#03 モテるって大変ですね
昔は友達がたくさん居たから友達同士のようなお付き合いから始まったんだよね。お互い本当の思いを伝えられない状態で、ぐっと我慢しながら友達みんなで騒ぎあった。そのままで居ればよかったのか。それとも今の幸せなままが一番いいのか。私たちの関係は世の中に簡単には認めてもらえない。
<看病してあげるよ!>
アイはサチと私が遊ぶ事に腹を立て、時々遊んでも日用品をねだられたり、お昼をパシリのように買いにいかされた。私への当たりが強くなっていると感じた私は、自然と遊ぶ回数が減っていった。
それでも同僚同士の集まりには自然と顔を合わせるけど、特に以前のような楽しい会話をする事もなかった。むしろ、皮肉のように
「まりちゃんは、サチとばっかり遊んでるからね!」
っと、アイが私を支配できなくなった嫌味を大きな声で言ったり、職場でも「サチ元気?」
っと言ってみたり、どんどん嫌味がエスカレートしていくのを感じた。
そして、自然とアイとサチの関係も悪くなっていった。
サチはそれを見かねて、久しぶりにアイにメールを送ってみた。
「元気?今度一緖に遊ぼう。」
アイからはなかなかメールが帰ってこなかった。それもそのはずアイは風邪を引いていたのだ。職場の同僚とたまたま会って知った情報だった。私たちも一人暮らしで大変なアイを見捨てるわけには行かないと、お見舞いに行く事にした。
しかし
自宅のインターホンを鳴らしても、アイが出てこないではないか!中で倒れているんじゃないかと思い、ドアを叩いてみる。声がしない。中に呼びかけてみるも声は全くしない。心配になり職場の同僚に連絡をしてみる。
すると
メールが帰ってきたという。つまりこれは、居留守。
私を無視しているのである。それでも私は彼女が可哀想だと思い。買ってきた飲み物とヨーグルトを玄関のドアに掛けた。雨の中の30分の出来事だった。何かしたわけではないのに、急に嫌われた悲しみが、雨の中で冷たく心を冷やしていた。
<どしゃぶりの居留守>
アイの事件をサチに話した。
「もう、アイちゃんの事は放っておきな。まりちゃんが辛いよ。」
私はアイが心配だったけど、これ以上自分も傷尽きたくないと思ったし、サチがいるから大丈夫だと自分に言い聞かせた。
数日後、私は今日もサチと遊ぶ約束をしていた。仕事が午前中で終わりお昼を食べたら眠くなってしまった。少し寝てしまおうと横になる。
サチは初めて1人で我が家に来る日だった。道に迷ったらしく何度か携帯に着信が残っていた。私は・・・
着信に気づかなかった!着信どころかインターホンにすら気づかなかった。
その日私が昼寝した後、どしゃぶりの雨が振りインターホンの音、携帯の着信の音が雨音ですべてかき消された。っと私は思っている。そして、意外にも私の昼寝が深かったという事も原因なのかもしれない。サチは、いくらインターホンを押しても私が出てこなかったから、どしゃ降りの中で必死にたどり着いた私の家からまた自宅まで帰ったのだった。
それを知った夜、私は深く反省した。なぜなら、アイには何もしないでも嫌われてしまったのに、サチには居留守を使ってしまった事。私の頭の中は「嫌われる」「どうしよう」「また独りになる」という恐怖しかなかった。
昼寝からおきた後、すぐにサチに連絡をした。私は電話に出てくれた。そして、怒る事なくただ「雨に濡れたよ〜」っと笑って答えてくれた。申し訳ない気持ちでいっぱいだった。自分もアイに雨の中、居留守を使われた。あの悲しみを知っているから、サチにした事への後悔と申し訳ないという気持ちでいっぱいだった。
<雨が降ったら風邪を引く>
数日後、サチへ連絡をした。サチは確かに電話に出た。でも、声がしない。
私は必死に問いかけるも、カサカサ何か言っている音がする。そう、先日の雨でサチは風邪を引いてしまったのだった。私は自分が風邪を引けばいいのに、なぜサチなのかと思った。
サチは誰かの看病が必要だったが、自力で会社に行き、自力で食べ物を買ってきたという。私は何をしていただろう。私とアイの家はバスと電車で30分ほど離れていた。私は看病に行こうか伝えたが、来ない方がいいと言われた。自分のせいで風邪を引いてしまったのに、いけない悔しさと、サチへの思いが更に深まった日だった。
- 今思うと、サチと出会ってから私こんなにも早く私はサチを好きだったのかもしれない。私がアイに居留守を使われて悲しんでいる時も慰めてくれて、私が同じ居留守をしても許してくれた。風邪を引いても私を気遣ってくれた。この頃から私たちは繋がっていたのかもしれない。
つづく
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