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【経営計画の作り方】 組織は人材以上に成長しない

経営者であれば、誰でも事業を大きくしたいと考えます。しかし、基本的には働く社員の能力以上には大きくなりません。中期計画を考えるときには、人材育成施策が必須です。

■社員の能力以上には組織は成長しない理由

どんなビジネスでも、集客→受注→出荷→アフターフォローまでのプロセス管理が重要です。

受注や出荷というと、モノを扱うイメージになりますが、サービスでも同じです。

飲食店であれば、来店から食事の提供、お会計までのプロセスで、いかに顧客の満足度を上げるか。
そのためには、お客様に接する社員の対応ひとつひとつがとても大切です。

品質を維持するには、社員教育が必要です。

規模が小さいころには、気心の知れた仲間と、高いモチベーションを維持して仕事ができたり、
無理をお願いしてもなんとかやってもらえたり、ということができます。

しかし、一定の規模を超えて社員を雇うようになると、

ただの仕事

だと思って業務をする社員が増えてきます。

もしくは、自分のキャリアアップや生活のことだけを考えている社員が増えてくる、という現象が起きます。

これは、規模拡大に伴い、どんな会社でも避けられない運命です。

このように、事業に特別な思い入れのない社員と仕事をする場合には、継続的なトレーニングを行わないと、品質は維持できません。

ですので、会社の成長速度が、社員教育による能力向上スピードを上回る状態が続くと、

・クレームが多くなったり(品質が下がるため)
・社員の退職が多くなったり(スキルが低いのに、こなせない業務量になり、逃げていくなど)

という現象が起きます。

社員の退職については、モチベーションの高い社員と低い社員の間で衝突が起こるという要素もありますね。

御社でもありませんか?

なんでもっと仕事しないんだよ!とプレッシャーを掛ける先輩社員と、なんでそこまでするんだよ!という後輩社員の衝突。

これがエスカレートすると、社内の雰囲気はどんどん悪くなり、社員が一定の数から増えなくなります。

■急速な成長は正しいことか?

社員はロボットではありません。また、労働人口の不足が拡大し、転職しようと思えばできる、という状況が増えています。

下図は、総務省統計局による、年齢別の人口推移です。

Inked労働人口推移_LI

2015年から、働き盛りの25歳から45歳の人口が毎年減少しています。25~34歳に至っては、2010年からずっと人口が減っています。

企業間で社員の取り合いになっているのは、明白な事実です。

このような状況で、社員の教育をおろそかにして、離職率の高まりを放置していれば、

どんどん社員は採用しにくくなり、社員数は減少していきます。

社員の能力を超えて、事業を伸ばそうと思えばどこかにひずみが出ますから、

無理に拡大のアクセルを踏むと、事業が分解しかねません。

そうならないように、社内の役割分担、必要なスキルのトレーニングを行う必要があります。

■社員教育とはなにか?

社員の教育とは、与えられた役割を果たせるように、仕事に必要な知識を身に着けさせてあげることです。

そのためには、雑に仕事を丸投げしてはいけません。

まずは型を身に着けさせて、その通りにできるようにしてあげることからです。

定型業務をしっかりできるように、先輩社員が教育する仕組みを作りましょう。

そのときに必要なのは、

・教えてあげるのは社員の責任であるという、先輩社員向けの教育
・業務の標準化とマニュアル作り
・教育プログラムづくり

です。

経営者の方、特に40代以降の経営者とお話して思うのは、「なんで言われないとできないんだ!そのぐらいわかるだろう」という社員批判です。

私自身も、教えてもらうより自分で考えたり、先輩の仕事の仕方を盗めと言われた世代ですので、

批判する気持ちはわかります。

しかし、時代は変わりました。

環境の変化から目を背け、自分の価値観を押し付けて、できない社員を批判していては、事業の発展はありません。

当社のnoteで何度も説明している通り、

事業ドメインを明確にし、儲かる事業モデルを開発して、チームプレーで拡大していく必要があります。

■優秀な社員が入社するのを待っていては遅い

中小企業に、継続的に優秀な社員が入社することはありません。

優秀な人材の多くは、大企業に就職するか、独立します。

もちろん、中小企業にも優秀な方はいらっしゃいますが、安定して採用することはできないのです。

ですので、優秀な社員に依存した事業モデルを作ると、どこかで成長は頭打ちになります。

無理な前提で事業を拡大しようとしてもダメなのです。

それよりも、今いる社員を育てること。育てるには、まず型を教える必要があります。

業務の標準化とマニュアル作りが、型づくりなのです。

型どおりに仕事をするだけでは、大きな発展は見込めませんが、個人の能力に関わらず、一定のパフォーマンスが出るようになります。

これが、御社の「社員の能力」を底上げして、事業の成長を後押しするのです。

社員の能力とは、個人のセンス×仕組みの完成度です。

ぜひ、特定の社員を批判するところでとどまらずに、仕組みを磨き上げることを経営者の仕事として認識していただければと思います。


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