つづき

長い物語には終わりが来る。
何十年も生きて、大層なことを成し遂げた人の生も、なんでもない普通のおっさんの生も、等しくあっけなく終わってしまう。

人がそれを受け入れるのには時間がかかりそうだ。
どんなものでも、終わってしまうとみんなアレコレ言いたがる。
解散してしまうアイドル、打ち切りになってしまう漫画、完結する超大作。
あの結末でよかったといわれるまでに、きまって人々は理想の終わり方や、その続きを想像しては、そんなものに意味がないんだとだんだん思い知っていく。


いつしか自分は終わることばっかり考えるようになった。
大学はやめてしまえばいいし、年金は貰えないなら早死すればいいとか、そんなことばかり。
同時に終わることへの恐怖も増した。
もう青春時代は終わったこと、仲良かった友達とも疎遠になること、両親や家族がいつまでも元気でいるわけじゃないこと。

幼い頃叶うと思いこんでいた夢が、どうせ叶わないんだと諦めてしまう日が来ること。

漫画や映画と違って、現実はどこまでも無粋で、呆れるほどつまらなくて、平凡だけれど、怖いことや悲しいことは、映画や漫画のように過酷だ。

僕らの好きなものがどんどん終わってしまって、
だんだん空っぽになっていくのだとしたら、それもたまらなく恐ろしいことだ。
きっと、新しいものを次第に好きになっていくんだろうけど、それは置き換わるでも塗りつぶすでもなく新たに加わるだけだ。

何かが終わって、何かが無くなったとして、本当はこうが良かったとか、ここが狂わしいほど好きだったとか、
そういうことを誰かと話す時に、その空白は少し色づく気がする。

そうやってつづきを描いていければいいのかも。

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つづき the Quartz

なぁ昨日の晩読んだ漫画が なにもかも全部良くてさ
本当のことだけ詰まってるような感じだったんだ
嘘ばっかつかなきゃいけないならって、はみ出した道で
本音か冗談かもわからんようなことばっか言ってる

去年の秋に観た映画が 何もかも全部良くてさ
あれを超えるようなもんには もう出会えないかもな
それか多分、出会いたくないんだ
特別じゃなくなっちゃうからね
大切なものなんて幾つあったっていいはずなのにね

果てしないように思えた 知らない世界のことも
この背が高くなると 見渡せてしまった
どんな偉大な冒険も 革命の起こった朝も
そこに居たらきっと それも夢じゃなくなってしまうね
多分 夢の向こうには 何もないんだ

なぁ昨日のライブの後 みんな タバコふかすのに夢中でさ
バンドマンはそうじゃなきゃダメだってルールでもあんのかよ
帰り道マスクに染み付いた 煙の匂いが喧しい
俺は お前らみんなが嫌いだよ 長生きしろよ

なぁ 昨日の晩にできた歌が 何もかも全部良くてさ
君に聞かせたくなったんだ なんて言ってみたいよな
壮大で偉大な冒険も 世界を救った過去も
偉そうに話すシーンで終わる ハッピーエンドがいい

果てしないように思えた知らない物語も
この足が速くなると おしまいに近づいていく
無惨な結末も 失ってしまったものも
受け入れてしまいたくないよ

ぼくらの現実は 無粋でつまらないけど
悲しい時は 一丁前に悲しいんだよな
どんな偉大な挑戦も 死なない程度に終わらせてさ
飲んで話そうぜ あの後どうなったかな?
そこに 夢の続きがあると思うんだ

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