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ウヘウヘ、チュッチュ。
コシタが笑った。
これまで鼻から少量入れていたミルクを、今日から口で飲ませてみることになったらしい。
とはいえ、30mlを1日8回。
超少量。
ここまで入院していて、心配なことが2つあった。
話さなくなっていることと、ミルクの飲み方を覚えているかどうか。
喉に呼吸用の管を入れていたせいもあって、空気が声帯を通っていない時期があった。
つまり声が出ない状態。
今はそれは外れ、呼吸補助で少量酸素が入ってる程度。
もともとコシタはお話好き。
クーイングがかなり多く、ダウン症は言葉が出るのが遅いと言われているが、伝えたいことがたくさんあるということを私たちに教えてくれていた。
(あと、単純に和む)
しかし手術後、泣き声以外の声を発さなくなっていた。
そして、ミルク。
Twitterなどで医療的ケア児を育てている人のつぶやきをみるかぎり、長い期間管で栄養をとって口を使っていないと、ミルクの飲み方を忘れてしまうらしい。
そして彼女は特性上筋肉が弱い。
(低緊張という。)
そもそも産まれたばかりの時は、母乳を飲む力も無かった。
哺乳瓶の口を変えたりしてトレーニングした結果、中々力のある食いしん坊に育ったのだが、2週間の管からのミルク。
筋肉は弱っていないか。
またちゃんと吸い付けるのか、とても心配だった。
そして今日、口からのミルクを再開。
看護師さん的にも心配だったそうだけど、しっかり吸い付いた!
なんかちょっと下手くそになってはいたけど、ちゃんと飲めた。
ホッと一安心。
安心ついでに欲が出る。
笑わないかな。
元々ニッコニコだったのに、手術後は一度も笑顔を見ていない。
まずはこっちが笑ってみる。
ニーン
ニーン……
アハーウヘヘウヘヘ
笑った!
アハーウヘヘウヘヘは私ではない。コシタだ。
私が言ったらさすがに怖い。
コシタが笑ったのだ。
危ない。
泣くかと思った。
私が。
お腹いっぱいではないが、口から飲めて満足だったんだろう。
久々のニッコニコである。
この子は生きる力を持ってるし、喜ぶ力を持っている。
そのことが改めて嬉しい。
改めて、嬉しい。
よし。
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