サブスクリプションの解約率をXmRチャート分析してみた
Xのタイムラインに下のYouTube動画が流れてきて、偶然XmRチャートというものを知る機会がありました。XmRチャートについて詳しい話は動画を見ていただきたいですが、簡潔にいうと、プロセスの変動を監視し、異常な変動を特定するために使用される統計的プロセス管理ツールです。「ノイズ(一般要因)に惑わされずシグナル(特殊要因)を検知することができる」点において優れている分析手法のようです。
動画でも述べられていますが、データドリブンを謳いながらたくさんチャートを作って分析しようと意気込んではみたものの、日々チャートを眺めるだけになってしまっている人は少なくないのではないでしょうか。
かくいう私もそうで、Google Analyticsで収集したデータをLooker Studioでチャートにして、ドヤ顔で「ふむふむ」とチャートを眺めるのが日々のルーティンになってしまっていたのですが、せっかくXmRチャートの存在を知ったので善は急げそいうことで、携わっているアプリのサブスクリプションの解約率のデータを用いて、実際にXmRチャートを作成してみました。今回はGoogle Sheetを用いた作成方法をご紹介するのでぜひ参考にしてみてください。
データの用意
まずは分析したいデータを用意します。以下サンプルです。
XmRチャートの作成
Google SheetでXmRチャートを作成します。Google Sheetで利用できるチャート種類にはXmRチャートはありませんので、以下の手順で自前で作成します。
データのインポート
移動範囲(MR)の計算
平均の計算
管理限界線の計算
グラフの作成
1. データのインポート
用意したデータをGoogle Sheetにインポートします。この辺りは特に説明も不要かと思いますので割愛します。この記事では前項で添付していたCSVファイルを前提として説明を続けます。
2. 移動範囲(MR)の計算
D列に解約率(X)のデータがありますので、E列にMRを作成します。E2は0になりますが、E3から下記の式でMRを計算してプロットします。
3. 平均の計算
次にXの平均をF列、MRの平均をG列にて計算します。平均は1箇所計算すれば十分なのですが、Xの平均は、Google Sheetでのチャート作成の都合上F列全てに同じ式を入れて計算します。F2に以下の式を入れF列全てにコピーします。
MRの平均はG2に計算して入れます。こちらは1箇所でOKです。
4. 管理限界線の計算
次は管理限界線です。上限(UCL)と下限(LCL)、さらにそれぞれの半分の値(ここではUCL/2とLCL/2と記載します)を計算します。これらも本来は1箇所で計算すれば十分ですが、Xの平均と同様、Google Sheetのチャート作成の都合上HIJK列全体に同じ値をプロットします。
UCL(H列)
UCL/2(I列)
LCL(J列)
LCL/2(K列)
5. グラフの作成
全てのデータの準備が整いました。あとはグラフを作成するだけです。
D列、F列、HIJK列を全て選択(Ctrl+列クリック)
メニューから「挿入」 > 「チャート」を選択
チャートの種類を「折れ線グラフ」に設定
カスタマイズタブで系列ごとに色を変えたり(任意)
以上です。
サンプルデータで作成したグラフは下のようになりました。
2023-07にLCLギリギリだったことが分かり、ここから2023-07に何か特殊要因となりえる変更があったことが伺えます。また、それ以外ではシグナルになるような特殊要因がないことも分かりました。
ご参考までに下記URLからデータテーブルとXmRチャートをご覧いただけます。
https://docs.google.com/spreadsheets/d/1JHfhlmsEJoQNDY5Dy76wWA7nzxGjjBnX7KnjlQawh0g/preview