成功の真逆にあるものとは？改めて考える「失敗」の意味

「どうしたら成功するんスか？もう失敗ばっかで…」

これは先日、後輩との会話で出てきた話。転職して来て早く実績を上げたいと思っている30代前半の彼は、思うようにいかない日々に悩んでました。

私も同じことを思ったことがあります。誰でも成功したいし、できるなら失敗を避けたいと思っています。

改めて成功と失敗について考えてみます。

「成功」と「失敗」の意味と真意

まずは言葉の意味から。辞書にはこう記されています。

【成功】
計画などがうまくいき目標が達成できたことや、社会的に一定以上の地位を得たことを指す。失敗の対義。

辞書によると「失敗」の対義語とあります。ちなみに失敗の意味はこちら。

【失敗】
物事をやりそこなうこと。方法や目的を誤って良い結果が得られないこと。しくじること。

正に冒頭の彼が重ねているのはこれです。しかし、これらは言葉の意味です。この意味をどう解釈するかが大切だと思います。

私が社会人一年目の時の上司が教えてくれた言葉があります。

上司:今自分が真ん中にいたとしてし、成功が右手の先にあるとする。じゃあ、左手側にあるのは何やと思う？

私:「成功」の逆だから「失敗」ですかね…？

上司:違う。成功の反対にあるのは「何もしない」や。失敗は成功と同じ右手側。失敗の先に成功があるんやで。実は失敗と成功は同じなんや。動かな失敗も成功もない。ぼーっとしてたらアカンで。動いて、はよ失敗しーや。

当時の私は失敗するのを怖がって考えてばかりで、不安だけが膨らんでいる状態でした。「何もしない」のが一番の悪、そして「失敗と成功は実は同じ」というのは当時の私には目から鱗でした。「早く動いて失敗する」これは今でも私の行動指針の一つになっています。

そう考えると、成功の意味に記されている「失敗の対義語」というのは、しっくり来ません。失敗の連続の先にうまくいった状態が成功と考えると、失敗と成功はプロセスのどこを切り取っているかだけの話で、実は同じなのだと思います。

失敗は成功の母という言葉もあります。失敗は成功に必要な「学び」を集めている過程を言っているに過ぎないのではないかと思います。

「チャレンジ」の本当の意味

先日、イチローさんがこんな言葉をテレビで語っていました。

色々チャレンジして失敗すること
それが違うということを
認識することに意味がある
そもそも
失敗というのはチャレンジしなければ
ないわけで、チャレンジしないで失敗せず、
ずっと同じところに居続けるのでは
どこにも行けない
失敗を重ねながら
一見遠回りのように見える道のりが
実は一番の近道

もし、もしですよ
失敗なんかひとつもしなくて
ゴールまで真っ直ぐ行けたと
するじゃないですか
そんなこと有り得ないけども
もしそういうことが可能だったとして
それは人間として深みがないわけですよ

チャレンジは現状と理想のギャップを知るための手段なんですね。そのチャレンジをしなければどこにも行けない。この「どこにも行けない」という言葉は冷静に考えると怖い言葉です。

人間生きている以上は常に成長しているわけです。動いて歩き続けるのだと思います。どこかに向かって進まなければ生きていないとの同じ。「どこにも行けない」は生きながら死んでしまうような怖さを感じます。

そして「遠回りが一番の近道」はイチローさんが語ると本当に意味深く聞こえます。結局、近道などただの妄想で本当はないのかもしれません。

そして遠回りするためにもチャレンジし続ける事が必要ということですね。

まとめ

何事も最短距離には行けないのだと思います。最短距離で行けたとしたら、それは既にやった事あること。もしくは誰かがやった事。初めての事は遠回りするしかありません。

そこには失敗がたくさんありますが、それは必要な事。よく失敗を恐れて誰かの影に隠れたりしがちですが、そうするとその誰かに失敗の経験が溜まってしまいます。大切なのは自分に経験を溜めること。自分が失敗することです。

冒頭の彼との会話。彼は「何もしない」状態から脱して既に成功と同じ右手側にいます。失敗を「学び（経験）」と捉えて進めばきっと成功に近づけます。彼にはそうエールを贈りました。

失敗をたくさん経験して、イチローさんの言う「人間としての深み」というものを得られたらいいですね。

避けて通りがちな「失敗」ですが、ゆっくりでも失敗を重ねながら着実に先に進んでいきたいものです。改めてこの言葉の意味を考えてみてはいかがでしょうか。深みのある人生に近づくヒントが得られるかもしれません。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。