見出し画像

私が書く理由

先に進むため

私が結婚した人は、人を愛するということが分からない人、というか自分のこともよく分からない人でした。これがどういうことか分かるまで、18年も掛かりました。それくらいややこしかったのです。

私をアメリカまで追いかけてきた人、常に優しかった人、いつも笑顔だった人は、結婚前には話が出来ていました。ところが、結婚した途端、話が通じない。『そんな馬鹿な!?』と何度も話し合いを重ねましたが、これがまさかの土壺。彼は会話というものが出来ない人で、本当に無駄だったのです。

1年前のことが話に出た際も、「昔のこと過ぎて覚えていない」と彼が公言したのも18年経った後でした。普通ならそんな訳はないので、自分に都合の悪いことを「覚えていない」と言っているだけかと思っていました。けれど、彼には本当に一年以上前の記憶がほぼなかったのです。

結婚して20年近く経ってから知った事実。それは、彼が発達障害だったということ。

そして、その事実を小さい時から隠して生きてきた彼とは、始めからうまくはずがなかったのでした。

結婚以来、訳の分からない不思議な世界に迷い込んだと思っていましたが、それは気のせいではなく、発達障害の人の世界で、お陰で私は物凄く詳しい人になっていたのでした。

完全に巻き込まれ型で、かなりの時間を無駄にしてしまったわけですが、発達障害の人には共通点がたくさんあるので、私の失敗が同じように悩んでいる人の役にたつことがあるかと思って書いています。

発達障害は10人いたら10人違います。うちのモトオやムスメがそうだからと言って、全ての発達障害に当てはまる訳ではありませんが、小学校で支援をしていると、あっちにもこっちにも元夫ミニがいたりするので、これは本当に問題だと思うのです。そして、今はなぜかその数が増えている事実。決して他人事ではないのです。

これまで書籍によく書かれてきた発達障害夫は、アスペルガー夫などとして書かれていますが、あまりモラハラ言動がない人たちに思いました。実際、モラハラがなくても大変なのはよく分かりますが、我が家のような特性によってモラハラになるケースもあることは見逃してはいけないと思っています。元夫は、結局逃げ勝ちしてますから。

グレイゾーンはよく軽度と言われますが、集団への不適応や無自覚からくる不適切な言動の度合いは「軽度」という言葉では済ませれず、周りで悩んでいる人は少なくありません。

彼がやっていたことは、家族に対する精神的虐待、モラハラです。

私はお互いのことを尊重し、思いやれる普通の家庭を作りたくて、我慢してしまいましたが、今はそれは間違いだったと思っています。

家族であっても、家族だから許されない言動を皆が認識する必要があるのです。

専業主婦を馬鹿にする傾向がある

モトオの人を判断する基準はお金で、低収入の女性を見下していました。けれど、自分をリベラルと思わせようとするかのように、自分よりも収入の高い女性を褒め称えるのは忘れませんでした。

私はそもそも美術専攻でお金とは縁遠く、彼はその私を支えると言っていたのですが、あれは一体誰だったのだろうと、なぜ私と結婚したのだろう、と何度も疑問に思い、問いただしましたが、その度に壊れたロボットのようにフリーズしていました。

おそらく私と結婚した理由は、彼の憧れの英語を私が話せたということ。彼は、英語にかなりの劣等感を持っていて、英語を話す私に憧れていただけだったのでしょう。彼の英語の仕事も私がやらされてましたから、大いに役立ったというわけです。

帰国後、手探りで細々とイラストの仕事をしていると、

「いつになったら働くんだ?」

と言われました。私には愛情があったので、そんなつもりはありませんでしたが、経済的な安定と引き換えに私は自分を大切にする自由を奪われていたのだと思います。

そんなことを自分のパートナーから言われ続けるのですから、どんどん描かなくなっていきました。

家で仕事をしていると、話し相手がモトオだけになってしまっていたので、心の安定を求め、塾で英会話の講師をパートで始めましたが、彼の思っていた収入ではなく微妙だったからか、それについては何も言ってきませんでした。

元夫自体、特性でかなり幼く自分のことしか考えられない人だった為、子供ができると、私は更に大変になっていきました。子供は成長するのに元夫はまったく変わらず、なにも分からないままなのですから。

発達障害のいる家族に「理解してあげて」の声かけは間違い


診断後、よく目にしたり、言われたりした

「発達障害を理解してあげて」

という言葉。正直言葉を失いました。さんざん虐げられてるのに、これ以上何を理解しろと言っているのか、この人には家族の苦しみが分かっていないと思いました。

確かに発達障害の人は自分一人で、なんとか出来ない特性を持っているので、周りが気をつけてあげなければいけないことはよく分かります。

けれど、それまで発達障害を知らずにずっと支えてきたのは家族で、そこに相談に来ているだけで偉いのに、そこで理解してあげてはないのです。

私も医者からこう言われた時は、『その特性のせいで、どんな酷い目にあってきたか、我慢してきたか分かって言ってる!?』と正直腹が立ちました。

支援が必要なのは、当事者だけでなく、それまで支えてきた家族であることを知っていただきたいと思います。因みにモトオは、自分の特性の自覚がなく、全く困っていない人でした。

私が、クリニックに相談に行った目的は『本人に自覚させて欲しい』でしたが、実際、医者から言われたのはこうでした。

「彼は発達障害だけど、双極性障害でもある。 今は、鬱の方をなんとかしたいから、理解してあげて下さい。 とにかく一人になる時間を作ってあげて。 仕事から帰ったら、ゆっくり休ませてあげて下さい。」

そして、医者の言う通り一人になる時間をたくさん作ってあげると、いい気になった彼の独りよがりがエスカレートし、暴走の引き金になりました。鬱の上に発達障害の勘違いや思い込みがある人に医者の間違った太鼓判は危険です。

鬱なのか発達障害なのか、残念ながら正しく診断できる医者は日本にそう多くはいません。大人の発達障害の専門の看板をかかげて手もそうですから、信頼できる医者を探すのは至難の業と思います。

離婚してみて思うこと

結局、離婚したわけですが、離れてみて分かったのは、自分でも気づかないうちに、モトオの不機嫌に怯えていたことでした。

精神的虐待は、暴力よりもずっと長く被害者の心身の健康を脅かします。

先日も養育費が支払日に振り込まれておらず、SMSで数回やり取りしただけで、動悸がし出しました。離婚以来、初めてのやり取りでしたが、相変わらず「口座が凍結された」とか、訳の分からないことを言ってきましたが、それには触れず「振り込んで下さい」とだけ送ると、翌日振り込みがありました。あわよくば、払わなくても良いとでも思ったのでしょうか。相変わらずでした。

離婚して良かったことは、笑顔でいられるようになったこと。家族を大切にしない人と暮らすのは地獄で、そこより酷いところはないと思います。

ムスメも私も驚くほど笑うようになりました。モトオと暮らしていた時は、こんなことがなかったのです。異常でした。

そういえば自分はこういうことが好きだったと思い出したり、好きなことを気兼ねなくできるようになったり、離婚してから自分のことを考えられることが新鮮です。

周りで仕事を頑張ってきた人たちを見たりすると、自分が失った時間に愕然としてしまいますが、モトオと関わっていた時は、健康被害も尋常じゃありませんでしたから、あのまま一緒にいたら、早く死んでいたかもしれないと思うと、離婚できたことは、何より良いことだったと思っています。

いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集