いのちのものがたり外伝 老師編4
「そんなに警戒することはない。あなたに危害を加えられるほどの力は、わしにはない。あるのは夢見の力くらいだ。」
「夢見?」
「ある時、夢にあなたが現れてな、叡智を授けている夢だ。わしの夢は全て本当になる。それがわしの力だ」
「それで私に使いを」
老師は静かに頷いた。
「あなたの器は広い」
「それだけか・・・」私は思わず呟いた。
「ははは、わしには夢見の力しかないのだよ、その夢にあなたが現れた。それだけのことだ。さあ、ひとまず暖を取ろう」
そう言って老師は、私を小さな洞窟へ案内した。
そこは暖炉と腰掛け、茶器などがある原始的な祠の様だった。