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「人と違うこと」をどう生み出すのか? 「オリジナル」でいるための工夫とは

「独自の付加価値を生み出すためのマインドセットはこれか!」

今は「個の時代」とよく耳にします。群の中で群れるのではなく、人と違ったことをして付加価値を生む時代であると。そんな時にふと思うのは「個性的でいるとはどういうことだろう?」という疑問です。

そんな疑問にヒントを与えてくれる本に出合いました。「人と違うこと」を生み出すための工夫が満載でした。

自分がどのようにふるまえば付加価値を生んでいけるのか、そのヒントを探ってみたいと思います。

「オリジナル」な人って?

世の中には斬新な発想でイノベーションを起こしていく人がいます。分かりやすいところではスティーブ・ジョブズ。その人柄も個性的で、アウトプットも正に個性の塊。それゆえ、唯一無二の価値を生み、世の中に大きなインパクトを与えてきました。こうした「人と違う」発想や行動ができる人を「オリジナルズ」と語る本と出合いました。「ORIGINALS 誰もが「人と違う」ことができる時代」

約400ページある、かなり読み応えのある一冊ですが、「個性」や「イノベーション」を求められる今、非常に読む価値のある一冊と言えます。

この本のメッセージはズバリこれです。

オリジナルな人は才能に溢れた人ではなく、普通の人。

何とも勇気づけられる内容ですね。読後感としては自分の中に「やるぞ!」というモチベーションが湧き上がってくる感覚すらあります。おすすめです。

この本では「オリジナル」を下記の通り定義づけています。

オリジナル:人と違ったことができる人

このオリジナルな人は一体どういう人なのでしょうか。人と違ったことができる、つまりイノベーティブな人を連想すると、さぞ奇抜な人間だろうと想像しますが、実はそうではなかったというのがこの本の主張です。数々のイノベーションを実現させてきた実在の人達の人柄を探っていくと、その人達は大半が「平凡な人間」だっと言うことが書いてあります。

ここで言う「平凡な人間」とは、リスクを恐れて、行動を起こすときには恐怖と戦う、といった極めて一般的なイメージの人です。著者のアダム・グラント氏は組織心理学に長けた人です。イノベーションを生み出してきた「オリジナルな人たち」がなぜ偉業を成し遂げられたのかをロジカルに解き明かしていくのが本書の魅力です。

オリジナルな人はリスクテイクしない


オリジナルなことを行う人は、起業をしたり、新しいビジネスにガンガン取り組んでいくイメージがありますが、そんなケースでも成功する人は実は新しいチャレンジをする際にはリスクをとらないのだそうです。リスクをとらないとはここでは分かりやすく言うと「会社を辞めない」ということ。

普通に考えると、起業するなら今の会社を辞めて、新規事業に全力投入したほうが良いのではないかと思いがちですが、実はそうしないケースが多いそうです。本書ではリスクをとらずに会社に勤めながらこっそり起業した人の方が、存続する可能性が高いという調査結果が紹介されています。

1994年から2008年の間に起業をした20代〜50代の500人以上のアメリカ人を追跡調査したそうです。この人たちをグループに分けました。

 起業に専念した人:積極的にリスクテイクする人。自信満々。
 現業のまま起業した人:リスクを避ける。自信も高くない。


結果はというと、現業のまま起業した人は、起業に専念した人よりも33%も失敗の確率が低かったそうです。これは読んでいて個人的には意外な結果でした。自信が低く、アイデアの実現性を疑っている人の方が生存率が高いということです。「うまく行くオリジナルな人」はギャンブラーではないということですね。

オリジナルな人は「パイオニア」にならない

オリジナルな人は何でも新しい事にガンガン着手しそうなイメージを持ちがちですが、実はパイオニアいわゆる先駆者になることは少ないそうです。なぜなら、パイオニアになるということは前例がないということであり、非常にリスクが高いからです。ここでもリスクテイクしない傾向が見て取れます。

市場開拓よりも、後発で市場参入する方が先にパイオニアとして切り開いた企業が犯したリスクや失敗を学ぶことができます。そこから、修正をかけてよりうまくいく方法を選択していく。やはり無謀なことはしないということですね。

ただ、先駆者にはならなくても、こうしたオリジナルな人が持っているアイデアは「人と違う」アイデアだったりします。このような「独自のアイデア」はどのように生み出すのでしょうか。

オリジナルなアイデアの生み出し方

本書で「人と違う」独自のアイデアを生み出すための工夫として取り上げているのは「大量に創作する」ということ。「そんなことか」と思ってしまいますが、これは極めて納得できるアプローチです。

アイデアを多く創作すればするほどオリジナルなアイデアが浮かびやすくなって来ます。本書に記載されている以下の文章がココロに刺さります。

「多くの人が斬新なものに到達できないのは、アイデアをちょっとしか出しておらず、その少数のアイデアを完璧に磨き上げることにとらわれているからだ。」

これは耳の痛い人も多いのではないでしょうか。アイデアが出ないのは、そもそもアイデアを出す数が少ないのだと。食品業界ではよく「千3つ(せんみつ)」という言葉を使ったりします。これは「1年間で発売された商品の中で来年も残っているのは千個に3個くらいなもの」という意味です。それだけ多産多死の業界。

無数に発売されては消える今の市場の中で、ロングセラーとして長く愛されていく商品やサービスを生み出すには、並大抵のことではできません。一つの商品やサービスが生まれるまでには、その企画を支える複数のアイデアがあり、それらのアイデアが出て来るまでにその100倍近い数の消えていくアイデアがあります。つまり、アイデアの質を担保するにはアイデアの数が物理的に必要ということですね。

さらに大切な「選定」の視点

本書はさらに一歩踏み込んで、アイデアを出した先のアクションにも言及しています。それはアイデアの「選定」です。無数に出したアイデアの中から「何を選ぶか」が、アイデアを出すことと同じくらい重要と説きます。

ではどう選べばよいのか。その具体的なアドバイスとして「同業者に見てもらう」ということが書かれています。これは意外なアプローチですが、同業者は市場に欠けているものが何なのかを良く知っているので、同業者からのアドバイスは非常に有効と言えます。

そして、選定する人もアイデア出しに参加することが重要だとのこと。選定する人、いわゆる意思決定者がアイデア出しに携わっていない場合は「無難なアイデア」を選択しがちだとのこと。選定する意思決定者もアイデア出しに参画することで、奇抜なアイデアが「奇抜」であると理解でき、さらにそのアイデアが生み出されたプロセスを肌感で理解できているので、「新しいけど有効そうだ」という算段がつくということですね。ここはなるほどという発見がありました。

「結果」よりも「人のらしさ」にウェイトを置く

オリジナルな人は「自分らしさ」を常に考えて行動しています。オリジナルな人は「結果の論理」ではなく「妥当性の論理」を使ってものごとを考えていると言います。

 結果の論理:この状況だと、どうすべきなのか?
 妥当性の論理:自分だったら、何ができるか?

妥当性の論理に立つと、「自分の感覚」を軸に行動することができます。結果の論理にこだわると「べき論」が先に立ってしまい、安全性やルールを守ることを先に優先してしまいます。これは「人と違う」新しいアイデアを消しかねません。

「自分が自分らしくいる」

そのために何ができるのかを考えることがオリジナルな人に一歩近づけるアプローチなのかもしれません。

オリジナルな人の3つの特徴

本書ではオリジナルな価値観を生み出す人に共通する3つの特徴があると言います。

 ①好奇心が強い:何事にも「?」を持つ。問いを考える
 ②まわりに同調しない:「自分」の意見をしっかり持つ
 ③反抗的:ルールに縛られない。体裁よりも効果を優先する


こうした特徴を持っている人は「人と違う」付加価値を生み出しやすいと言われています。これらのポイントを意識して行動することで、誰もがオリジナルな人に近づけるのではないでしょうか。

まとめ

今の時代、どんな仕事でも企画力やアイデアの独創性が求められる時代とも言えます。日々の仕事にやりがいを見出すためにも、「自分のアイデア」を仕事に活かしていくことはとても重要です。

そんな時代ゆえに、クリエイティブに発想し行動できる人材は、どの業界でも求められています。今は「解決策のコモデティ化」が加速している時代。だからこそ「問い」を立てられる人材が求められます。オリジナルな人の傾向の1つ目にある「何事にも「?」を持つ」という素養は、不確実な世の中で新しい価値を生み出していく、必要な「目」だと言えます。

「オリジナリティ」は誰もとっても必要とされる要素ですが、その生み出し方のヒントを与えてくれるのが今回ご紹介した一冊です。仕事でアイデアを求められたり、自分の独自の考えを具現化していきたいと思っている人には必読の一冊かと思います。

そして本書の「オリジナルな人は才能に溢れた人ではなく、普通の人。」というメッセージは大いに勇気づけられます。

この記事を読まれたみなさん一人ひとりが、「独自のアイデア」をアウトプットし、世の中がより良くなって行けたら良いですね。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。


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