【宝くじ魔法学校】 #毎週ショートショートnote
私はタカラクジェンヌを夢見る少女。
今日は宝くじ魔法学校の合格発表。タカラクジェンヌを目指す少女たちにとって夢への第一歩。
初めて父に連れられて行った年末抽選会。
煌びやかに華やかに艶やかに舞い踊るタカラクジェンヌは、億万長者となる人を祝福するように、あるいはそんな人生を夢見る観客たちを希望に満ち溢れさせる魔法を掛ける。
その魔法に掛けられた私は、たちまち虜になった。
タカラクジェンヌを志したその日から、学校が終わればスクラッチ削りのお稽古に通い、週末はナンバーズのマークチェックレッスンに励んだ。全国一粒万倍日模試の出来に悔しくて枕を濡らしたこともあった。でも、それら全ての結果が今日決まる。
「それでは、発表いたします!」
凛とした佇まいの本科生による張りのある掛け声に、誰もが固唾を呑みながら、掲示板に貼り出された合格者番号と自分の受験票を見比べた。
私はタカラクジェンヌを夢見る少女。
その虜になった私は、まだ魔法に掛かったままだった。