見出し画像

大人の遠足

会社の有志で、時々遠足をしている。
行き先は、ピクニックをしたりリバークルーズをしたり、美術館や博物館にを訪れたりと様々だ。毎回誰かが幹事となってテーマを決め、何かを学ぶ機会とする。そして、夕方からは懇親会になる。
今回は、大河ドラマ「光る君へ」でもしばしば出てきた、石山寺に詣でてみた。

紫式部が『源氏物語』を書き始めた場所として有名なので、さぞや多くの観光客が訪れているのだろうと思ったが、そんなこともなかった。奈良時代からの由緒あるお寺なのでもちろん参拝客は多いが、オーバーツーリズムというほどではない。現地は大河ドラマに全力で乗っかろうとしているのだろうが、実際は京都や宇治に人が流れているのだろう。

とはいえ、個人的には大変興味深かった。広い境内には塔頭寺院が並び、石山寺の名前の由来となった珪灰石の岩塊が滝のように聳える。この石は飛鳥の川原寺の礎石にも使われたそうなので、古来から珍重されていたようだ。
この寺はまた経典や文書などの所蔵で有名だが、日本人唯一の三蔵法師 霊仙三蔵の存在が石山寺で発見された経典の翻訳者名から知られたそうで、入唐から彼の地で没して以来日本では千年忘れ去られていた存在だったそうだ。
そういう、圧倒的な蓄積のある寺院だった。

石山寺の珪灰石群
霊仙三蔵の碑
紫式部像。この姿勢で長時間書き物できるのかな。

古来、数々の歌に詠まれてきた風景も、今はずいぶん様変わりしている。琵琶湖が間近なはずの展望も、住宅地や商業地として埋め立てられ水面は遠くなってしまった。それでも、ありし日を想像するのは面白い。

たくさん歩いて、良い運動にもなった。
会社の外で、同僚たちとそれぞれ趣味やバックグラウンドで培われた知識を出し合って学び合うのは、いつもと違う顔が見られて良い。豊かな人間関係だなと思う。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?