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【妊夫日記1129】子どもにしか合わせられぬ辻褄

手袋が必要なほどに、急に季節が進んだ。けれどもまだ、庭の飯桐や鬼胡桃の木の葉は落ちていない。体感と風景がちぐはぐである。
昨夜は帰宅すると、みんなで『かいじゅうたちのいるところ』の映画を観ていた。10年ほど前に放映されたもので、原作絵本の世界観はそのままに、子どもが意図せず力任せにやり過ぎてしまった時の急な不安感などがとてもよく描けているなという印象が残っていた。
しかし、子どもが出来てから改めて見ると、なんだか怪獣たちとゆうのは、不条理を抱えて意識的にそれを抑え込みながら同時に歪み破綻しながらも生きている大人そのもののような気がしてきた。子どものマックスの方が辻褄が合っているのだ。
ラストシーンで、「食べちゃいたいほど、好き。行かないで」と言いながら、一緒にいられないことはもう怪獣もマックスも解っている。そうゆうことはよくあることだと、もう知ってるし、よくあった。

画面の向こうの感情に影響を受けにくくなった僕の前で、けっけは涙を流して別れと、マックスの帰還を見守っていた。
もう僕は、明らかにかいじゅうなのだよ。

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