いのちのものがたり外伝 老師編15
辺りが夕闇に包まれるころ、私たちは港についた。
「まるで一瞬が永遠の様ですね」
そう話す弟子の横顔は、別れを惜しむでも無く
何かが始まる前のような、静かな闘志を感じた。
始まりと終わりはいつも一緒だ。
「案内をありがとう、あなたはずっとこの場所にいるの?」
「いいえ、どこにでも行きますよ」
「では、私と共にしばし当てのない旅に行きましょう」
弟子は一瞬息を止め、大きく息を吐き出しながら言った。
「夢の様な提案ですね、いつ思い付いたのですか」
「今よ」私は躊躇なく答えた。
「やっぱり、では行きましょう」そう言って彼はとても無邪気に笑った。