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「新園舎建設中止の説明会」2024/5/25 (意見交換のレポート)

私たちは、長野県原村で「八ヶ岳風の子保育園」を運営している社会福祉法人織りなすです。

5月25日に開かれた新園舎建設中止の説明会には、地域住民の皆さま、保護者の皆さまをはじめ、村議員の方、報道関係の方など数多くの方(参加人数は延べ95名)にご参加いただきました。あらためてお礼申し上げます。説明会の様子については、今週、地元紙にそれぞれ記事が掲載されました。

長野日報(5/26付)「八ヶ岳風の子保育園 新園舎建設中止 地域住民に説明」

信濃毎日新聞(5/31付)「原村の認可保育園 移転計画中止巡り説明会」


ここでは、当日の意見交換の様子をレポートにてお伝えいたします。意見交換では約90分にわたり、住民の皆さん、保護者の皆さん、たくさんの方々に発言をいただきました。お時間の都合で、挙手いただいたのにマイクをお渡しできなかった方も数多くいらっしゃいました。あらためて、私たちが望んでいたのは、このような直接の対話の場であったと深く感じました。ご参加いただいた皆さま、本当にありがとうございました。

それでは、会場での発言をいくつかご紹介させていただきます。(プライバシーに関わる部分については一部コメントを伏せております)

住民の方のご意見(抜粋)

● 発想がすべて上から下。本来の民主主義は、地域の人からいろんな意見を出し合って上にいくもの。新園舎ができる地域の一人一人を考えたことがあるのか?まずは、地域の周りの人のことを考えるのが第一の条件だったのではないのか?

● 新園舎の計画は子どもが転園しないようにとのことだが、東京では転園は当たり前。転園することによっていろんな友達を作る、100人友達を作るという能力がむしろ育つのではないか、転園があってもいい。

● 行政(村)が認めたんだから、何をしてもいいというのは権威主義だ。社会福祉法人というものを振りかざすが、これはある意味で正義ではなくて、威圧的なことになる。

● 今回の件は、保育園側として「3歳児、4歳児、5歳児になっても風の子にお願いしたい」という保護者の方の声を聞いて、動き出したと理解した。その際、来年度の4月までの建設という期限があり、非常に焦った動きになったのでは。上里の予定地では中止だけれど、保育園をつくるということは、これからの子ども子育て、日本の国にとっても大事なことなので、上里の住民の方々には、今後、どんな地域に作られようと温かいご支援をお願いしたい。

● 上里の地区の問題とされたが、今後は村が協力をしてほしい。この場に村議員の方はおられるので、議会でも取り上げてほしい。素晴らしい保育園の方針だと思うので、実現できるように願っている。

● 上里の人たちは、少子高齢化の問題を考えてないとか、そんなふうに、インパクトがつけられるのは不自然。勉強会に参加していたのは、反対者が参加してたというよりは、どういうことが起きているのか、分かりたくて参加してた人たちが、ほとんどだったと思う。けれど何がしかの違和感、やっぱりみんなそれぞれ、自分の我がこととして想像したときに、どういうことなんだろう、はてなのまま、はてなが解消されなかった、というところが実際だった。気持ちの問題じゃないと思うところもあると思うが、それが実際です。

● 園長の話を聞いて、志しているところはよくわかった。上里地区で開かれた勉強会での雰囲気は「多くの人が静かな環境を求めてこの村へ来たのに、保育所を近くにつくられたんじゃ、たまらない」という意見だった。ただ個人的には、建設予定地の近く(南側)に野菜の出荷場があって、この場所だとダンプの往来があるので危ないと思う。いま、保育園の父母の声を聞いて、切実さがわかった。0歳〜5歳までの保育の体制を村が先頭立ってやらなきゃだめ。ただ、いくら正しいことでも、方法を間違うと通らないこともある、これが一つの例だと思う。

5月25日 説明会より

保護者の方のご意見(抜粋)

● 住民の方は告知のタイミングについて「もっと事前に」と要望されているが、本日、保育園側の説明を聞いて社会福祉法人として計画を理事会で承認した直後に住民説明会の申し入れもしている。ほかに、どんな方法があったのか。告知のタイミングが遅いとの理由一点で、結果的に上里地区として約束していた住民説明会が開催されなかったのは残念。

● 民主主義という言葉がでてきたが、保育園側が主催した、この意見交換の場がまさに民主主義の世界。園長先生の説明にもあったが、説明会を開催したいのでご協力をお願いしますと地区に話をしに行ったのに、事前に説明がなかったからという理由で、地区主催の住民説明会は、一度は開催を約束されたのに、果たされなかった。正直、子どもたちにこういった姿を見せるのは恥ずかしい。これが民主主義の姿なのか、逆に聞きたい。

● 先ほど発想が上から下だという意見があったが。私がなぜ風の子保育園に預けているかというと、住んでいる自治体の公立の保育園では11ヶ月未満の子どもは預かってもらえなかったから。今、この保育を必要としているのは誰ですか。お母さんたち、子どもたちが本当に必要としているからこういう流れになっている。橘田先生たちが、こんなことをすべて好きでやってるわけがない。保護者は生きるために保育園に預けるしかない。これからこの国を支えていくのがこの子どもたちなんだったら、今この場で民主主義というものを見せてほしい。

● 風の子保育園に3歳と1歳を預けている。そもそも開園して3年目にもかかわらず、保育園側はかなり急ピッチで、僕たち親の要望に応えてくれている。園のパンフレットには、素晴らしい保育方針が掲げられている。当初は掲げるなら誰でもできると半信半疑だったが、2年通って、風の子保育園はこの内容を本当に地でやっている。何より子どもたちが毎日保育園に楽しんで通っている。親として2025年以降も、4歳になった後もこの保育園に預けたいというのが、本当に強い気持ちとしてある。

● 日本全体では人口減少が加速して、過疎化によって村が存続危機に陥っているところもたくさんある中で、原村の人口は微増している。それは奇跡的にすごいこと。村の未来を担う子どもたちが育っていくにあたって、子育て環境が充実しているかは大切。そもそも保育園が村の中に一つしかなくて、転園という選択肢すらないような状況では、新しい方も来る可能性というのも少なくなってしまう。

● 僕らにとって橘田先生(理事長兼園長)は、本当に身を粉にしてというか、自分の身を投げ打ってやっていただいているスーパースター。その人をこんな目に合わせているというのが、本当に残念で、腹が立って仕方がない。(告知が)早い遅いの問題はあったのかもしれないけれど、この保護者の声をまず聞いていただきたい。

● 原村出身で風の子保育園に1歳と3歳を預けている。今回、上里地区の皆さんが、保育園に反対をした理由を具体的に知りたい。保育園が家の近所に建つと、車が渋滞してしまうとか、騒音がうるさくなってしまうとか、そういった内容でしょうか。今後、新しい土地を探す際に、こういうふうに駐車場を整備したら渋滞も起きにくくなるから問題ないよね、とか、騒音問題もこれだけの土地があるから、子どもたちが普段過ごす園庭を離れた場所にすれば、声もそこまで届かないよね、とか、そういうふうに、前向きな話や対策の話をしていきたい。

5月25日 説明会より

ここでは、皆さんに発言いただいた一部をご紹介させていただきました。
あらためて、たくさんのご意見、本当にありがとうございました。

今回、中止という決断に至った通り、新園舎の建設について、私たちは当初から決して強行するような意思はありませんでした。ただ原村で保育を必要とする世代のために、私たちができることを1つ1つ考え、この3年間取り組んできました。

現時点で、上里の予定地での建設計画は白紙となりましたが、八ヶ岳風の子保育園に通う園児の保護者の皆さまからは3・4・5歳への延長のご要望があり、引き続き、この声に応える努力を続けたいと考えています。ただし、残念ながら、現段階での計画の大幅な見直しによって、スケジュールと資金の面で 大きな問題が生じることは避けられません。

別の場所に園舎を建設する場合、
以下の問題を1つずつクリアしなければなりません。

●土地の選定
保育園に適した広さ、陽当たり、アクセスのしやすさ、上水道、などの条件を満たし、かつ、近隣住民の皆さまのご理解を得られる場所
●地代の資金調達
今回は、理事長や親族が提供する借地のため、購入資金は必要ありませんでした。別の場所を購入する場合は、相応の資金が必要になります
●園舎の再設計
決定した土地に合わせて園舎を設計し直します

最後に、説明会当日に参加できなかった保護者の方からいただいた手紙をご紹介させてください。(ご本人に許可をいただきました)

「風の子保育園の5歳までの保育とそのための新園舎建設の実現を支持する理由は様々あります。例えば、子どもをひとりの人間として尊重し、子どもの意思にしっかりと耳を傾けてくれるから。食材に配慮し、昼食だけでなくおやつも手作りしてくれるから。原村の豊かな自然の中でのびのびと遊ばせ、子どもの個性と感性を育んでくれるから。園と家庭とを分断せず、家庭の悩みや心配に寄り添ってくれるから。先生方がいつも笑顔で明るく生き生きしているから。――数えはじめたらきりがないくらいです。(以下省略)」

「橘田先生へ」保護者の手紙より
全文は以下より


今回の中止を受けて、2025年の4月の新園舎開設は、資金面・スケジュール面から考えて断念せざるをえない状況となりました。しかし、 新園舎開設までの間、一時的に村内にある建物を借り受けてでも、2025年4月以降も希望する子どもたちが変わらずに当園の保育を受けられるよう、どうにか知恵を絞りたいと考えています。

現在、在園中の子どもたちや保護者の皆さまのために、また原村の未来のために、当法人としましても最大限の努力をし、豊かな保育環境の実現をめざしてまいります。ぜひとも皆さまのお知恵や応援をいただけますと幸いです。
何卒、よろしくお願いいたします。


ご連絡は、以下までお願いします。

〈八ヶ岳風の子保育園〉
メール kazenokohoiku8@gmail.com
電話 0266-75-1806