぼ確実になったアメリカ

2️⃣ 「今後も利上げを行う」という植田総裁の発言にもかかわらず、次の利上げがいつになるか見通せないのが日本

と言うものだ。半日ほどの時間差を置いて開かれた日米の金融政策トップの記者会見。とっても対照的だった。パウエル議長がいつもの調子で平常心溢れていたのに対して、植田日銀総裁の記者会見にはどこか「追い立てられている?」と言う印象が漂った。

パウエル議長の発言は、ほとんどが「いつも通り」だった。「今後の金融政策はデータ次第」と従来の発言を今回も繰り返した。それは9月についても同じで、データ次第だと。しかし、声明に盛られた文章などによって米金融当局は利下げの環境が整いつつあると考えているなと理解できた。だから多分アメリカは9月に利下げをする。0.25%。

それに対して、植田日銀総裁の記者会見発言は、過去3〜4回の会見発言からみて「あれ」と思わされる部分が多かった。明らかに変節している。「この学者総裁は政治的プレッシャーの中にいる」と思えるものだった。

私には植田総裁発言に、いくつもの焦りが感じられた。自分の発言によって円安が加速して1ドル=160円を超えるところまで行ってしまったこと(岸田首相から発言の真意を聞かれている)、もし仮に次の金融危機が起きたときにゼロ近傍の政策金利では金利操作余地が全くなくなってしまうなど。背景はいくつもある。

気になった総裁会見発言は「少しずつでも早めに調整した方が後が楽になる」と言うもの。これまで慎重さが目立った植田総裁の発言からは遠く離れている。総裁は「2%からさらに上にいくリスクを考えるとこの辺でと思った次第だ」とも述べた。そこには“えいや感”がある。らしくない。

付記しておくと、最近の米FOMC会合で決定に対して反対意見が出たことはない。対して今回の日銀の決定に対しては2人の審議委員(中村、野口両氏)から強い「時期尚早」との保留反対意見が出ている。その2人は植田さんの焦り、急ぎすぎ感がもたらす日本経済へのリスクを感じたのだろう。

問題は、この植田日銀総裁の焦りが、今後どのような展開を見せるかだ。焦りが続けば、利上げは年内もう一度あると考えられる。しかし総裁が平常心に戻れば。年内はもう利上げはないかもしれない。私はそう見る。円相場の落ち着き具合次第かもしれない。

ところで、私は日米の金利差がさらに一段と縮小するようなら、円高はもう少し進む可能性があると見る。たまりにたまったドル・ロングは膨大だ。ドルはいずれ高くなると考えている人はまだ多い。だから整理に時間を要する。それがかなりの程度処分されないと、ドルが再び上値を追う市場環境にはならない。


いいなと思ったら応援しよう!