No.022ヤギさん郵便「割れたガラス」
4歳の女の子が砂場でじっとしゃがみこんでいた。
保育士が近づいてみると、女の子の前には割れたガラスが散乱していた。
保育士は声をかけた。
いつものように優しく「なにをしているの。」
女の子はこう答えた。
「キラキラひかっていて、きれい。」
砂場の中の割れたガラスは、太陽のひかりで光っていた。
保育士は女の子の横にしゃがんだ。
「ほんまにキラキラひかってきれいやね。」
しばらく、女の子とそのキラキラをながめていた。
そしてゆっくり話はじめた。
「キラキラひかっていてきれいやけど、さわったりふんだりするとケガをするよ。あぶないからかたづけようか。」
女の子は笑顔でキラキラが片づけられるのをみていた。
女の子が叱られることはなかった。
女の子は、キラキラはきれいだけど、あぶないからさわったり、キラキラのままおいておいたらいけないということを学んだ。
子どもが保育園に通っていた頃の話です。
子育て真っ最中だった私は、20代の保育士の対応にハッとさせられました。
今でも時々思い出します。