勇者と姫が3話デスノート66
新世界では勇者から行者になるのですね。姫は姫ではなく同じ行者になって伴走すると、、、。
戦いではなく、優しさを与え合う世界。
優しさレベル0ですが、、、。
ーレベル0なら小さな歩みで少しずついけばいい。
戦いそうになったら、グッと堪える。その堪えたときに消耗したのなら、愛情を持って補充すればいい。
敵は?
ー敵ではない。敵はいない。絶対に戦ってはいけない。
評価してはいけない。敵ではないのだから。与える。与え続ける。
与えることができないほどに消耗したら、離れて自分を満たす。
敵に見えることがあったら?武器を持っているかもしれないし。
ー武器ではなくて、フェイクのお菓子。
敵ではない。武器でもない。もし切り付けられたら、切られればいい。きっと、それば傷ではなくてお菓子だから、美味しいだけ。痛かったら、いたーいと泣けばいい。必ず治るから。
誰もいなくて寂しかったら?
ー私とあなたがいる。死に向かって自分のコンパスで歩く。それに他の仲間がどこに向かうかは重要ではない。自分のデスロードを歩くだけ。寂しいことはない。
安全基地はどこ?
ーそもそも、世界のどこもが安全。デスロードで歩き疲れたら、どこでも休んで自分を満たせばいい。消耗することは誰にでもある。それは敵のせいでも、道のせいでもない。ごく自然のこと。暑い日も寒い日も何でもない日もあるし、消耗する時も元気な時もある。
道に石ころが落ちていたり、虫の死骸を踏んでしまうこともある。ただそれだけのこと。石ころは避ければいい。躓いて転んだら起き上がればいい。怪我をしたり汚れたら綺麗にして治せばいい。それだけ、デスロードを歩くことには変わらないし、周りにお水を与えながら歩いていればお花畑になるでしょう。
行者になってもいいのかも。
姫と新世界に行ってもいいのかも。
ーありがとう。
私たちが与えた水が花を咲かせるか、草が元気になるのか、はたまた虫への露になるのかは分からない。私のデスロードがどんなものなのか分からない。ただ、ここは安全で敵はいない。人はみんな仲間で、何かしらの善意がある。決して戦わず、決して評価しない。与える。それが新世界。
元勇者も元姫もお互いに何者でもなくなる。それでいいのですか?
成功はなく、幸福という目に見えないものを得られるわけでもなく。たが、自分の感性をコンパスにするだけの生活。それに踏み出せますか?
姫がそう決めたなら、勇者は姫の決断に従うしかありません。
納得はしました。ただ、元戦士なので、戦いたくなるかもしれません。
そして姫に迷惑をかけてしまうのではないか、それが不安です。
ー今まで守ってくれていったのだから、優秀な戦士だったからこその悩みです。不安です。分かります。その時は、今度は私が一緒にいます。戦わず我慢するときに、不安になるでしょう。ヤラれる!と心配でしょう。疑心暗鬼にもなるでしょう。今までの癖で、他人を見れば敵に見えてしまうでしょう。野獣を見たら戦いたくなるでしょう。もう、あなたには武器はありません。体も武器にはなりません。
どうか戦わないで辛抱してください。どうか、敵ではない、大丈夫大丈夫と信じてください。
あなたはもう勇者ではありません。
武器もない、戦わない。自分の感性というコンパスと人に与えるジョウロだけを持っている行者です。