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<10周年記念企画>伝統を受け継ぐ次世代たちへ

「伝統を受け継ぐ次世代たちへ」は、宵に光を燈す大須演芸場にて西川流家元の西川千雅さんの司会で和やかに幕を開けました。

伝統芸能や工芸を継ぐ家に生まれた若き継承者達から日本舞踏工藤流の工藤彩夏さん、名古屋の楽家である八事窯の中村崇壱さん、狂言共同社 井上松次郎さんの長男 井上蒼大さんを、そして永らく続く名古屋花柳界へ外の世界から飛込んだ芸姑からは、名妓連の早紀さん、真ことさん、菜摘さんをお迎えし、肩肘張らないファシリテーション形式で自由な発言が飛び交います。

お互いの違いとして「家元の子は挫折しても逃げられなくて大変だと思う」と芸姑さんから意見が出ると「あなた方のように新しい世界に飛び込むのは、自分が家業から飛び出すのと同じくらい勇気がいることだと思う」と家元側が答え、立場は違っても互いに敬意を持ち語り合う担い手達に客席も温かい眼差しを向けます。他にも苦労話や共通点など、西川さんが笑いを交えて上手く緊張をほぐしながら会話を導きます。

そして話題は更に深く、未来に向けて次代へ繋ぐために必要な事へと進みます。時代の流れで活躍の場が減ってしまった今、伝統を守りつつ若者に伝わりやすい新作をつくったり、売る相手先の再考や少人数でのゲリラライブ、芸姑の華やかな装いでSNS映えを狙うなど、其々の視点での意見が交換されました。
西川さんは「宝」は「他(た)から」やってくる。別ジャンルの人と仕事をして関われば、お互い色々な発見や得るものがあり、それが新しい仕事にも繋がっていくと語ります。
今日のこの機会も、若き担い手達の宝となり互いに得るものがあって、それが未来へと繋がっていけば良いですね。

最後は名妓連から、たおやかな舞とお座敷芸「金の鯱」が披露され、客席から万雷の拍手が贈られました。
担い手達からは、年相応の素直さも、厳しい現実に向き合う力強さも感じました。

名古屋の芸事の未来に期待しながら、お客様方も笑顔で会場を後にされました。

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レポート:近藤加奈子 写真:海野峰路

■レポートしたプログラム

■まちなか寺子屋

■やっとかめ文化祭

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