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作戦名|オペレーション・カオス

ジョー・バイデンが大復活を遂げた、先週火曜日のスーパーチューズデー。この流れを作り出すきっかけとなったのが、スーパーチューズデーの4日前、サウスカロナイナ州予備選でのバイデンの圧勝でした。

しかし、このサウスカロナイナ州でのバイデン圧勝の裏では、トランプ支持者(共和党支持者)を民主党予備選に紛れ込ませ、バーニー・サンダースに投票する「オペレーション・カオス」という作戦が実行されていました。

サンダースは「急進左派」とアメリカメディアが呼ぶほど、社会主義よりで極端に左に偏っていることは確かなのですが、トランプ陣営はコレに目を付け、サンダースを民主党指名代表にすれば民主党内が分裂し、更には社会主義を嫌う傾向にあるアメリカの有権者に「社会主義者は大統領に相応しくない」を武器に、トランプvs民主党代表の本戦に勝てる、と考えたのです。

この作戦がどれほど成功したのかは不確かなようです。

しかし、サウスカロナイナ州は元々、共和党支持者の方が民主党支持者より投票率が2倍以上高いことが分かっています。つまり「半分の共和党支持者が民主党に投票すること」イコール「民主党支持者の投票」となるので、共和党支持者のたった10%か20%だけがサンダースに投票したと仮定しても、結果の違いは凄まじい…ということが分かっているようです。

スーパーチューズデーで惨敗したサンダースは、「共働きの家族や中間層、それに低所得層の人々が心底望んでいるこの国の変化を、大企業をバックに付けた中道大統領が行えると、本気で信じている人はいるのか?」とスピーチし、勿論サンダース支持者は熱狂的な拍手でサンダースのスピーチを称えました。

私も、大企業をバックに付けた大統領は嫌だな…と思ったのですが、果たしてジョー・バイデンは本当に中道なのしょうか?

確かにバイデンは、サンダースが唱えるほど全てにおいて変化を持たせることは出来ないかもしれません。それに、サンダースと比べると、アメリカの今の状況が求めているよりは控えめだ、とも思います。

サンダースの支持や、政策の軸となっているのは「oligarchy 」「少数独裁」の批判です。サンダースは全体の1%が富を握り、残りの99%は貧困を余儀なくされていることを繰り返し訴え「富裕税導入」を政策の軸にし、貧富の差の拡大問題をアメリカは考えるべきた、と主張しています。

バイデンは今後10年で、3.4兆ドルの増税を提案しているのですが、これは2016年にヒラリー・クリントンが推奨した金額の約2倍です。この提案は、大企業だけでなく、富裕層からも増税しないと達成できない金額です。

その一方で、バイデンの支持に回ったピート・ブーティジェッジの増税案はヒラリーとほぼイコールでしたが、彼がザ・中道と呼ばれたことはありませんでした。

そして、スーパーチューズデーの激戦地の1つ、ミネソタ州での勝利をアシストした、ザ・中道エイミー・クロブシャーは「富裕層の税金を上げ、独占市場を崩壊し、幅広い世代へ向けた医療保険制度の導入、難民受け入れ拡大、違法移民の市民化、そして気候変動への取り組み」などを政策として掲げていました。つまりクロブシャー陣営は、オバマ政権と比べる左派寄りで、どちらかというとサンダース寄りの政策を打ち出していたのです。

ブーティジェッジやクロブシャーがバイデンの支持に回り、中道派の団結と思われたスーパーチューズデーでのバイデン圧勝は、サンダースが左に寄りすぎて負けたのではなく、実は既に左寄りの勝利だったように思います。

サンダースのゴールとバイデンのゴールは、実は1番深いところでは繋がっているのではないか…と。

今週火曜日、3月10日に6州で同日開催される予備選。その中でも特にデレゲーツ数の大きいミシガン州での激戦を前に、選挙レースに参加していた唯一の有色人種女性、カマラ・ハリスがバイデンの支持を表明しました。

バイデンを厳しく非難していたハリスが、バイデンを支持することに反発する人も多いようですが「ハリスを副大統領に!」という声も高まってきています。

そして先日選挙レースをドロップアウトした、エリザベス・ウォレンは「選挙レースに女性差別はありましたか?」と記者に質問され「あったと答えたら、文句ばかりメソメソいっている、といわれるし、無かったと答えたら、あなたどこの星に住んでいるの?といわれる。簡単に答えられる問題じゃない」と答えていて、やる気がありまだまだ若い女性が、政界でリーダーシップを発揮する難しさを感じました。

私は女性は男性社会の中で生き続けているからこそ、自分の生き方を意識的に見つめ直し、時に大胆に舵を切ることも必要なのではないかと思います。大統領選挙という大航海は、時に「女性差別」という女性にとって大荒れの時もありますが、自分でしっかり舵をとっていればきっと乗り切れる。そんな希望と勇気を持って大胆に舵を切ったウォレンやハリス。そして女性の中には、誰にでもウォレンやハリスが見せたような性質があるように思うのです。「カオス」という言葉が象徴するように、混迷を極めてきた大統領選挙ですが、女性が政界でリーダーシップを取る、そんな決定へ向けてアメリカの民主主義が再始動したような気がします。

そしてこの流れの中、サンダースは勢いを取り戻すことができるかが注目されています。



Bibliography:バーニー・サンダースはすでに民主党予備選で勝っていた

Bibliography :オペレーション・カオス:こうして保守派の一部がサウスカロナイナ予備選を妨害した

Bibliography :エリザベス・ウォレン,一度はフロントランナーだった彼女,大統領をドロップアウト

選挙レースにおける女性差別についてのウォレンの発言は、この記事を引用しました。ウォレンは「選挙レースに参加したことは一生涯における、とても光栄なことでした」と語り、ウォレンが誰の支援に回るのかは未定です。










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