「ダイの大冒険」に再会す。 その3:罪を受け入れ、憎悪を打ち砕け。 ーマァムとクロコダインー
再アニメ化により「ダイの大冒険」に再会し感動したイイトシの元オタクが、色々語ってしまった記事でございます。
以前の記事はこちら↓↓↓
【ネタバレあります】
あらすじでフレイザード編まで、ざっくりとは鬼岩城上陸後、基本的にはアニメの進行度以上はいかないようにしています。(2021年9月現在)
ダイたちの3人目の仲間になるマァムと、魔王軍の軍団長としてダイと対戦後、魔王軍を裏切って仲間となる獣王クロコダイン。
生まれ故郷から離れ、ポップと共に旅をはじめたダイは、クロコダインが進軍していたロモス王国に到着。目的地である城からは遠い森の中で、ダイたちはマァムと出会います。
ダイ抹殺を目論むハドラーの命令によりダイを襲ったクロコダインですが、マアムとポップの助けを受けたダイからの攻撃で片目を負傷し撤退。思わぬ敗戦を喫したクロコダインは、焦って魔王軍きっての卑怯者・妖魔司教ザボエラの口車に乗ってしまうことになります。
アバンの使徒であるマアムはアバンの死を知り、ダイたちと共に旅に出ることを決意。そしてクロコダインとの再戦となり、ザボエラの策略で苦戦を強いられるものの、勇気を振り絞ったポップの行動で形勢が逆転し見事勝利します。
ここの時点では、マァムが仲間になるだけですが、その後なんやかやあってクロコダインも仲間になります。
登場時期が同時期ながら、正規ルートの仲間入りと裏切りルートの仲間入りという対照的な2人。
連載当時、男勝りだけど優しいキャラであるマァムが仲間になったり、クロコダインが色々あって裏切るという展開は、「少年ジャンプ的展開だねえ」と思ってました。
道中で仲間になる村娘のマアム。
村娘といっても、マアムはアバンとともにハドラーを倒した戦士ロカと僧侶レイラの子になります。その血を引き継いだのか、戦士並みの馬鹿力と運動神経、回復系の呪文を操る能力を持っています。
連載当時は女性の仲間キターみたいな感じでしたが、武器であるハンマースピアをぶん回し、魔弾銃(魔法を詰めて打ち出す銃)を使いこなすハイブリッドな姿がちょっと新鮮だった記憶があります。今にして思うと、当時のドラゴンクエストの世界観から結構離れたキャラでした。
登場した当初は、ドラゴンクエストにはない僧侶戦士という肩書きで活躍しますが、物語が進むうちに自分の能力の伸びしろのなさに気付きます。そして、自分の特性を活かして戦う為に、僧侶戦士から武闘家になることを決心するのです。そして、マァムは修行の為にダイの一行から一旦離脱するという展開になります。
迷ったり悩んだりするキャラが多い中で、「人のために何かをしたい」という想いがはっきりとあり、すぐ行動を起こせるのは、かなりのポジティブ思考と言えるかも。
その後、マァムは武闘家として再登場し、重要な戦力となります。
自分の力不足を認め、目的(仲間)の為に自分の今までのキャリアを捨てる潔さと、新しいことに挑戦し会得する能力の高さ。
天賦の才能があってこそなんでしょうが、メンタルがまず強くないと無理。人間なんてのは自分の弱さを認めるのが一番できないんですから。
こんな感じで、優しい上にブレたりすることがないから人を惹きつけることになるんですけれども。そこには恋愛事情もあったりなかったり(?)。
そこらへんは大人になって読むと…いやあ、青春っていいですね(笑)。
魔王軍の百獣魔団の軍団長で獣王と呼ばれたクロコダイン。
屈強な戦士であり、武人としての誇りを強く持つリザードマンです。
ダイとの対戦後、死んだかと思っていたらダイを助ける為に再登場、そのまま仲間になってしまいました。武人・クロコダインはダイたちの戦いっぷりに感銘を受け、魔王軍から勇者へ鞍替えしてしまったのです。
連載当時は「少年ジャンプあるある」でそういうもんかと思ってましたが、今読んでみると、その後のクロコダインが周りに相当気を使っていたんじゃないかと…。
自分がモンスターで軍団長だったことを自覚しているが故に、たとえ仲間でも人間の建物内に入らないとか(サイズ的なものあると思いますが)、会話もわきまえた上でちょっと距離をおいて話しているような気がするのです。
そしてダイたちや人間を守る為に、自分の能力を限界値まで引き上げて酷使する姿は、過去に自分が苦痛を与えてきた者たちに対して、贖罪をしているようにも見えます。
それが通じたのか、一度は殺しかけたポップでさえも「クロコダインのおっさん」と呼んで頼りにするようになるし。周りもだんだんモンスターという障壁がなくなって、意識しなくなりますし。
確かに最初はダイの仲間だから人間たちは信用したんでしょうけど、その後の信頼はクロコダイン本人が作り出したものじゃないのかなと思ってます。
大人になって読み返すと、クロコダインの良さが心に沁みます。
連載当時はそこまでじゃなかったのに、年齢を重ねてわかることの一つがクロコダインの良さだったとは(笑)。
トシくって面白いこともあるもんですね(笑)。
敵と味方だった2人が、仲間になった姿はまさに美女と魔獣。
だからといってこの2人が恋愛関係になるわけではないのですが(笑)。
でもどこか肝っ玉お母さんと情に厚いお父さんにみえないこともない…。
この2人がいるからこそ、他の仲間たちはメンタル的にもフィジカル的にも救われている部分はあるといえるんじゃないでしょうか。
誰かのために、己の力を使うこと。
自分の立ち位置を理解して最善と思う選択をし続ける2人の行動が、他の仲間を守り、前へと突き動かしていくわけです。
ダイの大冒険が面白いところは、切り札的な主人公がスーパーになればなるほど他のキャラが置いてけぼりがちな展開の物語が多い中で、それぞれにきっちり役割があり、ちゃんとストーリーに影響しているところだと思います。
彼らは救世主にはなれないけれど、救世主に必要とされる者だった。
救世主ひとりだけじゃ、世の中救えないですから。
その4へ続きます。
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