【妊夫日記0319】没頭することでしか見られない世界にあるもの
ここにきてまた逆子である。そして逆子であることで、僕はこの妊娠期間で一番カミさんの腹を撫でて、羊水に漂う子の姿に触れている。もうはっきりとわかる頭のかたさや、蹴り返してくる足の裏と対話する。
最近になってラコはほんとうに「訳がわかって」きている様子があって、ある程度ひとり立ちすると次の子が生まれてくるというウチのペースみたいなものは一定である。そして一対一だと本当に穏やかなのだが、兄貴二人が一緒になると本当に豪腕だ。理性と競争心が同居している。
兄貴二人はカミさんの昔やってたポケモンルビーを手にしてからポケモン狂いが続いていて、進化系や属性や固有名詞を連呼するもんだからぼくの方は飽き飽きしてきた。そこでセールになっていた『二ノ国』を「新しい冒険を進呈しよう」と言ってダウンロードしてやったらまんまとはまったらしい。まぁそれでもポケモン連呼はかわらずあるが。
RPGは物語を進めるのにとにかく読解力が必要である。出てくるコメントの流しかたを見てると、思いの外早くて、それ読んでんのか?と聞くと、うん読んでると応える。ゼルダを一緒にやってる時には度々音読してやっていたが、一年でずいぶん変わるものだ。
その横でペイペイは、友達の持ってきていたアーケードゲーム系の『釣りスピリッツ』で懸命に腕を振っており、その顔付きが明らかな狂人で、なるほどこうやって課金ゲームは稼ぐのかと思った。いやはや、小学生当時に我が母上が僕のゲーム顔を見て自宅にゲーム機を買わないと決めた理由には共感を催すよ。
ところで、ヤマハ音楽教室の宣伝記事に「幼児期に音感が育つと、その後の人生で音楽を楽しめるようになる」というものがあった。没頭したり陶酔したり、感受性にあたるアンテナが育たないと楽しむ素地がないとゆうのはどれも同じ。松兄はもう今年八歳になる。彼の感受性を十二分に育てられただろうかと、余裕なく神経質になっていた期間を思い出しながら自身の未熟を省みるのは、親の業とゆうやつだろうか。
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