開園までのお話ーその4ー「71歳でクラウドファンディングに挑戦することに」
理想の園舎が見つかり、共に働いてくれる仲間たちとも出会い、残る課題はただ1つ。
資金の問題です。
2022年4月の開園を目指したことで、村の認可が間に合わず、結果的に2023年3月までの保育園の運営費はすべて自費で賄う必要がありました。
その運営費を集めるため「乳児保育園を原村につくりたいプロジェクト」の発足後は、これまで保育の仕事を通じて知り合った日本全国の仲間や、地元企業にも広く寄付のお願いを呼びかけました。ほんとうにたくさんのご支援をいただきました。
ですが、それでも資金は足りません。
開園時期の延期も考えましたが、1年後ではやっぱり遅い。いま原村にいる0歳から2歳までのこどもたちと、職場復帰を願うお母さんたちの1年間の重さを思うと、どうしても2022年4月に開園することが必要、と判断しました。
この頃「乳児保育園を原村につくりたいプロジェクト」には、多くの仲間が関わってくれていました。
出会いの場となったのは、プロジェクトが開催した「乳児保育の大切さを考える」講演会や活動報告会。地元の原村をはじめ、お隣の茅野市や富士見町からも保育の問題に関心を持つ方々が、たくさん参加してくれました。
こちらが講演会の様子です。
活動報告会では、私たちの思いを語りました。
プロジェクトが始まったのが7月。季節はあっという間に過ぎて夏から秋へ、そして寒い冬がやってきました。まるで学生時代のように、ほぼ毎日仲間たちと集まり、話し合い、いま自分たちにできることを考えました。
ある日のこと、この活動を広く知ってもらうために、開園に必要な資金の一部を「クラウドファンディング」で呼びかけるのはどうだろう?という声がプロジェクト内で上がりました。
ちなみに、71歳の橘田園長をはじめ、誰ひとりクラウドファンディングの経験はありません。その昔(45年前)東京で保育園を立ち上げた時は、親や保育士がみんなで少しずつお金を出し合って、なんとか開園を実現しました。
(世代的な感覚もあり)そもそも「見ず知らずの方に、金銭的な支援をお願いすること」への戸惑いもありました。目標額が達成できない可能性も十分にあります。
でも、保育園の開園は翌年の春に迫っています。
何から始めればいいのか。そんな、わからないことだらけの私たちの力になってくださったのが、隣町の富士見町で「富士見 森のオフィス」を運営されている津田賀央さんでした。(津田さん、ほんとうにありがとうございました。)
津田さんのサポートによって、MotionGalleryというクラウドファンディングと出会い、どんなふうに自分たちの活動を紹介すれば、より多くの方に届くのか、たくさんのアドバイスをいただきました。
幸運にも、プロジェクトのメンバーに映像撮影と編集のできる方もいました。なぜ原村で乳児保育園をつくりたいのか。その理由をなるべく具体的にお伝えするために、きっかけとなったお母さんとの対談や、園舎のご案内や改修箇所も動画で撮影し、たくさんの方に見ていただけるように編集しました。
これまでの経緯や自分たちの思いも、もう一度見つめ直して、サイトで掲載する文章も何度も書き直しました。
とても大変な作業でしたが、この経験は、自分たちがなぜ乳児保育園を原村につくりたいのか、その思いをあらためて確認する、ほんとうに良い時間となりました。
そしてクラウドファンディングをやってよかった、もう一つのことがあります。
それは、かつての仲間たちとの再会でした。
開園までのお話ーその5ー「お元気ですか? いま、もう一度保育園をつくってるんです」