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クリエイティブな脳力を引き出すには? 自分のパフォーマンスを最大限に高める方法とは

「誰しもクリエイティビティを発揮できる。それには脳を上手に使うコツがあるということか」

人はそれなりの年齢になると誰しもが「年をとって、物覚えが悪くなったなぁ」などと漠然とした悩みを持ったりします。他にも「脳のパフォーマンスを上げたい」など、脳に関する衰えや不安を感じるケースは多いです。

特に生産性高く動きたいビジネスマンや、少し年齢が気になりだした人はこうした悩みを感じているかもしれません。

私も脳をいかに使うべきかについては非常に関心があります。特に興味があるのはクリエイティビティ。どうすれば創造的に頭を使えるのか。今回はそんな「脳のパフォーマンス」について考えたいと思います。

脳は使うほどに強くなる

脳は最も謎が多く可能性を秘めた体の器官です。そんな脳に科学のアプローチでパフォーマンスを引き出すためのヒントをもらえる一冊に出会いました。「BRAIN DRIVEN パフォーマンスが高まる脳の状態とは」。はっきり言ってめちゃくちゃおもしろい一冊です。非常に小難しいテーマでありながらやわらかい挿絵を交えてわかり易く解説してくれる名著です。

この本には「脳は使えば使うほど強くなるが、使わなければ、どんどん衰退していく」といったメッセージが込められています。ちょっと恐ろしいですが、要は使えば使うほど良いので勇気をもらえるメッセージでもありますね。

脳の仕組みを知って、脳を味方につけたいと思います。この本は神経科学のアプローチで脳のパフォーマンスを解き明かす内容です。非常にロジカルで論理的な語り口です。ちまたによくあるハウツー本という感じではなく、しっかりと「why」の部分が書かれているので説得力がすごいです。

本書は脳に大きく関係する大テーマ「モチベーション」「ストレス」「クリエイティビティ」の3本の柱で構成されています。今回はその中でもクリエイティビティにまつわるところを見ていきます。

脳科学から見たクリエイティビティとは?

日本語の「クリエイティビティ」は「創造力」「独創力」という意味ですね。新しいものを生み出す力、独自の発想で何かを作り出す力のこと。ユニークな発想ができる能力と、それを形にできる能力の両方を表した言葉です。

ただ、神経科学の分野におけるこの言葉の明確な定義はないとのこと。本書では「新しく価値ある情報(刺激)を発揮する能力」との記載があります。そしてこのクリエイティビティは後天的に身に着けることができるスキルであると本書は言います。

これは、とても勇気づけられる言葉です。その身に着け方はシンプルです。

自分にとって、新しく価値あるものだと思うものを生み出し続けること。

「新しく価値あるもの」と聞くと、「おいおい、そんなものはなかなか生み出せませんよ…」と落胆しそうですが、ご心配なく。この文章をよく読んでいただきたいのですが、「自分にとって」とあります。そう、万人が見て新しく価値あるものではなく、自分にとって新しければよいのです。

自分にとって新しければ、脳の創造プロセスを活用したことになります。この脳の話は常に主人公は自分です。自分の脳が主体です。なので、自分にとって新しければ良いということですね。

しかも、もう一つ安心要素が「新しく価値あるものだと思うもの」。そう、「思うもの」です。事実新しいかどうかはどうでもよく、新しいと思えるものであればOKということですね。これならなんとかなりそうです。脳のこの創造プロセスを活用することこそが、クリエイティビティを身に着けるただ一つの答えであると本書は説きます。

自分にとっては新しい発想でも世の中的にとか、周りの人から見ると新しくない、価値がないと思われることって多々あります。自分に馴染みのない新しいカテゴリーに向き合うときはなおさらです。

自分が子供だった頃を思い出してみてください。自由に発想し、絵を書き、工作しクリエイティビティを発揮していたのではないでしょうか。でもいつの頃からか、周りの目が気になり、批判が怖くなりアウトプットしない大人になっているケースが多いです。

でも、この本に沿って考えるとクリエイティビティと「周りの目」にはなんら関係がないことがわかります。自分にとって新しければOK。そして脳のシステムは非常にシンプルです。冒頭にご紹介したこのシステムが大前提にあります。

「脳は使えば使うほど強くなるが、つかわなければ、どんどん衰退していく」

クリエイティビティを発揮しなければならないポジションにいる、あるいはもっとクリエイティビティを発揮したいと思っているなら、やることは一つです。「自分が新しいと思えるものを創造し続ける」、これに尽きます。

周りの目を気にする必要はありません。実際、このnoteを書いている私も、脳科学の専門家からすると「そんなの当たり前でしょ」と思う内容の記事になっているかもしれません。しかし、そんなことは気にしません。なぜなら私にとって、このnoteは大きな気付きを得られた「新しい発見」を綴っているからです。この時点で私にとってのクリエイティビティは発揮されているということですね。

周りの人から見て「くだらない」と思われることでも、大いに結構です。大切なのは自分にとって(あなたにとって)新しいことかどうかです。

どのように新しいことを生み出すのか?(ぼーっとする価値)

自分にとって新しいことを生み出していくことの大切さがわかったところで、次はどう生み出すのが良いのでしょうか。そのポイントとなるのは「ぼーっとする時間」だといいます。

脳に負荷をかけた後のボーっとする時間が、クリエイティビティを発揮する上で非常に大事です。それはなぜか。クリエイティブな発想は意識しないうちに閃くことが多いためです。これについては以前下記の記事をまとめました。

脳には3つの役割分担があります。改めて整理すると以下です。

1「デフォルトモードネットワーク」(DMN:Default Mode Network)

これは一言で言うと「ぼーっと」としている時の脳です。特定の事柄に意識を集中しない状態。ぼーっとしてても脳は活動しています。なんとなく、何かを考えたり、いろんなことが浮かんでは消えます。それとなく何かを考える。脱力しながら脳が働いている状態。

2「セイリエンスネットワーク」(SN:Salience Network)

このイメージは「ひいたり寄ったり」するイメージ。大局的に物事を考える時の脳の状態です。一つ目のDMNと次に挙げるCENの中間的な役割を果たします。いわば3つの役割のハブとも言えます。大局観で物事を見る脳の状態です。

3「セントラルエグゼクティブネットワーク」(CEN:Central Executive Network)

最後がCEN。これは1つの目標を決めたり、いくつかの選択肢から1つを決定する時に活性化する脳の状態です。論理的に考えて、ジャッジする時に活性化します。問題解決や、総合的に見て打ち手を決める時に活躍します。

アイデアの発想を考えると、このような役割分担です。

DMN:アイデアを100個考える
SN :大局的に見て3個に絞る
CEN:1個に決める

つまりクリエイティブなアイデアを考えるにはDMNが機能しいていることが大切で、それはつまり、ぼーっとしている時が非常に重要ということです。クリエイティブな仕事をされているみなさんにはこの「ぼーっとする時間」を意図的に持つことが大切ですね。

アイデアを考えたい対象について一度思考を巡らせた後は意図的にそこから距離をとって離れることが有効です。

「アイデアは三上」もDMNによるもの

古代の中国では良い考えは「三上で生まれる」と言われていました。この三上とは馬上、枕上、厠上のこと。つまり、馬の上で移動中にふと思いついたり、寝る前だったり、トイレでリラックスしているときなどのこと。

馬上は現代にはありませんので、今の時代では車で移動中、自転車に乗っている時、もしくは歩いている時と言えます。私もよく散歩をしている時に突然アイデアが思いつくことがありますがこれはDMNが有効に働いたことによるものということですね。

この心が彷徨っている状態をマインドワンダリングと呼びます。この状態になるためのキーポイントは単純作業をすること。先に挙げた「三上」は正にこれですね。単純作業をすることで脳に空白の余地をつくり、そこでDMNが自由に彷徨い、機能するように促すのが良いです。

新しいものに触れ続ける

もう一つ、脳のクリエイティビティを発揮する上で大切なこととして「わかりにくい新しさに触れ、反応する」ということが挙げられます。脳にはエラー探知機能が備わっています。エラーとはこれまで持っていた情報とは異なる情報(記憶)という意味。これはつまり自分にとって「新しい情報」となります。

我々はすべての情報に注意を払うことはできません。ある情報を得たときに、過去の記憶をベースに様々な情報を当てはめ高速で処理します。高速で処理するがゆえに「なんとなく知ったつもりになる」傾向があります。これはある意味人間の脳の賢い側面でもあります。一方で、クリエイティブに脳を使う上では邪魔な処理でもあります。

これは放っておくと新しさに気づかないように脳は勝手に処理してしまうということ。意識しないと新しいと感じないということです。結構恐ろしいことでもありますね。だからこそ、「一見してわかりにくい新しさ」に触れ、ちゃんと反応する自分でいることが大切です。

何気ない日々やルーティンの中にも必ず新しい要素は潜んでいます。この変化を能動的に拾い、新しさを見出す訓練をすることがクリエイティビティを高める上で非常に重要ということですね。

まとめ

今回は脳のパフォーマンスについて考えました。脳は神秘的で謎の多い器官ですが、科学的にわかってきていることも多いです。非常に優秀な器官だからこそ、「うまい使い方」を知って、使いこなしたいですね。

よく老化と脳を結びつけて考えるケースを見聞きします。しかし、その不安「脳は使えば使うほど強くなる」という考えに立てば過度に不安になることもありません。

年齢を重ねると「知っていること」が増えます。そうなると、「大抵のことは知っている」と脳がマインドセットしてしまい、新しい情報を受け付けなくなるのではないでしょうか。そして脳を使わない日々を送る。その結果、脳は衰退する。老化と脳はこうした関係にあるように思います。

そう考えると、「老化するから脳が衰える」のではなく、「新しいことに気づかない」こと、「新しいと思えることを生み出していない」ことから衰えるということだと思います。

新しさに気づくこと、そしてDMNを有効に機能させるためにもぼーっとする時間を大切にしていきたいと思います。

今週末は全国的にあいにくの雨模様です。ステイホームで意図的にぼーっとする時間を持って、クリエイティビティを養えると良いですね。

今回ご紹介したブレインドリブンは魅力満載の一冊です。その一部をご紹介したに過ぎません。脳や自分のパフォーマンスにご関心のある方には全力でおすすめしたい一冊です。ご興味のある方はぜひご一読してみてはと思います。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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