【小説感想】切り裂きジャックの告白 刑事犬養隼人 ** 中山七里

こちら、映画「ドクター·デスの遺産」の原作のシリーズです。
ドクター·デスの映画を観る前に原作を…と思っていたのですが、どうやらこのシリーズの読む順番的にはドクター·デスは4番目で、最初に刊行されたのがこちらの「切り裂きジャックの告白」だそうで。
と言うわけでこちらを先に読みました。
このシリーズの文庫本には現在映画公開中とあって、綾野剛さんやら北川景子さんやら、映画に登場した人の特別な表紙が付いておりました。

今回は、警察署の目の前の公園で、異様な死体が発見されるところから始まります。
異様な死体…それは、開腹して内蔵を全て取り出した状態の死体です。
死体の描写が凄いです。目の前にその死体がまるで本当にあるかのような印象を受けました。
しかもその死体の解体、発見現場で行われた様子。
警察署の前で解体されたとあって、警察への挑発だと躍起になって犯人を追うもののそんな最中、第二の犯行が起きてしまいます…。

こちらは映画と違い高千穂は基本出てきません。
ここでバディとなるのは、第二の犯行が行われた管轄の埼玉県警の小手川と言う若者です。
若いとは言え結構切れる男。
犬養と素晴らしいバディの関係を築きます。

読んだ私の感想としては、ドクター·デスに引き続き医療系の絡んだ内容だったのでかなかな難しい問題を突きつけられた気分です。
私の身近にはない題材なので抱えている問題など始めて触れたこともあり、考える機会を与えてもらった感じです。
かと言って、読み終えた今、自分の中で答えが出たかと言えば否ですが。

最後の最後まで疑わしき人間がコロコロと代わり、私にとっては最後まで犯人にたどり着けない面白味のあるお話でした。

最後は少しほっこりして締め括られ、残忍な事件ではあったけど後味は比較的すっきり。
面白いお話でした。

次は順番通り「七色の毒」と言う短編集を読もうと思います。

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