【妊夫日記1101】変わらぬ感触と、巡り続ける季節と、
心なしか膨らんできたお腹をさする。5センチほどになっているとゆうことは、子宮は12センチくらいになるだろうかしら。男爵芋くらいかな。出掛けにカミさんに対面して、さすりさすりとしたら、「懐かしい、ヨコハマ住んでた時によくしてたね」と言われた。結婚したばかりの頃、僕らは横浜の井土ヶ谷に住んでいた。谷と付くだけあって、入り組んだ急坂が多い土地で、僕らはそのちょっとした丘の上にある古い平屋を借りて住んでいた。小さな庭には立派な夏みかんと梅の木があり、灰色の大きなリスが時たま遊びに顔を出すような不思議な場所だった。長男けっけの妊娠がわかったのは、そこに越してふた月ほどの頃だったから、横浜と妊娠生活の思い出は切り離せない。喜びと緊張と、だんだん大きくなっていくお腹。当時はまだまだ妊娠していることに対しての理解も浅くて、カミさんの不安を汲み取ることも、全然出来てなかったよなと思い出す。夫婦一年生、妊婦一年生、妊夫一年生、とみんな初めてだらけだったから、上手く出来ないのなんて当たり前なんだけどね。初めての環境、初めての状況にはたじろぐけど、らこ出産の時に感じられたように、子どもが産まれた喜びは、春の花が咲くように、季節の巡りのように当たり前の喜びなのだ。その巡りのなかで、何を感じ、どう過ごすか。
男爵芋大だったけっけも、体重20キロの少年になった。今朝は寝坊して寝室にひとり残され、目覚めてそれに気がついて悲しくなったらしい。僕が髭を剃って髪を整えているところにやってきて、自分も櫛で乾いてはねている寝癖を撫で付けているので、霧吹きで湿らして直してやった。分け目をつけたら、先日の裂傷の傷痕を見せる感じになってしまったが、額に傷痕なんてハリーポッターと同じじゃんね、とごまかした。
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