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中小企業経営者の退職資金の作り方4選

中小企業経営者には、いくつかの代表的な老後資産の作り方があります。
今回は4つの方法を整理していきます。特に「積み立てる系」の場合には、早めの準備が必要なので、ご利用は計画的に!

それではひとつずつ、見ていきましょう。

1.小規模企業共済

節税商品の、基本の「き」で使われる、公的な退職金制度です。
個人事業主や、比較的小規模な会社の経営層向けの退職金制度ですね。

法人の場合は、常勤従業員20人以内(卸・小売・サービス業の場合は5人以内)が加入の条件になっています。これは加入時の要件なので、加入後に規模が増えてもOKです。

この制度は、入れるのならまず入っておくべき制度です。
どうしてなのか?その強力なメリットをご紹介しますね。

①掛金は全額損金算入、受取時も税制優遇あり

共済に加入すると、毎月掛け金を支払うことになります。
役員が給与の中から個人で積み立てる形式なので、会社は全額損金算入できます。

役員個人の所得税を考えると、所得控除と言って、個人の所得から払い込んだ掛金をマイナスできます。最大84万円/年ですね。

役員報酬が高くなると、所得税率も高くなります。
84万円の所得をおさえられるのは、節税効果としても見逃せません。

さらにすごいのは、掛金が自由に変更できること。
掛金は1,000円/月~7万円/月の間で、500円単位で変更することができます。

②予定利率1%

小規模企業共済は、1%の予定運用利回り。
銀行の定期預金に比べれば、はるかに高い利率です!

ちなみにメガバンクの定期預金金利は、0.002%。
小さすぎてよくわからなくなりますが(笑)、メガバンクより500倍も利率が高い!

③差し押さえ禁止

会社に万が一のことがあったときに、積立金は差し押さえ禁止財産となります。つまり、何があっても他人が手を付けられないシェルターの中に入れておけるということ。

会社経営ではどんなことが起こるかわかりません。
自分の資産防衛の意味でも、とても大切ですよね。

2.企業型DCへの加入

次にご紹介したいのは、企業型DCへ加入することです。
企業型DCは、まだなじみがない人も多いと思うんですけど、小規模企業共済と同じぐらいメリットが大きいです。いや、それ以上かも・・・。

小規模企業共済は、加入に制約があるじゃないですか。
社員が20人超えちゃうと、もう入れないんですよ。

それに比べて、企業型DCは企業の規模に関わらず加入できますので、これもオススメしたい制度です。

制度の概略を説明しますと、
①毎月3,000円~55,000円の掛金を積み立て
②掛金は60歳まで引き出し不可
③掛金は全額損金算入。引き出し時にも税制優遇あり。
④掛金の運用は個人次第。元本確保もできるし、積極運用も可能。
⑤社員も任意で加入OK

といったところです。

メリットは小規模企業共済と被るんですが、小規模企業共済にはないメリットもあります。それは、「複利」での積極運用が可能だということ。

小規模企業共済以上の利回りが期待できるということです。もちろん、投資なので利益の保証はありませんし、元本割れの可能性もあります。

積立と複利の話は、またどこかでお話ししますね。

また、積立金額は社会保険の計算対象からも除かれます。会社と、個人が負担する社保も安くなります!

3.生命保険への加入

退職の時期に合わせて、解約返戻率が高くなる生命保険に加入し、退職金の原資とする手法もあります。これを利用されている会社さんも多いのではないでしょうか?

税制改正が行われて、今は節税という意味では、あまり有利ではなくなってしまいましたね。

法人税の支払を先送りするという意味では、ある程度意味があります。しかし、退職が10年、15年先だとして、ずっと利益が出るとも限りませんし、途中で解約すると損をしてしまうので、資金繰りがタイトでも解約はしにくい(解約返戻金の範囲内で貸し付けを受けることはできます)ですよね。

また、商品構成が複雑なのもデメリットの一つです。つい、不要な生命保険に入ってしまうことがあります!注意してください。これってまったくメリットないですよ??みたいな保険に加入しているケースも、弊社のお客様で見たことがあります。

ちょっとデメリットが先行してしまいましたが(汗)、社長さんの体に万が一のことがあった時の備えとしては最強です!よく、保険商品の特性を理解したうえでご利用いただくことが大切なのではないかと思います。

4.会社の売却

最後に挙げるのは、会社の売却です。家族に継いでもらうのではなく、第三者に売却するのであれば、売却額が老後資金になります。

あまり具体的なことを書くとむずかしいので書きませんが、会社の利益と株主資本の金額が大きいほど、売却額は高くなります。

いくらで売りたいのか?を考えておき、それに見合う年間利益や株主資本を作る経営が必要になります。

メリットは自分の努力次第で売却額を創り出す(業績アップ+交渉)ことができる点です。最近は、M&Aは大企業だけの話ではなくなってきましたからね。

デメリットは、買い手さがしがむずかしいことでしょう。特に、よほど経営を仕組み化して、経営者不在でもある程度会社が回るようになっていないと、買い手がつきにくいか、買い手を探すのが大変になります。社長さんがいないと回らない会社は、なかなか買いにくいですよね。


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