組織の壁を超えるには、相手の痛みを想像する
理念もある。戦略もある。顧客から支持される商品もある。あとは規模を大きくしていきたい!
ここからが大変です。想像していたとおりに、物事が進む可能性はまずありません。
会社で何かを始めれば、必ず想定外のことが起き、どの部門が引き取るかでモメます。特に、売上を上げる営業部門、モノを作る製造部門は発言力が強く、主張されるとなかなか反論できません。
もしくは、優秀な社員の気分や主張に振り回されることもあるでしょう。
しかし、発言力が強い人の意見が通るだけで、本当にうまくいくでしょうか。
他人の仕事は簡単に見える、という法則があります。他人や他部門のパフォーマンスが低いと、なぜそんなこともできないんだと、つい言いたくなってしまいます。部下への指示が雑になるのも同じです。自分から見たら簡単にできることでも、人によって難しく感じることもあるし、経験の差も無視できません。
このような振る舞いは、他者を傷つけ、不必要に社内の雰囲気を悪くします。
これを調整するのがマネージャーです。
マネージ(manage)という英単語には、「管理をする」というイメージがありませんか?辞書で調べると、こんな意味が出てきます。
どうにかしてする。うまくする。なんとか都合をつける。
どうでしょうか。管理というよりも、もっと主体的に物事に取り組んで、結果を出す意味合いを感じませんか?
マネージャーに求められるのは、自分の部門に与えられた課題をなんとかしてやり遂げることです。
ただし、どんな手段を使ってもよいわけではありません。あまりに自部門に都合の良いことばかりを主張し、他部門に仕事を押し付けてしまえば、社内全体のパフォーマンスが下がります。理不尽なあまり、社員が辞めることもあるかもしれません。
ですから、マネージャー同士のコミュニケーションはとても重要です。
その時に、ぜひ考えてほしいのです。ほとんどのモメごとは、「他者への不理解」から生じるということを。
これは私の感覚・経験ですが、仕事の手を抜く人は、それほど多くありません。それよりも、他部門の仕事がカンタンに感じるから、「手を抜いているように見える」のです。
そういうときは、正面から議論するよりも、相手部門のマネージャーの気持を理解するために、なぜそう思うのかと、真剣に耳を傾けるほうが、結果的に物事がうまく進みます。
誰でも、自分は大切な存在・重要な存在でありたいと感じています。仕事にもそれが現れます。マネージャーになる方であれば、なおさらです。
本人は一生懸命やっている「つもり」の時に、ダメだと否定されるより、感じていることを聞いてあげて、それからもっとうまくいく方法を話し合えば、結果はぜんぜん変わってきます。
それと、もうひとつ。
部下は上司のことをよく見ています。特に、自分にとって都合の良い、上司の振る舞いを真似します。だからこそ、マネージャーの振る舞いは、組織の浮沈を握るのです。
マネージャーの振る舞いを教育できるのは、社長さんしかいません。しっかり取り組めば、必ず成果が出ます。