胸が苦しくなる時

きのこ帝国の猫とアレルギーという曲をご存知だろうか。

俺は中学生の頃、スペースシャワーTVを見るのが好きだった。知っているアーティスト、知らないアーティストのMVを見るのが好きだった。

多分、そこから音楽にハマっていった。

それは高校生の頃だった。親にケータイを買ってもらい、音楽が自分のすぐそばにあった。YouTubeでは、いろんなアーティストのMVをみたり、友達から勧められたバンドのMVをみていた。
毎日が音楽と共にあった。

そして、きのこ帝国の『猫とアレルギー』に出会う。

とても儚く、しかし最後は力強く不思議な曲だった。

俺は、ありがたいことに親が丈夫に産んでくれたおかげで、大きな病気にかかったり、アレルギーを持っているわけでもない。
健康体に産んでくれてありがとうと思う。

しかし、この『猫とアレルギー』は俺の体に電流を流した。

持つものと持たざるもの。
別れた彼は、猫アレルギーを持っていたが優しく猫を撫でた。

なんというか一言で表すなら「失恋後の未練の歌」

俺はそんな風に優しくできるのか。分からない。

人は、相手の気持ちを察して声をかけてくれる。時に優しく時に厳しく。

俺は、「頑張れ」という言葉が嫌いだ。けど、誰かを応援する時「頑張れ」以外の言葉を知らない。
頑張っているのはみんな頑張っている。多かれ少なかれみんな頑張っている。

けど、人は自分の持っているものさしでしか人を測れない。それは、知らず知らずのうちに上か下かを決めつけてしまう。

だから、「頑張れ」って言葉は上から目線みたいで、薄っぺらくて嫌いだ。

大切な人と別れた。楽しい思い出しか思い出せない。人間ってそんなものだ。

だから俺は、大切な人たちと別れたら『猫とアレルギー』を聞いて胸に苦しませている。
胸を締め付ける痛さ。それは自分の心を傷つける自傷行為のように。

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