星になるな、丸くなれ
「丸くなるな、星になれ」
これはサッポロビールの有名なキャッチコピーだ。
多様性が重視される時代、どれだけ自分らしくなれるかで評価される時代。
「自分らしさ」は、社会に自分という商品を見つけてもらう上で大きなベンチマークとなる。
しかしそんな時代の流れに逆行するかのように、私は丸くなりたいと思っている。
小さい頃は自分の意見に絶対の自信があった。
星であることを誇りに思っていたし、なんなら燦然と輝いているとまで思っていた(笑)。
生徒会長を二度経験し、私の価値観は自信で塗り固められていた。
だがある時、星という形は人に刺さることに気付いた。
鋭利な意見は他人の価値観に深く刺さり、時には抜けないこともある。
これに気付いた時、私は途端に恐怖心を抱き始めた。
私の価値観が無意識に人を刺している。
その可能性を自覚し始めてからは、とにかく丸くありたいと思うようになった。
棘なく、調和できるように。
人の意見を否定することが減ったし、同時に自分の意見を主張することもなくなった。
丸くなった私は、途端に社会のレールを転がれるようになった。
世渡りの仕方を少し理解したし、対人関係も良化したのかもしれない。
だが、輝きは減った。
アイデンティティは消え去り、残されたのは形骸化された意見で塗り固められた自分だけ。
社会が求めているのはどちらの私なのか。輝きを失った自分を、社会は見つけてくれるのだろうか。
もし違ったらどうしよう
誰か答えを教えて欲しい。と切に願う日々である。