口語訳UTAU講座Vol.2~子音速度のお話~

僕が知っていることを話し言葉でまとめてみたよ。なにか力になれると嬉しいな。
※2018年5月時点の情報です。
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今回は子音速度のお話だよ。子音速度と聞くと、真っ先に思い浮かぶのは連続音の下地とかかな。でも、それ以外にも使い道は色々とあるんだ。今日はそんな、一歩踏み出した所まで話してみようと思う。それじゃあ、レッツゴー!

~対象~
今回の対象は「連続音を使い始めた以降の日本語音源のユーザー」だよ。だから歌詞を打ち込むとかのUTAU操作、ustとかの用語、歌詞を連続音にする方法とかの説明は、ある程度割愛する。ごめんね。

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~目次~
1. ●理解:文章に沢山出てくる“子音と母音”って何?どう区別すればいいの?
2. ◆実践:じゃあ子音速度ってなに?どう設定するの?
3. ■発展:子音速度って連続音を使う時に一括で設定するアレだよね、その時の効果もなんとなく分かってる。じゃあ、他の使い方って?

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● 子音と母音について
発音の多くは、子音と母音を組み合わせて作られているんだ。

~子音と母音の区別~
子音と母音はローマ字で区別するよ。言葉をローマ字で書いた時に「a i u e o」になる部分が母音。それ以外は全部子音さ。

例えば「さ│い│た」なら「sa│i│ta」って書くよね。この時のaとiが母音。それ以外のsとtが子音ってこと。

おまけ1
~n(ん・な行)について~
nはぶっちゃけちゃうと子音。でも特徴が似てるから、UTAUでは母音のように扱うことも多いんだ。混乱するときは「母音っぽく扱うn(ん)と、な行の子音として扱うnがあるらしい」って覚えておくといいかも。因みにもう一つの「ン」、口を閉じる「m(ん)」もあるんだけど……それはまた今度。気になったら調べてみてね。

おまけ2
~CVやVCVってなに?~
これは英語が元になった略語。それで子音はC、母音はVって書くことがあるよ。ここから単独音はCV、連続音はVCVって略す時もあるんだ。(他にもCVVCやVCCVみたいに、形式を表す手段として使われているよ)

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◆ 子音速度って?
ざっくり説明すると「子音をどのくらい遅く・速く聴かせるか」って話。

↓例えば「e か」ならこんな感じさ。
遅く:えっくあー(e+kkka)
標準:えーくあー(ee+kka)
速く:えーーかー(eee+ka)
高速:えーーあー(eeee+a)

遅くしても母音aのタイミングは変わらないんだけど、代わりに子音kの割合が多くなるのが分かるかな?その割合が多くなればなるほど、ゆっくりと溜めて歌っているように聞こえるんだ。

逆に速くすると、子音kの割合が少なくなるよね。その割合が少なくなればなるほど素早くサバサバと、最後は母音のみの発音に近くなっていくんだ。

下げたら子音が長くなってねっとりする、上げたら子音が短くなってサバサバする。これが「子音速度を変える」って状態だよ。

◆ 設定方法
色々あるけど、ここでは一番シンプルな方法を書いてみるね。

①まず、ustで変えたい音を選択。
②次に、ctrlキーを押しながらEキーを押す。これで「音のプロパティ」が開くよ。
③音のプロパティには「子音速度(β)」って書かれた枠があると思うんだ。そこに値を書いて設定するよ。
④値を書いたら「OK」を押して保存してね。

値は

0~99:遅くなる
空欄または100:標準
101~200:速くなる

って感じ。201以上も設定できるけど、これはustに保存できないんだ。使う時はラベルとかで「↓ここの音素は速度300だよ!」とメモしておいて、開く度に再設定する必要があるから、注意してね。

◆ 使い方(基本編)
それじゃあ実際に使ってみようか。まず、ust全体の子音速度を決めていこう。

これは実際に聞いてみて、
100でねっとりしている?:101~200
100でサバサバしている?:99~1
って感じかな。

でも値は音源ごとに変わるから、慣れるまで時間がかかると思う。そこでヒントなんだけど……。

例えば、ねっとりしていたら【150(※)】を基準に変えてみて。別の値でもいいけど「こんな雰囲気の音源なら、ここから始めよう」っていう基準を決めておくと、少し楽に決められるんだ。あくまでも僕のやり方だから、参考にするかはお任せするね。因みに僕はちょっと遅い値が好みだから、別の基準を使うことも多いよ。ぜひ自分の好きな基準を見つけてみてね。

※150はあまり使わないけど、個人的によく聞く値だし、失敗が少ないのかも?とか思っているよ。

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■ 使い方(応用編)
さて。ここからは、ちょーっと慣れてきた人向けに書いていくよ。同じ値だと物足りないかもって人は、読んでみると何か見つかるかも?なんてね。

■ 下地(全体の値)
多音階系の音源、または途中で雰囲気が変わる曲。これらはひとつの値だと、合わないことがあるんだ。そんな時は、特徴ごとに値を使い分けてみよう。

例えばキレ音源なら低音と高音。スピードが変わるなら遅い所と速い所。雰囲気が変わるならサビとその他。とかね。聞いた時の印象を合わせるも良し、差を付けるのもよし、もちろん敢えていじらないのもあり。どんな組み合わせが良いんだろうね?色々と試してみよう。

■ 調節(音素ごとの値)
下地が出来たら次は調節。とはいえ基本は同じだよ。この基本をおさらいすると「子音をどのくらい遅く・速く聴かせるか」って話だから……。

↓例「e か」
遅く:えっくあー(e+kkka)
標準:えーくあー(ee+kka)
速く:えーーかー(eee+ka)
高速:えーーあー(eeee+a)

遅く(99~1)すると子音が長くなってねっとりする。速く(101~)すると子音が短くなってサバサバとする。これだけさ。

■ 発音の癖を直す
癖は個性。確かにそうだけど、場合によっては違和感があったり、聞き取りづらい時もある。そういう時だけこっそりと変えてみよう。


・「な」が「ぬわ」に聞こえる。この音は子音をゆっくり発音しているんだね。なら値を上げて速めてみよう。
・「し」が「てぃ」に聞こえる。この音は子音を素早く発音しているんだね。なら値を下げて遅くしてみよう。

こんな感じ。違和感を感じたら「なんで違和感があるのかな?そして、それは下げるもの?上げるもの?」と疑問を持ってみよう。下げるか上げるかについては2択しかないから、間違ったら逆のことをすればオッケー。

■ 発音の癖を生かす
癖は個性。好きな癖を見つけたら、今度はそれを強調してみよう。


・この音は溜めてて好きだな。もう少し溜めたら雰囲気に合うかも?値を下げて遅くしてみよう。
・この音はハキハキとしていいな。もう少し弾くようにしたら、もっと力強く聞こえるかな?値を上げて速めてみよう。

こんな感じ。同じ癖でも、曲によっては強調したり弱めたりするよ。特に破裂音は雰囲気が分かれるかもね。この作業をしていると、本当にUTAU音源は十人十色だなって感じるよ。

■ 歌の癖をつける
発音が聞きやすくなったら視野を広げて、声を歌声として見てみよう。


・「あいて」の「て」は溜めるから下げてみようかな。逆に「あい」は曖昧な音が続くから、どちらかの値を上げて差を付けてみようかな?
・「た」の所は強くなるけど、下げて「つあ」ってした方がいいかな?それとも上げて弾いたようにした方がいいのかな?
・「し」とか「ら」。この音源はゆっくりさせた方が丁寧になるのかな?でも2つ連続するなら、どちらかだけを下げたほうがいいかな。その場合、どちらを下げたらいいんだろう?
・あるリズムの所を全部下げてみようかな?
・ここは発音を分かりやすくしようかな?それともちょっと癖を付けてみようかな?

こんな感じ。時には思い切りが必要で、実は全体が150でも、一部を10にするなんて場面はいっぱある。まあ、クスッと笑える失敗も多い作業だけどね。それだけ楽しいってことなのかな?わかんないや。

■ 発音を作る(応急処置)
唐突だけど「子音速度300なんていつ使うの?」って思わなかった?僕は思った。これは時々しか使わないけど、覚えておくとちょっと便利な値なんだ。


・「- つぇ」の値を上げて「- て」の代わりにしようか?
・「- りゅ」の値を上げて「- る」の代わりにしようか?
・「- くぁ」の値を上げて「- か」の代わりにしようか?

もちろん絶対作れるとは限らないし、他の方法が良い時もある。でも万が一に備えて、手段のひとつとして覚えておいてもいいかもね。

■ 他の項目と組み合わせる
子音速度を書く「音のプロパティ」には、色々な項目があるよ。これと組み合わせると、もっと特徴的になるんだ。


・「先行発声」をいじって、なんちゃってVCをつくろうかな。次に来る発音の子音速度は……。
・「オーバーラップ」や「STP(+先行発声)」をいじって破裂音をクッキリさせようかな。子音速度を使えばさらに……?
・「STP(+先行発声)」をいじって、柔らかい発音にしようかな。子音速度を使えばさらに……?

こんな感じ。

■ タイミングを変える(母音省略)
連続音の母音省略と一緒に使う方法について。

例えばアップテンポで
「- あ│a い│i す」を「- あ│i す」
と繋げることはないかな。場合によるけど、滑らかに聞こえることもあって僕はよく使うんだ。この時「a い」の長さは全部「- あ」に統合したから、「- あ」と「i す」の位置は変わらない。タイミングも変わらない。でも「a い」のタイミングは変わる。ちょっと速くなったり、遅くなったりする。

そんな時は(微調整で済む程度なら)子音速度で直せることがあるよ。元々「a い」の先頭だった所に「i す」「i s」が来るように子音速度を変えてみよう。これでちょっと気軽に母音省略を使うことができるよ。

■ 録音の参考にする(自音源向け)
んー……それにしても同じ作業が続くと思わない?同じキャラクターで、毎回同じ発音の子音速度をいじってる。それが自音源なら、ちょっと調声後の雰囲気を真似て録音するのもアリかもね。いつも下げているなら溜めて、上げているなら素早く。子音速度の値には限度があるから、元々溜めている声なら、もっと溜めて歌わせることができるよ。逆もしかり。因みに僕はサ行の子音が短いって癖が分かったから、子音を長く発音したらだいぶ作業が減ったんだ。こんなこともあるみたい。

■ 単独音やCVVCへ
最後。連続音で覚えたことを、単独音やCVVCでも生かしてみよう。でも特に単独音は子音が短いことが多いから、効果はちょっと分かりづらいかも……?CVVCは子音速度を変えるほか、ustにVCを書くタイプなら、直接VCの長さを変えると、子音速度を変えたのと似た状態になるんだ。「どうして変えるのか?」については、どちらも連続音と同じ。良かったら使ってみてね。

■ まとめ
ここまで読んでくれてありがとう。結論は、音素やタイミングで合う子音速度は違うんだよってこと。ただ「この音源の、な行は癖が全部似てるかも?」ってことは多々あるから、そこも含めて使いこなせるようになれると楽しいかも。以上!どうだったかな。好きなあの子を、もっともっと楽しく歌わせられるお手伝いが出来たなら嬉しい。それじゃあここで僕はおいとまするね。それでは、良きUTAUライフを!

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