![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/149674373/rectangle_large_type_2_1633b2a72b44b5364ab08246d7a9a8ff.jpeg?width=1200)
ペルソナ設計という落とし穴 ペルソナだけでなく、インサイトを重視する
新プロジェクト、大規模プロジェクトでは「ペルソナ設計」が行われる
「ペルソナ」という言葉は、多くの人が聞いたことがあるでしょう。ビジネスの世界では、「顧客像」とでも言えばいいでしょうか。
新規のプロジェクトだったり、既存プロジェクトの立て直しだったり、さまざまな局面で「ペルソナ設計」は行われます。プロジェクトのフェイズとしては、最初の法で行われることがほとんどです。
というか、後からペルソナ設計をしてもあまり意味はありません。
そもそも「ペルソナ」を設計する意味は、「典型的な顧客像(ペルソナ)」を徹底的に掘り下げることで、ユーザー理解を深め、あらゆるマーケティング施策の指針とすることにあります。
このペルソナならば、このメッセージに反応する
このペルソナならば、この情報で納得して購買に至る
そういった判断をするための大切なもの、それが「ペルソナ」です。
とことん具体的に、詳細に、ペルソナは設計される
![](https://assets.st-note.com/img/1722822245535-4aryR5buzE.png?width=1200)
これは実際に設計されたペルソナの例です。この記事を読んでくれている方の中には、似たようなものを見た、作った方も多いのではないでしょうか。
実際、里田も何度もペルソナ設計に携わったことがあります。何日も、何週間もかけて議論を繰り返し、時には二泊三日の合宿でパルソナを詰めていく、ということも経験しています。
顧客のことを想像し、膨らませ、肉付けしていくこの作業はとても楽しいものですし、有意義だったと思います。
名前はもちろん、性別や年齢、居住地、家族構成、住んでいる家、趣味嗜好、友人関係、行動パターン、将来の夢、いまの悩み事、いまの楽しみ… 徹底的に掘り下げていきます。
そして、確定した「ペルソナ」を軸に、あらゆるビジネスプランは組み立てられます。
価格や商品名、製品の仕様、広告メッセージ、コミュニケーションプランなど、ビジネス、マーケティングに関わるあらゆることが、「ペルソナ」を軸に決定されていくのです。
いつの間にか忘れられる、ペルソナの悲哀
苦労して作成した「ペルソナ」ですが、実は効果的に活用されるケースばかりではありません。里田が経験したいくつかのプロジェクトでも、以下のようなケースがありました。
・プロジェクトプランの段階で作成したペルソナが、プロジェクトの実行段階で忘れ去られていた
・初期企画書に詳細に記載されたペルソナだが、後から作成された「実行プランの企画書」には、一切触れられていなかった
よくあることですが、初期のプランニングが終わり実行段階に入ると、メンバーが相当入れ替わることがあります。実行メンバーが多数派になるのです。
彼らはこう考えます。
・初期企画書にある「KPI、KGI」を達成しなければならない
・初期企画書にある「行動」は実行しなければならない
数字とプラン、です。ここで言う「行動」とは、例えばECサイトを作る、WEBでの広告を実行する、オウンドメディアを作るといった「具体的な施策」です。
初期企画書には、それらが「どのような方針で作成されるか」は記載されえいます。それは大切にされるのですが、その背景である「ペルソナ」は「忘れられがちです。
・なぜその企画なのか
それは「ペルソナ」をベースに考えられているのですが、実行する際には「設計図」は見ても、「なぜその設計図なのか」はあまり深堀りされません。
里田は、動き出したプロジェクトを見ながら、迷走を始めた頃に、古参のスタッフにこう聞いたことがあったそうです。
「で、ペルソナはどこに行ったんですかね?」
こういう答えが返ってきたと言います。
「そういえば、ありましたね、ペルソナ」
がっくり、では済まない感覚だったそうです。
次の会議で初期企画書を持ち出して、ペルソナの話をしたところ、軌道修正が始まったので、まだ良かったと里田は振り返っています。
人事異動もあれば転職する人もいますし、プランニング段階と実行段階では、関わる人が変わるのが当たり前です。だからこそ、企画の背景にある、軸としての「ペルソナ」は重要なのです。
ペルソナを最大活用する「カスタマーインサイト」
「顧客視点」「お客さまの視点に立って考えなさい」という言葉は、よく耳にします。マーケティングに限らず、商品企画から販売戦略、あらゆる場面で、「顧客」は思考の中心にあるはずです。
その「顧客」を考えるのが「ペルソナ」です。そしてそのペルソナがあるからこそ「顧客視点」を考えることができます。
・どうすれば、顧客はこの商品に興味を持ってくれるのか
・この商品に興味を持つ人は、どんなキーワードで検索するのか
・どんなコミュニケーションを取れば、購買を検討してくれるのか
つまるところ「どうすれば買ってくれるのか」です。
この顧客の心理、思考を「カスタマーインサイト」と読んでいます。直訳すると顧客の本質、つまり顧客が何を考えているのか、行動原理はなにかということです。
これを考えるときの軸が「ペルソナ」なのです。ペルソナがあるからこそ、上記の「心理、行動原理」を考えることができます。
せっかく時間をかけて考えたペルソナは作って終わりではなく、「カスタマーインサイト」まで発展させることで、ビジネスに活きるものになると言えるのです。