雑記 216 夜のドラえもんGO
フォーレの「Requiem」の合唱練習が池袋であって、乗り換えの高田馬場駅に着いたのは、21:30を回っていた。
混声合唱であるため、男性の都合を考慮してか、練習はいつも18:30から始まる。
自分が趣味でやっていることだから、帰宅が遅くなって疲れたなどと文句は言えない。
昼は暑かったが、昨日からツクツクホウシが鳴き出した。
夕暮れになると、コオロギの鳴き声も混じり、いよいよ夏も終わりに近づいてきたと感じさせられる。
アブラゼミやクマゼミの、遠慮なしの声高な鳴き声と違い、ツクツクホウシは、昔の記憶に書き込まれた、夏休みが終わる、宿題はやったか、という、催促と警告の、切ない響きを持つし、コオロギは、「ツヅレサセ、ツヅレサセ」と秋の到来と冬への準備を促され、切なくもあり、衰えゆくものを引き止められない寂しさに包まれる。
母が亡くなったのも、父が亡くなったのも秋だった。虫の音は、その時のことを思い出させ、コスモスがひとつ、またひとつと咲いて、気温が下がり、秋風が吹く、「ああ、本当に一人になってしまった」という、どうにも仕様のない孤独感が襲ってくる。毎年秋に進む季節の寂しさからは、逃れられない。
今日は、やはり、1日の活動に、合唱の練習という余計な部分が追加されたので、疲れていないとは言えない。
そんなことで、ぼんやりと電車を待っていると、目の前に、いつもと違う色の電車が滑り込んだ。
ドラえもんGO。
こんな時間に!
急に元気が湧いて、疲れが吹っ飛んだ。
やはり、猫型ロボット。
分類からしたら、
食肉目ネコ亜目ネコ科ネコ属イエネコに入り、
もっと言えば、のび太のオタスケイエネコ。
オタスケイエネコは、のび太の他、霊長目真猿亜目ヒト科、ホモサピエンスサピエンスも助ける力がある。
駅で降りた後、ホームに立って、ドラちゃんの顔が遠ざかって行くのを見届けた。
元気が出た。
やっぱり、猫って不思議な力がある。