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粗利益率で分かるブランドパワー【明日のザイム】
国内、海外で何百社という決算書を見てきました。分析する時に注目している指標の一つは、粗利益率です。
粗利益率を同業他社と比較すると、その会社のブランド力が分かります。例えばApple。MacやiPhoneのスペックは、他社のものと比べて必ずしも高いとは言えない部分がありますが、高い金額を出してでも欲しいという消費者はたくさんいます。
数字の面から考えた場合のブランド力は、同じ機能のものをどれだけ高く販売できるか?です。それを測るのが、粗利益率になります。
(粗利益率は、売上高から、仕入高をマイナスして計算します。仕入の他に、売上に連動して増減する費用があれば、その費用もマイナスします)
中小企業が財務体制を強化することの大切な目的のひとつは、会社の全体像の把握です。自社のブランド力がどの程度あるのかということと、それを踏まえた業務体制になっているかどうかを考えることは、企業の規模に関わらず、とても重要です。
中小企業ではどうやってブランド力を考えるか
日本の中小企業では、なかなか同業他社と比べて数字の比較ができません。その場合には、以下の手法を取ります。
①同業の上場企業と比較する
上場企業であれば、決算数字が公表されています。最近はIRと言って、投資家に株を買ってもらうために、積極的に情報開示を行う会社が多いので、決算書よりも細かい情報が公表されていることもあります。
例えば以前、お客様の会社の決算書からビジネスモデルを把握する時に、全く同業の製造業の会社が詳細な情報を開示していました。
その上場企業の粗利益率は約70%。弊社のお客様は約60%でした。
規模が大きい会社であれば、仕入コストを抑えることができるので、大手と比べてそこまで遜色ないな、と見立てることが可能です。
それでも利益が出ないのであれば、業務体制を効率化することが必要だ、と考えられます。
必ずしも、自社と一致する事業の情報が取れるとは限りませんが、うまくいくと簡単に情報を収集することができます。
②業界平均値と比較する
中小企業の色々な業種別に、経営指標の平均値を開示しているサービスがあります。
たとえばTKCさんのWEBサイトはその代表例です。
かなり業種も細かく分かれているので、業界平均と比較する時によく拝見させていただいています。
粗利益は、このサイトでは限界利益のことです。
この業種もかなり細かいのですが、意外にこれだ!というものを見つけることができないことが多いです。会社の事業は、なかなか分類に一致しないものですよね・・・。
③ざっくりとした一般的な値を使う
実際に一番よく使うのは、かなりざっくりとはしていますが、業界別の粗利益率の目安です。
卸売業:15%
小売業:30%
製造業:50%
飲食業:70%
サービス業:80%
まずはこの水準を目安にして、自社の粗利益率と比較してみてください。
これと比べてさほど差がなければ、粗利益率を維持したまま売上をどうやって伸ばすかを考えます。
もしも自社の粗利益率が上記よりも目立って低い場合には、相当力を入れて業務の効率化をするか、粗利益率を高めるためのサービス見直しを事業拡大の前に行う必要があります。
まとめ
いかがだったでしょうか?
ポイントは、特に粗利益率が他社に比べて低い場合です。このまま事業を拡大するとどんどん苦しくなるので、業務の効率化で他社を圧倒できるかどうか考える必要があります。
粗利益率は何年分か、過去をさかのぼって計算してみるとよいです。おススメは3年分です。計算の仕方が分からなければ、明日、顧問税理士の先生に相談してみてください。