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経営理念と社員の「壁」
今、会社に必要なのは経営理念ではないか?と感じる瞬間があると思います。MVV(Mission/Vision/Value)でも同じです。
私自身は、会社には理念がビジョンが重要だと思っています。しかし、社員さんはどう感じているのでしょうか?
恥ずかしがり屋の日本人は、「理念」との相性が悪い
経営者さんの熱意とは裏腹に、日本人の従業員エンゲージメントは世界最低と言われています。
従業員エンゲージメントは、日本語にすると、「会社の向かっている方向性への共感」となります。
経営理念を作ろう、というセミナーや研修を見かけることがありますが、私がいつも感じるのは、それをどうやって浸透させるのだろうか?ということです。
作るのは簡単。どうやって伝えていくかが大変難しい。それが経営理念です。
私の体験談「入る理念」と「残らない理念」はどう違う?
私も会社員を20年近くやっていましたので、その経験を元に、企業文化と社員との隔絶について考えてみたいと思います。
まず感じるのはですね・・・、
経営陣が何を言ったとしても、社員の目の前には、自分の仕事を評価する課長、部長がいます。
何かをするときには、自分の直属の上司に相談するので、そこでどういう判断がくだされるか?というのは非常に強い影響力を社員に与えます。
新しい取り組みに積極的かどうか?
他部署と自部署の境界線に落ちた仕事をどう取り扱うか?
他部署や取引先と、どのようにコミュニケーションをとるか?
業務指示の背景を説明できるかどうか?
困った時に助けてくれるかどうか?その対応方法は納得できるものか?
誰をどんな理由で評価するか、しないか?
これが現場社員の目から見た、「会社」です。
経営者がいくら理念を作っても、現場のマネジメントが理解して、理念に沿った振る舞いをしていなければ、社員はその通りに動いてくれないと思います。理念を認識することすらないかもしれません。
私が以前働いていた会社では、年を追うにつれ色々な標語めいたフレーズが出てきましたが、ほとんど覚えていません。
そんなことより、柔軟な発想で利益を追求する「他にはないアンサーを」という言葉の方がよほど共感できましたし、社内の雰囲気を表現していました。「(多少無理してでも)利益を上げる」という、超現実的な行動指針が好きでしたね。すごくしっくりきます。
組織が大きくなるにつれ、社会的責任も重くなり、昔のままではいられなくなったのかもしれません。しかし、理念やフレーズは、経営意思決定や人事評価、現場での判断基準の変更とセットになって降りてくれば理解できますが、そうでなければ、すぐに忘れ去られてしまいます。
実践を伴うからこそ、理念が生きる
こうやって考えてくると、理念を浸透させる、ということだけを必死にやってもしょうがない、というのが結論になると思います。
経営意思決定を、理念に基づいて決める。
顧客選びを、理念に基づいて決める。
人事評価を、理念に基づいて決める。
やるべき事業と、あえてやらない事業を、理念に基づいて決める。
採用基準を、理念に基づいて定義する。
毎日の経営が、理念に基づいて実践されているか。これが前提で、管理職がどうしてこうなっているかを、社員のレベルに応じて分かりやすく説明する。
これを根気よく繰り返していけば、自然と社員の行動基準も理念に寄ってきます。嫌なら去っていくでしょう。
離職は悲しいですが、それでいいのではないかと思うのです。
その結果、理念に賛同する社員の割合が増えていけば、従業員エンゲージメントは結果として高くなっていき、理念経営が実績される日が来るのではないでしょうか?
毎朝の唱和だけで理念が浸透する、というのは、個人的には難しいんじゃないかと思います。実践を伴わないと、すぐに儀式化、形骸化してしまうのです。