雑記 224 雨上がりの公園で
雨上がりの人気のない公園で、
子どもが無心に絵を描いている。
夏の間、あんなに賑やかだった蝉の鳴き声も
パタリと絶えた。
植え込みの中で、1匹のコオロギが
頼りなく鳴いているのが聞こえて来る。
描かれるのは、彼女の領土。
彼女の城。
時に、一直線に国境を広げ、
時に、バチカン市国のようにこぢんまりと。
一人の世界にどっぷりつかり、
土との会話はいつまでも続く。
彼女の柔らかな巻毛に、
金木犀のかすかな香りのする風が、
静かに吹き通っていく。
9月の雨上がりの公園。
自分にもそんなことに熱中する時があった、と
遠い日を思い出す。
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