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年商10億を実現するための人事戦略

どんな経営者でも、自分でやったほうが早いのに、と感じたことがあるでしょう。年商2億まで持っていける社長さんは、超優秀な人材です。その方から見れば、社員の仕事の進め方が歯がゆく感じるのは自然なことです。

しかし、そのままでいいのでしょうか?

社員の能力は自分の3割と考える

中小企業が、優秀な人材の採用を継続することは、ほとんど不可能だと思います。

身も蓋もない言い方をしてしまえば、優秀な人は大手企業に就職するか、独立をするかのどちらかです。

幹部社員候補として、何人か頼れる社員がいたとしても、同じような水準の社員を何人も採用するのは難しいのです。

結局、平均すると、社員の能力は、社長の3割ぐらいに落ち着きます。

誰が悪い、ということではなく、そうなってしまうのです。
もし、事業を拡大しようとして社員を増やしていくなら、「優秀な人材はまず入社してこない」ということを前提に、ビジネスを組み立てていく必要があるのです。

社員を採用しにくいトレンドは加速していく

経済産業省の予測によると、日本の人口は2010年〜15年にピークを迎え、2050年には1億人にまで減少します。

さらに、労働人口(15歳〜64歳)が人口に占める割合は、1995年に7割ぐらいでしたが、そこから下降の一途をたどり、2020年に6割を切ります。

https://www.meti.go.jp/shingikai/sankoshin/2050_keizai/pdf/001_04_00.pdf

さらに、2000年以降、中小企業から大企業への転出人数(オレンジの線)は増えてきており、中小企業の採用競争はますます激化してきていることがわかります。

https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/2021/shokibo/b1_1_3.html

まとめると、優秀な人材は元々取りにくい上、大手へ流れるルートができつつあるので、人材確保の難易度は上がる一方だということです。
これから事業を拡大することを考えるなら、このような採用状況を踏まえて作戦を練らなければなりません。

変えられない環境は受け入れざるを得ない

以前に書いた記事「わがまま大口案件を取るべきか?」でも書きましたが、こういう状況で、一部の優秀な社員に依存した成長戦略を取るのは危険だと思います。どんな社員でも、いつか辞めます。その時に穴埋めができなければ、会社は一気にバランスを崩し、立て直すのが難しくなるからです。

優秀な人材に依存せず、このような状況下で入社してくれた人材を教育し、離職率を抑えて段階的に難易度の高い仕事をしてもらえるような仕組みを作ることが、年商10億企業になるためには必要不可欠な条件です。

気が利かない、センスがないという理由で社員を詰めてしまえば、社員のやる気は下がっていき、遅かれ早かれ退職します。

退職すれば採用のやり直しです。人材獲得競争が激しくなれば、ひとり採用するのにかかるコストが経営を圧迫します。

また、社員教育は見えないコストです。教育のために先輩社員の時間が使われ、会社全体の効率が落ちます。退職者が出た時に、他の社員が穴埋めをするのも、効率を落とす要素です。

私自身は昭和生まれの、どちらかというと古い教育を受けた人間です。褒めるよりも厳しい指導が人間を伸ばす、という社会で育ちました。しかし、社会の仕組みがここまで変わってくると、私達の常識はもう通用しないのではないかと感じます。

私が中小企業でマネジメントをしていたときには、なかなかパフォーマンスが上がらない若手社員と接した時に、社員個人の責任ではなく、会社の仕組みが悪いのではないか?と考えるようにしていました。一部の優秀な社員のセンスに任せた経営では、どうしてもその社員の処理能力が、会社の成長の上限になってしまうからです。


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