口語訳UTAU講座Vol.5~ピッチ線を弄り過ぎて逆に変?~
「ピッチ調声を頑張れば頑張るほど不安定」で泣く泣く没……!これは個人的に中級者あるあるかなあと思っています。そんな時の参考になれば幸いです。長いので、お急ぎの方は最後の「まとめ」をどうぞ。
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■=兄(レノン)
□=僕(ティオ)
■ティオ、調声してみたんだけどちょっと聞いてくれないか。どう思う?
□どうって、そうだね。いっぱい弄っててるから聴くの楽しいけど、不安定というか、ちょっと音痴……?ああ分かった、これを直したいの?
■そう!「ピッチ調声を頑張れば頑張るほど不安定」なんだよ。
□なるほどね、じゃあ今日はそれを解決していこうか。
■よーし、どこから直したらいい?
□ポイントは全部で8つ。まずは簡単なところから見てみよう。
1.「モジュレーションは0になってるかな?」
■なってる。いつもは数字入れるんだけど今回は流石にな。
□おっけい、じゃあ次。
2.「ピッチ線の音程に注目。元の音程から極端に離れているピッチ線はあるかな?あったら、メロディーに使われている音程を参考にしてみて」
■ん、どういうこと?
□その音素の音程はどこ?
■C4(ド)だな。ここのピッチの一部が上がっていて、F4(ファ)まで描いてある。
□じゃあ、F4(ファ)に一番近い音で、元のメロディーに使われている音程はどこ?
■F4#(ファ#)とG3(ミ)。
□じゃあ元の音程から離れているピッチ線を、F4#(ファ#)かG3(ミ)に描いてみて。これで不協和音は減ると思うよ。
■なるほどね。よし、直した。
□次いこうか。ああそれって確かクロスフェードさせて使う音源だよね。なら……。
3.「一度鳴らしてから、右上の“OPT”ってボタンを押してみよう。これはクロスフェードを最適化するって言うよ」
■どれどれ……あ、“適用範囲のキャッシュを削除しますか?”だって。消して大丈夫?
□うん、大丈夫。終わったらまた再生して、もう一度最適化して。“キャッシュがありません”って出たら、終わり。
■お、なんか滑らかになった気がする!
□でしょ?
■でもこれすげー時間かかるな。なんだかタイミングもズレてくし……。
□あっ……。そんなときには“wavetool4vcv”、これは自動でエンベロープの最適化をしてくれるものだよ!
■そ れ を 先 に 言 え !!!!
□ごめんごめん、ど忘れしてて。使い方はえっと、こちらからダウンロードしたら、中に“wavtool4vcv.exe”が入っているのが分かるかな。
https://twitter.com/namiyome/status/539772925293785088?s=19
■おうよ。これを使うんだな?
□そう。それを音源選択画面の……これ、下の方に、“ツール1”って書いてあるでしょ?ここでwavtool4vcv.exeを選択してみて。後はOKを押して、いつも通りに再生すれば使えるよ。
■なるほど。にしてもぷろぐらまあってすげぇな……。ちなみに、このwavtool4vcvはどこに入れておくといいんだ?
□うーん、人それぞれじゃないかな。僕はUTAUの中にフォルダーを作って、そこにまとめてるよ。じゃあ、次いくね。
4.「ピッチ線の長さに注目。半分以上の長さが、正しい音程の真ん中よりズレてる所はないかな?再調声した時、微妙にずれてることがあるよ」
もちろんワザと音程に沿わせないことも多いけど、違和感になる時は直した方がいいかも。
■真ん中……?ああこれ、確かに同じ音程だけど、線が枠の下側にきてる。
□それが他の音程に近いと、音痴に聞こえる原因になるから気をつけてね。直すのが難しい時、もしresamplerエンジンならtフラグを使ってもいいかも。
■tフラグ?
□tフラグはひとつの音程を20に分けて、移動させるフラグだよ。t+10だと枠の上側に、t-10だと枠の下側に来るんだ。
■なるほど、なら微調整はそっちがいいかもな。よし、次。
□いいよ、次ね。
5.「休符の前にある、短い音に付いたビブラートに注目。周期……ええと波の一番上か下の時に音が終わっていると、音を外すことがあるよ」
■あ、分かってきた!理由はさっきと同じだな?ビブラート設定で付けるビブラートは「音程」だから、それが別の音程に近いと……。
□そのとおり!
■よし、段々と直ってきたぞ。
□これで音程は良くなってきたと思うけど、どう?
■うーん……。音程は合ってるんだけど、なあなあっていうか。調声頑張ったのに、頑張ってないように聞こえる。
□なるほど、じゃあ最後に調声そのものを見直そうか。
■やっぱり駄目か……これ頑張ったんだけどな……。
□大丈夫、全部没にはならないよ。というか、僕もよくここでつまづくんだ。それの原因はね「ぜんぶ均等に頑張っていること」が多い。だから……。
6.「調声にメリハリを付けるために、“頑張るところ”と“頑張らないところ”を作ろう」
■は……頑張らなくていいの?
□場合によるよ。例えば兄さんは今、すべてを「6」の力で頑張ってる。だから時々「7」くらいが来ても、聴いてる人は「6」で慣れてるからピンと来ない。
だから普段は……そうだな、極端な例だけど「2~4」くらい、まあ、それこそベタ打ちやしゃくりだけの時もあるよ。そんな中にアクセントとして「7」や「10」が来たら、どう?
■「6」のときより慣れてないから、数が大きく聞こえるな。
□そう。他と比べられるから、僅かなこだわりも「調声した」ように聞こえるってこと。つまり全部を同じだけ頑張るんじゃなくて「頑張らないところは頑張らない」「その代わり、利かせたい調声は狙っていーーっぱい頑張る」。そんな風に差を付けてみたらどうかな?あくまで僕の感想だけどね。ちなみにこの考えは、フラグや強弱音源を使う時も使えるよ。
■なるほど。……待てよ、そしたらだいぶ調声時間も減る?
□かもね。そうやって頑張る所に慣れてきたら、今度は頑張らないところのレベル・下地から底上げてしていくといいと思う。調声はしているけど、あまり目立たないような工夫。時間をかけないで量産する方法。より他を際立たせる小技。こっそりとこだわる調声も、たまには必要だよ。それが「なんとなく良い」に繋がるから。……話がそれちゃったね。あとは、そうだな。
7.「リズムや歌い出しを意識してみる」
とか。
■ええ、リズム?俺リズム感ないぜ……。
□んーとじゃあ、この曲を辛くない程度に頷きながら歌ってみて?手拍子と一緒に。で、顔を下げる瞬間に来る歌詞のしゃくりを大きくするとか、何か同じ調声を加えるとか。他に、オケのドラムを参考にするのもいいかもね。僕が思い付くのはこのくらいかな。
さて。ここで兄さんに最後の、そして一番大事な質問をします。
8.「この調声で好きなところ、上手くいったと思う部分を教えて?」
■え?…………っおーし任せろそれならいくらでも語れるぜ!こことここと、あとここも頑張った、一番時間かかってるよここ!
□うんうん。じゃあそこを主役として引き立たせるように、脇役、つまり頑張らないところを作っていこう。段々盛り上げるとか、一気にぎゅいんと動くとか。どんなのがいいだろうね?
■なるほどね、確かにそう考えてみるとワクワクするな。よし、もっかいやってみる。ありがとう!!!
□どういたしまして……ってもう居ないか、速いなあ。しかし僕も勉強になったね。最後に、要点だけ振り返ってみよう。
まとめ
1.「モジュレーションは0になってるかな?」
2.「ピッチ線の音程に注目。元の音程から極端に離れているピッチ線はあるかな?あったら、メロディーに使われている音程を参考にしてみて」
3.「一度鳴らしてから、右上の“OPT”ってボタンを押してみよう。これはクロスフェードを最適化するって言うよ。あと自動で最適化してくれる“wavtool4vcv”ってものもあるよ」
4.「ピッチ線の長さに注目。半分以上の長さが、正しい音程の真ん中よりズレてる所はないかな?再調声した時、微妙にずれてることがあるよ」
もちろんワザと音程に沿わせないことも多いけど、違和感になる時は直した方がいいかも。
5.「休符の前にある、短い音に付いたビブラートに注目。周期……ええと波の一番上か下の時に音が終わっていると、音を外すことがあるよ」
6.「調声にメリハリを付けるために、“頑張るところ”と“頑張らないところ”を作ろう」
7.「リズムや歌い出しを意識してみる」
だけど、一番大事なのは楽しいって気持ちだよ。
8.「この調声で好きなところ、上手くいったと思う部分を教えて?そこを主役として引き立たせるように、脇役、つまり頑張らないところを作っていこう」
ふふ、なんだか僕も続きがやりたくなってきたな。ココアを飲んで一服したら、また楽しんでみようか。
ps:さて、今回は主役と脇役のお話をしたね。手抜き云々というよりは、調声の度合いに差を付けようって話なんだ。主役と脇役を見分ける練習、主役の練習には、キレ音源が似合いそうな勢いある曲がおすすめだよ。逆に脇役の練習には、ゆったりした曲を選ぶのがおすすめ。ほら、演劇の脇役にも色々な役割、準主役やチョイ役とかが居るでしょ?良かったら試してみてね。