それはただのエゴで
関わっていたひとが、孤独死してしまったと、今日知った。
亡くなってからだいぶ経っていて、腐敗が進んで、顔では判別できなかったそうだ。
勤め先で人が亡くなることは正直、常日頃起こりうることなんだけど、ここまで関わっていた人が自分の預かり知らぬところで亡くなるのは初めてな気がする。
あれ以上私に出来ることはなかった、と、おもう。
でも、もう少し、おせっかいであれば、しつこければ、何か変わっていたのだろうか。
アル中の人だった。
言っても言っても、いや、言った日だけは飲む量を減らしてくれた。
汚い身なりで来ることを良しとせず、黄ばんだマスクを部屋に入る前に新品に変えてくれる優しい人だった。
映画関係の仕事をしていた。またしたいといつも言っていた。
予約をすっぽかすのは何回かあったから、また来月ね、と念を押して返したのが最後だった。
予約日に来なくて、私が携帯に電話をした時には、亡くなっていた可能性が高いみたい。
10回、20回コールしても、誰も答えてくれない携帯の横で、あの人はどんな状態だったのだろう。
しょぼくれている私に上司が「来なくて心配して色んなところに相談したから、独りでいる時間を減らしてあげられたんだよ」と慰めてくれた。
そうだといい。そうだといいな。
願わくば、酒でわけわからんくなってる時に意識を失ってそのまま亡くなっていてほしい。苦しい思いをしないでいてくれたならそれがいい。
夏前の、蒸し暑い、梅雨の最中。
あの人が、人生を悔いてなければいいと、エゴイズムの心から、願う。